兎の飼育場の見学
11月28日。
今日の休日は、リリアと逢い引きに出かける日である。
午前11時の鐘が鳴り、リリアが顔を出す。
レースのワンピース姿で、胸には俺の贈ったアミュレットが輝いている。
リリアが今日も可愛い。
「こんにちは、キョウスケ。今日はどうしよう?」
「今日も可愛いね、リリア。それがさ、カレーの取り扱い店は、増えてないみたいなんだよね」
「わかった。じゃあ、兎の飼育場に行こう! 新鮮な兎肉を出すお店があるの!」
「それは良いね。飼育場って遠いの?」
「うん。1時間かかるから、エミューの車で行く。停留場まで歩こう」
「わかった。すごく楽しみだよ」
俺達は店を出て、手をつないで歩き始めた。
20分程で、停留所に到着した。
「いらっしゃい。どこまで行くかね?」
「兎の飼育場までお願いします」
「あいよ。帰りも送って行こうか?」
「うん。待っていて欲しい」
「あいよ。あそこは待機場があるから、そこにおりやす。お帰りの際に呼んでくだせえ」
「わかった。宜しくお願いします」
俺達の乗り込んだエミューの車が、走り出した。
「聞いて。拠点に丁度良い場所に、土地が買えたの。それで建築屋が素敵な家を設計してくれてね。もう着工してるんだぁ。外観ももうすぐ完成するの」
「それは凄いね。素敵な家が出来上がるのが待ち遠しいね」
「うん。細工屋に飾り箪笥を頼んだり、ベッドを頼んだり、最近少し、忙しい。でも、楽しい!」
リリアは頬を火照らせて、言いつのる。
「部屋が整ったら、遊びに来てね」
「いいのかい? 差し入れを持って遊びに行くよ」
「次の逢い引きは、12月28日で良い?」
「良いよ。それまでにカレーの取り扱い店が増えると良いね」
「ん。カレー大好き。カレーは至高」
俺達は、雑談を楽しみながら、車に揺られていた。
半刻程経過し、車が止まった。
「ここまで、黒銅貨3枚頂きますよぉ」
「はい」
黒銅貨3枚なら、6000円程度か。
ここまで遠かった割りには安いかもしれない。
だだっ広い平原が広がっていた。
家も建っているが、平原が広大すぎるのだ。
「まずは飼育場の人に挨拶だね。こっちだよ」
俺はリリアの案内で、大きな小屋にお邪魔した。
「すいませーん! 見学なんですけれど、良いですか?」
「いらっしゃい。じゃあ飼育場を案内しますよぉ」
愛想の良い女性が出て来て、挨拶をしてくれた。
「あたしは飼育場の主の嫁で、テレサっていうもんだよ。じゃあ、兎小屋に案内するよぉ」
「はい。お願いします」
小屋の横手に、兎小屋と思われる建物がいくつも見える。
小屋の扉を開けて、中を見ると、たくさんの兎が飼育されていた。
「ここが兎小屋だよぉ。牙が鋭いんで、近づかないでくださいねぇ」
「餌をあげるのも駄目なんですよね?」
「ああ。餌は秘密だからねぇ」
兎がこれだけいると、壮観であった。
「この兎をさばいたりするんですか?」
「そりゃあ勿論さぁ。朝方にさばかれて、肉屋に売られていくよ。このあたりの料理屋はみんな新鮮なさばかれたばっかりの兎肉を使っているからね。ひと味違うはずさ」
「そうなんですね。これから料理屋にお伺いするんで、楽しみです」
「皮剥ぎ小屋も、見学されますかねぇ?」
「是非、お願いします」
皮剥ぎ小屋は、勿論空っぽであった。
皮剥ぎ用の刀を見せて貰い、次の部屋へ行く。
「子供のいる兎小屋だよぉ。小さいうちは、可愛いもんさ」
小さな兎をたっぷり鑑賞したら、お暇する。
「今日は案内をありがとうございました」
「いえいえぇ。また来てくださいよぉ」
俺達は料理屋目指して、町の方向へ歩く。
15分程で、料理屋に到着した。
俺達は店に入り、給仕の案内で奥のテーブルに着席した。
「わたしのおすすめを頼んで良い?」
「うん。宜しくね」
「すいませーん! 兎肉の臓物汁を2つと、兎肉の肉野菜炒めを2つ、お願いします!」
「かしこまりました」
給仕はお茶を置いて下がっていく。




