開店準備期間
1月8日から1月13日。
この期間は料理のおさらいをしていく。
難儀したのは、餃子であった。
皮を包むのが苦手なようで、四苦八苦していた。
あとは、付け合わせをもう一度教えた。
10種類に2種類ずつ、付け合わせが付くので、20種類も覚えなくてはならない。
更には、まかないの作り方も教え込んだ。
「キョウスケ料理長は鬼だ!」
「付け合わせなんて、2種類を使い回せばいいのに……メモはとったから暗記しなきゃ」
「揚げ物のおさらいもしたい!」
俺は鬼と呼ばれても構わない。
献立に妥協はしないぞ。
あと、サンドイッチの付け合わせだが、今まで通りのマッシュ・ポテトのごときマッシュ・フォンディと、カボチャのごときエリマを練り込んだクッキーにした。
やはり根強い人気があるので、変えがたいのだ。
サフア料理は青銅貨2枚から青銅貨3枚。
およそ400から600円。
汁物料理は青銅貨1枚と半銭。
およそ300円。
肉料理は青銅貨3枚と半銭。
およそ700円。
菓子はヨーデルパフェ以外半銭。
およそ100円。
ヨーデルパフェは青銅貨3枚。
およそ600円。
こうして見ると、肉料理とヨーデルパフェが高い気がする。
しかし、汁物料理と肉料理合わせて1000円ならば、普通か。
菓子が安すぎるというのもある。
菓子もおさらいで作って貰ったが、皆、なかなか頑張っていた。
「ミルクレープが好きだな」
「白玉あんみつが良い」
「ネレボロのゼリーが好きだ」
おのおの好きな菓子を述べ合いながら、菓子を作る。
あっという間に6日が経過したが、楽しい時間であった。
11月14日。
休日である。
今日は細工屋に作って貰った器具を使い、先週の菓子のリベンジをする。
後、焼き方を変えてみる。
石釜を使うのだ。
鉄製の芯に生地を塗り、石釜で10分ごとに取り出して生地を塗り重ねて、焼いていく。
3時間後、焼きあがった生地に砂糖を塗り、完成だ。
試食してみると、格段に味が良くなっている。
俺は理想に近づいたと、確信するのだった。
11月15日から11月20日。
この期間は、料理のおさらいをすることになった。
全員、料理に熱心だ。
俺達は賢明に、力を尽くした。
それと、1階の班と、2階の班に分かれた。
俺の班になったのは、男性3名、女性1名である。
アイロスの班も、男性3名、女性1名だ。
「じゃあ、出来上がった料理を食べながら、班ごとに分かれて集会をしようか。どんどん質問しておくれよ」
そうして始まった集会であるが、なかなか興味深かった。
「キョウスケ料理長は、独身ですか?」
「独身だけど、婚約者がいるよ。君は独身なのかい?」
「俺は独身です! 料理番はモテるって聞きますけど、本当ですか?」
「そうだね、本当だと思うよ。美味しい料理を作れるようになればモテるさ」
「やった! 俺、頑張ります!」
こんな質問もあり、みんなが独身だということがわかった。
「この後、まかないのロールノーマを、もう一度、教えて貰えますか?」
「俺は菓子のミルフィーユをもういっぺん作りたいです!」
「俺は唐揚げを作りたいです!」
「わたしはヨーデルパフェの作り方をもういっぺん教えて下さい!」
熱意に溢れた若者達だ。
俺は了承し、それぞれの料理を作り上げるのだった。
11月21日。
休日である。
この日は黒糖のごときバルサという食材を入手したので、新しい菓子作りだ。
基本は、蒸し饅頭である。
俺は皮に黒糖のごときバルサを混ぜ込み、饅頭を作ってみた。
思いのほかうまくいき、美味しい黒糖のごときバルサ饅頭が出来上がった。
「おお、これは美味いな! 晩餐に出すから、50個程作ってくれ!」
と、ホルエン料理長も絶賛してくれた。
いつか新しい献立に追加できれば幸いである。
11月22日から11月27日。
この期間は、店員教育である。
カトリーヌが呼んでくれた教師が、貴族に対する接し方を教えてくれる。
このあたりの地理や歴史も織り交ぜて、まずは座学だ。
その後は、敬語の使い方を習った。
そして、実践である。
実際に貴族に来て貰い、会話をして貰った。
カリキュラムは毎日変わる。
食事の食べ方や正しい姿勢など、教わる事はいくらでもあった。
6日が過ぎる頃には、立派な店員になれたと、みんなが自負していた。
それと、みんなに調理服が配られた。
一人前の証である。
みんな、誇らしげな顔で、調理服を胸に抱いていた。




