新たな料理番たち
食後は、店を出て、《竜の跳ね鳥亭》へ向かった。
20分程で、店に到着した。
2階に上がり、俺の部屋に入る。
「シャワーを借りるね」
「うん。どうぞごゆっくり」
リリアは荷物を持って、出て行った。
待ってる間は、リリアの事を考える。
リリアの事が好きだなぁと、思うのだ。
半刻程経って、リリアが戻ってきた。
「お待たせ」
「じゃあ、俺もシャワーを浴びて来るね」
俺は部屋を出て、浴室へ行く。
俺はゆっくりシャワーを浴びた。
部屋に戻り、リリアの隣に腰掛ける。
「お待たせ」
「今日も1日、楽しかった。キョウスケといると、あっという間に時間が過ぎていくの」
「俺も同じだよ。今日も1日、楽しかったよ。リリアと過ごせて幸せさ」
「わたしも、すごく幸せ。キョウスケ、大好きだよ」
「俺も大好きだよ、リリア」
俺はリリアを押し倒し、口づけをした。
ぎゅっと抱き締めると、抱き返してくれる。
俺とリリアはお互いを求め合った。
幸せで情熱的な夜は、ゆっくり更けていったのだった。
10月29日から10月30日は、平穏に営業する事が出来た。
露店も全て売り切っており、好調である。
明日から休みに入るとあって、食べ納めに来てくれた常連も多くいた。
俺もロールキャベツのごときロールノーマや揚げ餃子など、新しい献立にない料理を出した。
「一ヶ月後を楽しみにしとるぞ!」
「美味い料理を期待しとるからな!」
そんな風に激励され、俺は胸が熱くなった。
新店舗を気に入って貰えるように頑張ろう。
俺はそう思うのだった。
11月1日から11月6日。
この期間は、新しい料理番に料理を教える期間である。
場所は、サフア屋の2階。
午前9時の鐘が鳴り響いた。
そこには、俺とアイロスを含めて10名の料理番が集合していた。
カトリーヌが選んだ料理番達である。
「今日は集まってくれてありがとう。《竜の跳ね鳥亭》の料理長、キョウスケだ。今日から6日までで、30種類の料理を覚えて貰う。来週はおさらいをするけれど、覚えられるように努力して貰いたい。そしてこっちが、副料理長のアイロスだ。アイロス、一言いいかな?」
「副料理長のアイロスだ。《竜の跳ね鳥亭》では、2階の責任者になる。宜しく頼む」
みんながアイロスに目礼する。
「まずは自己紹介をして貰おう。その後は、早速サフア料理から教えていくよ。質問はいつでもどうぞ。じゃあ、君からお願いするよ」
「はい! 俺は……」
8人の自己紹介が終わり、調理に入る。
サンドイッチ、パスタ、ラーメンの順に教えていく。
みんな若いからか、飲み込みが早い。
出来上がったら試食もして貰う。
「初めて食べるものばかりです。美味しい!」
「今、書き留めるのでちょっと待って下さい!」
「俺はパスタが気に入りました」
みんな頑張っていたが、一番熱心なのはアイロスだった。
副料理長の責任を果たそうとしているのだろう。
昼食を挟んで、午後は汁物料理に入る。
時間的に5種類までだったが、うまく教えれたと思う。
その日はそれで終わった。
翌日も続きから、料理を教えた。
汁物料理の5種類が終わったら、次は肉料理だ。
肉料理10種類を教えるのに、3日かけた。
付け合わせを全て変えるから、それを教えるのに、もう一日。
それが終わったら、菓子を10種類教えた。
料理番達は、やる気に燃えている。
その情熱に応えられるように、俺も努力しよう。
11月7日。
休日である。
俺は寝泊まりさせて貰っているサフア屋で、のんびり過ごしていた。
食事は3食出して貰えるし、部屋の居心地も良い。
あとは、調理場を使わせて貰いたいなぁと思うだけだ。
俺は作りたい菓子があった。
しかし、この世界の設備では、失敗してしまうかもしれない。
俺は取り合えず、ホルエン料理長に相談する事にした。
「肉を炙り焼きにするときの器具か。あるぞ。今日は何を作るんだ?」
「菓子を試作したいんですが、良いでしょうか?」
「勿論良いぞ! うまくいったら、俺にも食べさせてくれよ!」
ホルエン料理長はそう言って、かまどをひとつ、空けてくれた。
俺はサフアを練り、生地をどうにか焼いていく。
中心の芯にはめん棒を使用して、なんとか試作品を作り上げたのは、午後3時を過ぎてからだった。
試作品をホルエン料理長に食べて貰ったところ、大変美味だと評価を頂いた。
しかし、生地はよれているし、形も不格好だ。
俺はこの菓子の完成を目指して、もう一度挑戦するのだった。




