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《虹の階段》の菓子

 《とさか亭》を出て、リリアが宣言する。

 

「甘味屋へ行きます!」


「うん。楽しみにしていたよ」


「今日はね、《虹の階段》っていうお店だよ」


「そっか。どんな菓子か楽しみだ」


 俺達は、手をつないで歩く。

 10分程歩いて、甘味屋へ到着した。


「ここが、《虹の階段》」


 俺達は店に入り、給仕の案内で奥のテーブルに着席した。

 

「私のおすすめを頼むね。今日は2つ、頼んで良い?」


「うん、良いよ」


「すいませーん! マロイモのくるくる巻きを2つと、パーリーの甘蒸しを2つ、お茶を2つ、お願いします!」


「かしこまりました」


 給仕は、お茶を置いて下がっていく。。


「あのね、来月会う日なんだけど、9月28日で良い?」


「勿論良いよ」


「その日も泊まっていくからね」


「うん。嬉しいよ」


 それから5分程経って、菓子が届いた。

 マロイモのくるくる巻きから、食べてみる。

 パリッと揚げられたサフアの生地の中に、ヤマイモのごときマロイモと、小豆のごときタペの餡がくるまれている。

 粘り気のあるヤマイモのごときマロイモと、パリッと揚げられたサフアの生地の食感が楽しい。

 小豆のごときタペの甘さが、しっかり菓子に仕上げている。

 

「くるくる巻き、美味しいね」


「ん。マロイモとタペがよく合う」


 リリアはご機嫌だ。

 俺は次の菓子、パーリーの甘蒸しを食べてみる。

 それは、蒸しパンであった。

 生地にオレンジのごときパーリーが練り込まれており、素朴な美味しさだ。


「パーリーの甘蒸し、美味しいね」


「ん。この味が好き」


 リリアの笑顔は、いつも可愛い。

 俺は、ゆっくり菓子を味わった。


 食後は、店を出て広場まで歩く。

 20分程で到着し、椅子に座った。

 お喋りの時間である。


「今日は何のおとぎ話を聞かせてくれるの?」


「今日は、人魚姫だね。昔々、あるところに、魚の尾を持つ人魚族に、美しい人魚姫がおりました……」


 リリアは真剣に聞いている。

 俺はなるべくドラマティックに、話し続けた。

 話し終えると、リリアは涙目である。


「人魚姫は、海の泡になって消えちゃって、幸せだった?」


「さて、どうかな。でも、王子様を見守っているんじゃないかな」


「納得いかない!」


「人魚姫の最後は諸説あって、人魚姫が幸せになる話もあったかもしれない。でも、俺はさっきの話しか知らないんだよ。ごめんね」


「うん……」


 その後は雑談で盛り上がった。

 人魚姫で悲しい気持ちにさせてしまって、申し訳ない。

 楽しい時間はあっという間に過ぎて、午後5時の鐘が鳴った。


「そろそろ行こうか」


「ん。行こう」


 俺達は、手をつないで歩く。

 15分程歩いて、料理屋に到着した。


「ここが、《まろび猫》」


 俺達は店に入り、給仕の案内で奥のテーブルに着席した。


「よし、カレーがある。あと、肉料理と菓子を頼むね」


「うん。お願いするよ」


「すいませーん! カレー2つと、兎肉とビトーの炒め物を2つ、菓子の、ガルのサフア包みを2つ、お願いします!」


「かしこまりました」


 給仕がお茶を置いて下がっていく。


「菓子が美味しそうだった。期待しちゃう」


「ガルが入ってるなら、美味しそうだね」


 リリアは瞳を輝かせている。

 俺も美味しい菓子と出会いたい。

 それから5分程経って、料理が届いた。

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