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《とさか亭》のカレー

 8月15日から8月20日まで、平穏に営業する事が出来た。

 露店も全て売り切っており、順調である。

 ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。


 特筆すべきは、第一騎士団のアーロン率いる12名の騎士達が来店してくれた事だ。

 アーロンは憎まれ口を叩くが、どこか憎めない。

 挨拶をさせて貰うと、ふてぶてしく笑っていた。


「近くまで来たから、寄ってやったんだよ。ありがたく思いやがれ!」


「それはありがとうございます。また来て下さるなんて、アーロンは義理堅いですね」


「そりゃあまあ、俺も騎士だからよぉ。第二騎士団がここで打ち上げやったって騒いでたぜ。機会があったら、うちも頼んでやるよ」


「ありがとうございます。基本的に休業日でしたらお受けできますので、機会があったらご一考下さい。またのお越しをお待ちしておりますね」


「へん。また来てやるよ。《アフロディーテ》だって、俺は常連だからな!」


 アーロンは、そんな捨て台詞を残して、帰っていった。

 



 8月21日。

 休日だ。

 今日は一日、調理場にこもることにした。

 具体的には、6種の料理の考案である。

 いつ依頼が入っても良いように、料理を開発しておくのだ。


 あんまり成果が出せずに夜になった。

 アプローチの仕方が悪いのだろうか?

 俺は軽く落ち込みつつ、晩餐の支度を始めた。

 あーあ、もっと腕を上げたい。




 8月22日から8月27日まで、平穏に営業する事が出来た。

 露店も全て売り切っており、順調である。

 ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。




 8月28日。

 今日はリリアと逢い引きする日である。

 午前11時の鐘が鳴り、リリアが顔を出した。

 無地のワンピース姿で、胸には俺の贈ったアミュレットが輝いている。


「こんにちは、キョウスケ。じゃあ、行こう」


「うん。今日も可愛いね、リリア。行こうか」


 俺とリリアは手をつないで歩く。

 リリアは今日もご機嫌で、大変愛らしい。


「実は仲間の女の子がね、最近知り合った財宝漁りに恋をしちゃったの! わたしもびっくりしちゃって。しかも、差し入れを持っていくほど仲良くなれたんだよ。凄くない?」


「そりゃあ大事件だね。相手の男の方は、どんな人?」


「落ち着いてて、なんだか貫禄のある人。冒険者ギルドで知り合ったんだよ。向こうも差し入れを嫌がってないと思う。うまくいけば、逢い引きできるかも!」


「じゃあ、頑張らないとね。仲間に彼氏が出来たら、嬉しいね」


「ん。物凄く頑張ってるから、応援してるの。彼女とは長い付き合いだけど、浮いた話は全然なかったの。うまくいくといいなぁ」


「そうだね。俺も応援しているよ」


 リリアは嬉しそうに微笑んだ。

 20分程歩いて、料理屋に到着した。


「着いた。ここが《とさか亭》」


 俺達は店に入り、給仕の案内で奥のテーブルに着席した。

 献立を見たリリアが弾んだ声を上げる。


「カレーがある! あと、肉料理を適当に頼むね」


「うん。宜しくね」


「すいませーん! カレー2つと、ジェランの肉巻きを2つ、お願いします!」


「かしこまりました」


 給仕は、お茶を置いて下がっていく。


「カレー、楽しみだな」


「そうだね。どんなカレーだろうね」


 わくわくしているリリアが可愛い。


「そうだ。アイロスがね、リエルに婚約を申し込んだそうだよ」


「ええっ! 勿論上手くいったんでしょう?」


「うん。リエルはアイロスの家に引っ越すみたいだ。結婚資金が貯まってないから、まだ婚姻は出来ないって、アイロスは言っていたね」


「わーっ! リエルはアイロスが大好きだから、きっとうまくいくよ! リエルに今度会ったら、婚約おめでとうって言おうっと!」


「婚約の証の品も買えないって、アイロスは嘆いていたけどね。安い飾り物で我慢して貰うって言っていたよ」


 リリアはきらきらした瞳で言いつのる。


「良いと思う! 婚約の証は値段じゃないもの。きっと喜ぶと思うなぁ」


「アイロスが幸せそうで、俺も嬉しいよ。リエルは相当頑張ったんだと思うよ」


 そこで、料理が届いた。

 カレーには、乾酪がかけられているようだ。

 煮汁を飲んでみると、甘い飲み口だ。

 超甘口のカレーである。

 具材は、ナスのごときビトーと、ブロッコリーのごときセルルと兎肉だ。


「なんだか、すごく甘いね」


「ん。美味しい」


 リリアは美味しそうに食べている。

 いつ見てもリリアは可愛い。


 次は、肉料理だ。

 アスパラガスのごときジェランの肉巻きである。

 食べてみると、塩辛いがアスパラガスのごときジェランのみずみずしさが助けになっている。

 もう少し塩を抑えた方が好みだが、これはこれで食べられる。


「ちょっと塩辛いかな?」


「ん。でも、美味しい」


 リリアは守備範囲が広い。

 俺は平べったいサフアの生地を食べながら、塩辛いジェランの肉巻きを食べるのだった。

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