第二騎士団の打ち上げ
8月14日。
今日は、第二騎士団の打ち上げである。
俺とアイロスは、早朝から準備に勤しみ、何とか準備を完了させた。
午後5時の鐘が鳴った。
第二騎士団の48名は着席しており、既に酒は配膳済みである。
リオンが店の真ん中に進み出てきて、声を張り上げる。
「第二騎士団の皆よ! 此度の遠征ではよく戦い、盗賊団を撲滅することがかなった! 領主様からもお褒めの言葉を頂いた! 今宵は《竜の跳ね鳥亭》の料理番キョウスケによる、6種の料理で遠征の疲れを癒やして欲しい! では、女神アウローシアの加護に!」
「乾杯!」
さて、前菜をカウンターに並べていく。
プリムとジュレ、リーズヘッグが配膳をする。
1番テーブルにいるリオンには、プリムが配膳していく。
「前菜の、小籠包になります」
前菜は、リリアに出した肉まんの変化球で、小籠包である。
スープが閉じ込められた小籠包は、食べ心地も普通の蒸し饅頭と比べて随分変わっている筈だ。
「あちいっ! 煮汁が飛び出てきたぞ!」
「熱いけど、美味いな!」
「これはどうやって煮汁を閉じ込めているんだ?」
ジュレが質問に答える。
「イラを使って煮汁を凝固させ、サフアの生地で包んでおります」
「へえ。イラ。聞いたことがないな」
前菜の評判はまずまずだ。
こちらは次の野菜料理を石釜から取り出し、盛り付けを始めている。
皿が空く頃合いを見計らって、野菜料理を出す。
「フォンディのグラタンでございます」
野菜料理はひねりもない。
熱々のグラタンを満喫して頂きたい。
「フォンディと乾酪だな。熱くて美味い!」
「フォンディは遠征でも食ったよ。もっと色んな野菜が食いてえなぁ」
「贅沢いってらぁ」
フォンディを主軸に置いたのが、良くなかっただろうか?
評判は、まあまあと言ったところだ。
次はパスタである為、ひっきりなしにパスタを茹でている。
「サフア料理は、ラタトゥイユのパスタでございます」
野菜は、タマネギのごときカペラ、トマトのごときイノッサ、ナスのごときビトー、パプリカのごときディラーを使っている。
肉は兎肉のベーコンをたっぷり使っている。
たくさん野菜を取れるので、遠征明けにもおすすめだ。
「こりゃあ美味えな」
「しかし、乳脂を使わない料理ばっかりだな」
「野菜たっぷりで満足だ」
乳脂は使っていないが、満足して頂ければ幸いである。
次の汁物料理の取り分けも始めている。
「汁物料理は、肉団子の中華風スープでございます」
自家製ガラの粉を使った、中華風スープだ。
具材は、肉団子と、ホウレンソウのごときテーペ、ネギのごときポーロ、卵である。
優しい飲み口で、お腹にも優しい一品だ。
「これは食ったことねぇ味だなぁ」
「肉団子も煮汁も美味だ」
「この味は何かの調味料を使ってるのか?」
プリムが質問に答える。
「自家製の特別な粉を使用しています。材料は、リューカの肉と野菜です」
汁物料理の反応はまずまずだ。
次の肉料理の仕上げをする。
「肉料理は、牛肉の果実酒煮込みでございます」
肉料理は、店でも出している煮込み料理だ。
新しい肉料理の考案も、頑張りたいところである。
「でかい肉だな。こりゃあ美味いぞ!」
「煮汁が濃厚で旨みがある」
「すごく美味だ」
肉料理の評判は、上々である。
さて、最後は菓子だ。
「菓子は、メリボーのゼリーでございます」
マンゴーのごときメリボーのゼリーは、ミキサーを使って作る最新作だ。
濃厚な甘みとぷるぷるの食感を楽しんで頂きたい。
「ぷるぷるしてるな」
「濃厚で美味い。さっぱりするな」
「甘くて美味え」
メリボーのゼリーの評判も、悪くない。
ヨーデルパフェは、器の関係上、出せなかった。
これで満足して頂ければ幸いである。
「キョウスケ、リオンが呼んどるぞ」
リーズヘッグに呼ばれ、リオンのいる1番テーブルに赴く。
「お疲れ様です、リオン。料理のお味は如何でしたか?」
「目の覚めるような美味しさであったよ! 特にサフア料理と肉料理が格別であったな! 美味い料理をありがとう、キョウスケ。仲間も同じ気持ちだ」
「料理が口に合ったなら光栄です。今日は打ち上げの会場に《竜の跳ね鳥亭》を選んで頂き、ありがとうございました。また、機会があったらご来店をお待ちしています」
「おう! また寄らせて貰うぞ! 《アフロディーテ》にも行かねばならん! 菓子のコンテストで優勝した菓子を味わわねばな!」
リオンは上機嫌に笑っていた。
その後、1時間くらいお酒で騒いでから、第二騎士団の48名は帰っていった。
「やれやれ、騒がしい奴らであったな。皆、ご苦労だった」
リーズヘッグが皆をねぎらう。
「じゃあ、俺達も晩餐にしようか。今日は俺達も6種の料理だよ。まず前菜から出すね」
「わーい! お腹ぺこぺこだよ」
「きょ、今日は贅沢ですね」
プリムとジュレが、はしゃいだ声を上げる。
俺達はテーブルに座り、前菜を食べ始める。
せわしない一日だったが、充実していた。
「アイロス。今日は大変だったね。ご苦労様」
「別に構わん。一日中料理が出来て楽しかった」
そう言ってアイロスはにやりと笑った。
「たまには、こんな日があってもいいさ」
「そうだね。俺もそう思うよ」
石釜のグラタンを出して、野菜料理を出す。
俺は一日を振り返りながら、料理を堪能するのであった。




