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打ち上げの依頼

 20分程で、俺達は《竜の跳ね鳥亭》へ到着した。

 俺の部屋に入り、ベッドに腰掛ける。


「シャワーを借りるね」


「うん。ごゆっくりどうぞ」


 俺はしばらく手持ちぶさたな心地で過ごす事になった。

 30分程して、リリアが戻ってきた。


「お待たせ」


「うん。俺もシャワーを浴びてくるね」


「うん」


 俺は浴室へ行き、シャワーを浴びた。

 部屋に戻ると、パジャマ姿のリリアがベッドに腰掛けている。

 俺もベッドに腰掛けた。


「お待たせ」


「ん。お泊まりするたび、キョウスケを好きになるなぁって、思ってた」


「それは嬉しいな。俺もリリアが大好きだよ」


「今夜もいっぱい、抱きしめてね……」


 俺はリリアを押し倒し、唇を奪った。

 ぎゅっと抱きしめると、抱きしめ返してくれる。

 リリアと愛し合える幸せな夜だ。

 俺は愛しいリリアを抱きしめる。

 夜はゆっくり更けていった。




 7月29日から8月6日まで、平穏に営業する事が出来た。

 露店も全て売り切っており、順調である。

 ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。




 8月7日。

 休日であるが、昨夜アイロスにお願い事をされていた。


「料理を教えて欲しい。6種の料理で、リエルをもてなしたいんだ」


 家でもてなすと言うことは、つまりお泊まりである。


「おめでとう、アイロス。婚約するのかな?」


「おそらくな。リエルは俺の家に住みたいと言っている」


「良かったね。料理を教えるのは、明日で良いかな? 勿論協力させて貰うよ」


「宜しく頼む」


 そんなわけで、今日はアイロスに料理を教える日だ。

 献立は指定があった。

 前菜は兎肉とレバーのパテ。

 野菜料理は、ジャガイモのごときフォンディのグラタン。

 サフア料理は、辛みの強いトマトのごときイノッサのパスタ。

 汁物料理は、辛口カレー。

 肉料理は、デミグラスソースの煮込みハンバーグ。

 菓子は、ミルフィーユ。


 アイロスは一日かけて料理を覚えた。

 リエルをもてなす日に、喜んで貰えたら光栄である。




 8月8日から8月13日まで、平穏に営業する事が出来たが、8月10日に、ささやかな異変が起きた。

 それは後ほど語るとして、露店も全て売り切っており、順調である。

 ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。


 8月10日。

 夜の8時位の事である。

 橙色の生地に金色の刺繍をした、騎士達12名がやってきた。

 彼等は食後に、俺とリーズヘッグを呼びつけた。

 俺は笑顔で挨拶をした。


「《竜の跳ね鳥亭》へようこそ。俺が料理長のキョウスケです。料理のお味は如何でしたか?」


「おお、そなたがキョウスケか。第一騎士団と第三騎士団が世話になっているようだな! 料理は実に美味かった! 遠征明けには身に染み入るかのようだ! 俺は第二騎士団の隊長でリオンという。お見知りおき下され!」


 よく日に焼けた肌の男性で、野性的な美貌の持ち主だ。

 髪は短髪で金色、瞳は緑色だ。

 鍛え上げられた身体が服の上から見て取れる。


「料理が口に合ったようで光栄です、リオン。遠征に行かれていたと聞いています。遠征、お疲れ様でした」


「なんのなんの。俺達にかかればあの程度の盗賊団など敵ではないわ! それで相談なのだがな。店主リーズヘッグ殿。遠征の打ち上げでこの店を使わせて欲しいのだ!」


「貸し切りなら、休業日を待って欲しい。キョウスケ、いつが空いている?」


「ちょっと待ってね。アイロスに聞いてくる」


 俺は調理場に戻り、アイロスの休日を尋ねた。


「貸し切りで打ち上げか。8月14日が空いているぞ」


「わかった。14日だね」


 俺はリオンの元に舞い戻った。


「8月14日が空いていますが、どうでしょうか?」


「うむ! こちらは問題ない! では6種の料理をお願いする! 開始は午後5時でよろしいか?」


「ええ。問題ありません」


「うむうむ! 遠征で疲れた隊員をねぎらってやりたくてな! ここの店のことは、ローガンからよぉく聞いている。では、8月14日、午後5時に48名でお伺いする! では、またな! キョウスケ!」


 そう言って、お会計をして帰っていった。

 そんなわけで、週末の8月14日は、第二騎士団の打ち上げをする事になった。


 料理の試作をしている暇はない。

 夜に居残るとしても、たった3日しか準備期間がないのである。

 そんなわけで、献立は既存のものを使うことにした。

 それでも手を抜くことなく、試作を行い、微調整を試みる。

 少しでも変化をつけたくて、色々試行錯誤した。

 たった3日の準備期間は、あっという間に過ぎ去っていった。

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