《笑顔亭》のカレー
「お待たせしました。こちら、星の輝きでございます」
その菓子は、木皿に黄色い煮汁が満たされており、パイのようなものが散っている。
そこに破片のようなものが散らばっており、きらきらと輝いている。
果実はイチゴのごときガルが小さく切られて煮汁に沈んでいる。
「これは、美しい菓子だね」
「ん。食べてみて」
俺は木匙を取り上げ、煮汁とパイをすくった。
食べてみると、破片は、飴である。
煮汁は牛の乳を使用しており、もったりしている。
甘い煮汁の下にはブルーベリーのごときペリルのジャムが隠れており、すくって食べるのが楽しい。
煮汁の甘さとジャムの甘さがマッチしていて、とても美味しかった。
「これは美味しいね。ジャムの甘さが控え目で、甘い煮汁と合っているよ。具材も美味しいね」
「ん。とっても美味しい。こういう菓子が一時流行したの。もう優勝したのは3年前だから廃れているけどね」
「廃れているのか。最近の流行は団子かな?」
「そうだね。団子も美味しい」
「これから、パフェが流行るかもね。果実のパフェなんて、美味しそうだよ」
「そうだね。美味しいなら良いけど、ちょっとずるいよね」
「まあね。でも、色んな料理番達と切磋琢磨するのは、本望さ。俺も頑張るよ」
リリアとの甘いひととき。
甘い菓子は、名脇役だ。
俺も頑張って、美味しい菓子を作ろう。
店を出た後は、広場まで歩く。
到着したら、椅子に座ってお喋りするのだ。
「今日のおとぎ話はなあに?」
「今日は、ヘンゼルとグレーテルだよ。昔々、あるところに仲の良い兄妹がいました……」
リリアは楽しそうに聞いていた。
話し終えると、頬を火照らせてこう言った。
「お菓子の家なんて、夢みたいなお話だね。すごく美味しそうだった!」
リリアはご機嫌だ。
その後は、雑談をして過ごした。
楽しい時間は、あっという間に過ぎる。
気付けば陽は落ちて、午後5時の鐘が鳴った。
俺達は腰を上げ、料理屋へ向かった。
20分程度で、《笑顔亭》に到着した。
俺達は店に入り、給仕の案内で奥のテーブルに着席した。
「カレーと、肉料理と、菓子を頼むね」
「うん。宜しくね」
「すいませーん! カレー2つと、兎肉のはさみ揚げを2つと、揚げ団子を2つ、お願いします!」
「かしこまりました」
給仕は、お茶を置いて下がっていく。
「そういえば、アディスのお見合いはどうなったの?」
「アディスは、お断りしたそうだよ」
「えー、そうなんだぁ。アディスも恋人が出来るかと思ったのに、駄目だったんだね」
「ジョセフィーヌは、豪商の娘だって、言ってただろう?」
「うん。やっぱり、お嬢様に皿洗いは無理だった?」
「うん。住む世界が違うって、アディスは言っていたね」
「アディスって、落ち着いてるよね。どんな女性が好きなんだろうね?」
「そうだねぇ。聞いたことはないな」
「アディスにも、大好きな人が出来るといいね!」
そこで、料理が届いた。
カレーは、普通の色合いである。
煮汁をすくって飲んでみると、はっきりと辛かった。
具材は基本の3種のようである。
「カレーは、辛口だね」
「ん。美味しい」
リリアは丁度良い辛さなのだろう。
さて、次は肉料理である。
これは、ダイコンのごときレダスで兎肉をはさみ揚げにした料理のようである。
食べてみると、意外といける。
ダイコンのごときレダスはしゃくしゃくしていて、さっぱり食べられる。
「揚げ物にレダスは合わないかと思ったよ。意外と美味しいね」
「ん。美味しい」
リリアの笑顔に癒やされる。
俺は、ゆっくり料理を堪能した。
「お待たせしました。菓子をお持ちしました」
届いた菓子は、揚げ団子である。
茶色い見た目で、熱々だ。
食べてみると、中身の餡が、とても甘かった。
餡には、野菜のニンジンのごときメイリグが使われている。
この餡が美味しく、食が進むのだ。
「メイリグの餡が美味しいね」
「ん。美味しい」
菓子をゆっくり食べて、俺達は店を出た。




