露店街をふらつく
7月15日から7月20日まで、平穏に営業する事が出来た。
露店も全て売り切っており、順調である。
ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。
ローガンは《アフロディーテ》に開店日の7月18日、貴婦人のご友人も交えて行ってくれたそうだ。
「連れて行って欲しいと願われて、仕方なくな! 第一騎士団の姿もあったし、随分沢山のお客が詰めかけたようだぞ。《アフロディーテ》は個室があるから、貴族も通いやすい! 集客は期待してくれて良いぞ!」
騎士団で《アフロディーテ》は、噂になっているらしい。
第二騎士団は遠征中だが、戻ったら行くのではないかと、ローガンは言っていた。
「キョウスケは、菓子のコンテストで優勝したことで、随分名前が売れたな。《アフロディーテ》の良い宣伝になって良いではないか」
ローガンはそのように言っていた。
《アフロディーテ》は開店日、騎士の宣伝のおかげもあってか、100名以上来店したとのことである。
凄まじい集客効果だ。
ローガンには、重ねて、お礼を言っておいた。
7月21日。
休日である。
俺はふらりと露店街へ行ってみた。
サフア屋の露店も出ている。
サンドイッチ、各種パイ、ミートソースのパスタ、ユーカンラーメン。
どのお店もすごい行列だ。
パウロの蒲焼きの屋台も出ている。
俺は行列に並ぶ事にした。
しばらく待って、順番が来る。
「いらっしゃいませ。おひとつですか?」
幼い男の子がそう聞いてくる。
「うん、ひとつ頼むよ」
「兄ちゃん、ひとつね!」
「はーい!」
上の兄が作っている間に弟に話しかける。
「繁盛しているみたいじゃないか。毎日忙しいかい?」
「あっ、あの時のお兄ちゃんだね。うん、毎日いっぱい売れてるよ! 父さんも大喜びなんだ」
「それは良かったね」
そこで料理が出来上がり、俺は青銅貨3枚を支払った。
「ありがとう。頑張ってね」
料理を受け取り、露店街のはじに寄る。
鰻のごときパウロの蒲焼きのサフア巻きだ。
かじると、濃厚なタレの味と淡泊な身の美味しさが口いっぱいに広がる。
やっぱり美味しいなぁ。
しかし、一品では物足りない。
俺は露店を回った。
ウィルのトーテムラーメンの屋台が出ていた。
トーテムは味噌のごとき食材である。
俺は行列に並び、しばらく待った。
「いらっしゃい。ひとつかね?」
「はい。ひとつお願いします」
「ウィル。ひとつだ!」
「はいよ!」
俺は横から挨拶させて貰った。
「やあ、ウィル。好調のようだね」
「キョウスケ! いやぁ、毎日400食完売してるよ。ラーメンを作るのも慣れたもんだ。はい、お待ちどう!」
俺は相方の男性に青銅貨3枚支払い、トーテムラーメンを受け取った。
青空食堂に腰を落ち着けて、ゆっくり味わう。
味噌のごときトーテムの香りが心地良い。
麺をすすって、熱々を食べる。
うーん、美味しい。
食後はまたぷらぷらして、菓子の露店を見つけた。
行列はなく、すんなり買えた。
端に寄って食べてみると、砂糖の甘さが口の中に広がる。
丸いサフアの生地は、揚げてある。
これは一口サイズのドーナツだ。
そういえば、俺はドーナツを作っていなかったな。
帰ったら試作してみよう。
俺は満足して、家に帰るのだった。
ちなみに、ドーナツ作りは上手く行った。
晩餐でエンゼルフレンチを作って出したら、好評であった。
機会を見て、《アフロディーテ》でも出したい一品である。
7月22日から7月27日までは、平穏に営業する事が出来た。
露店も全て売り切っており、順調である。
ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。
驚くべきことに、第一騎士団も12人で来店した。
副隊長のアーロンは、こう言っていた。
「お前は料理も美味いんだな。たまになら、食べに来てやってもいいぜ。特別だぞ!」
俺は素直じゃないこの青年が嫌いになれなかった。
「アーロンに来て貰えて嬉しいです。ぜひまた、ご来店下さいね」
「ふん! また来てやるよ」
そんな調子でアーロンは帰っていった。
さて、アディスのお見合いであるが、和やかに終わったらしい。
アディスは、お断りしたのだそうだ。
「俺にはもったいない女性です。お断りさせて下さい」
交際を申し込んだジョセフィーヌは、残念そうに微笑んでいたとのことである。
「わたしじゃあ、アディスの妻になれないのね。とても残念だわ」
後で、アディスはこう言っていた。
「ジョセフィーヌは皿洗いもしたことのない金持ちの娘です。俺とは住む世界が違うと感じました。今回はご縁がなかったですね」
アディスはさして残念そうでもなかった。
きっとこういうことがよくあるのだ。
そんな風にアディスのお見合いは、終了したのだった。




