《ババロア》のカレー
6月21日。
休日である。
今日はサフア屋で《アフロディーテ》の料理番に料理帳を伝授する日だ。
午前9時にサフア屋の2階の調理場に集合した俺は、10人の料理番達と対面した。
料理長は、柔和な笑顔の男性だ。
「まず、パスタを5種類お教えします。その後にサンドイッチも5種類。甘味はその後です。パスタの担当は決まっていますか?」
「わたしがやります!」
「では、宜しくお願いします。まずはミートソースの作り方を覚えて下さい」
俺は順番にパスタソースを教えていく。
「次はサンドイッチです。サンドイッチの担当は、どなたでしょう?」
「わたしです!」
「では、宜しくお願いします。まずはユーカンで兎肉を焼いていきましょう」
サンドイッチも5種類教えて、午後3時。
「甘味は和菓子から教えていきます。和風の菓子を俺は和菓子と呼んでいます。和菓子の担当は4名お願いします」
4名が名乗りを上げ、まずはガル大福から教える。
次に、白玉あんみつ、3食のおはぎと、粒あんがけの草団子、わらび餅とどら焼きを教えた。
もう夜も遅いので、今日はここまでである。
料理番達は意欲に燃えていた。
きっと美味しい菓子を作れるようになるだろう。
それと、画家が一人、やってきていた。
パスタの絵が描けたので、見てみると、さすが上手であった。
文字も担当するようで、商品説明を聞かれた。
目まぐるしい1日であったが、無事に終わって良かった。
6月22日から6月27日まで、平穏に営業する事が出来た。
露店も全て売り切っており、順調である。
ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。
6月28日。
今日は俺の誕生日祝いをする日である。
午前11時すぎ、リリアがやってきた。
「今日も可愛いね、リリア。じゃあ、行こうか」
「ん。行こう」
俺達は手をつなぎ、ゆっくり歩いて行く。
「《アフロディーテ》のプレオープンに呼んで貰えて嬉しい。いつものメンバーは、全員参加?」
「うん。プリム、ジュレ、リーズヘッグ、カトリーヌ、アイロス、リエル。それと、ファナとユーゴ、アディス。俺とリリアと仲間の3人を加えて14名だね。それと第一騎士団の騎士が12名と、第三騎士団の騎士が12名。凄い人数だろう?」
「凄いね。第一騎士団の騎士って、あのお城で会った騎士だよね? キョウスケの菓子が食べられて、幸せだね」
「うん。喜んで貰えるといいな」
しばらくして、目的の料理屋に到着した。
「ここが、《ババロア》」
俺達は店に入り、給仕に案内されて、奥のテーブルに着席した。
「カレーと、肉料理を適当に頼むね。すいませーん、カレー2つと、兎肉の帽子焼きを2つ、お願いします!」
「かしこまりました」
給仕がお茶を置いて下がっていく。
「《相良亭》にね、先週も行ってきたの。お店は見違える位、繁盛してたよ。お客も満足げだった」
「それは良かったね。ロイも頑張っているんだね」
「ん。奥さんもにこにこしてたよ」
俺は微笑ましい心地になった。
「お待たせしました」
料理が到着した。
カレーは普通の色である。
煮汁を飲んでみると、結構辛い。
具材は基本の3種類が使われている。
「辛いけど、美味しいね」
「ん。美味しい」
リリアの笑顔が可愛い。
次は、肉料理である。
器の上部がサフアで覆われている。
匙で崩してみると、牛の乳で作った煮汁の上に乾酪がたっぷり乗っていた。
具材は、ニンジンのごときメイリグ、ブロッコリーのごときセルル、ジャガイモのごときフォンディだ。
煮汁は優しい味わいで、兎肉もトロトロだ。
これは、美味しい。
「すごく美味しいね」
「ん。これは好きな味」
俺達はゆっくり美味しい食事を楽しんだ。
店を出ると、リリアが宣言した。
「《星くずの道》へ行こう!」
「うん。嬉しいな。楽しみだよ」
「菓子のコンテストに出していた菓子が食べたいよね」
「うん。あれは美味しそうだったからねぇ」
15分程歩いて、店に到着した。




