甘味屋の開店準備
6月8日から6月13日まで、平穏に営業する事が出来た。
露店も全て売り切っており、順調である。
ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。
ローガンはこんな事を言っていた。
「第一騎士団の連中にも200個、差し入れしておいた。食べた奴らは美味さに驚いておったぞ。菓子に干しペリルを入れるとはなぁ。7月に開店する甘味屋も宣伝して置いたぞ! 菓子のコンテストの優勝者の菓子だからな。飛ぶようになくなったわい!」
俺は宣伝をしてくれたローガンに、重ねてお礼を述べて置いた。
6月14日。
休日である。
今日は、甘味屋の開店に向けて、緊急会議を開くことになった。
参加メンバーは、プリム、ジュレ、リーズヘッグ、カトリーヌ、俺とアイロス。
場所は、《竜の跳ね鳥亭》である。
「今日は、集まってくれて感謝する。甘味屋の開店に向けて、意見を交わして貰いたい」
リーズヘッグがそう、尋常に挨拶した。
俺はお茶と、お茶請けに小さく切ったガトーショコラを配膳した。
「これが間取りよ。調理場は20名用、店内は6名がけのテーブルが個室合わせて25個。150名を収容出来るわ。甘味屋は午前11時に開店、午後6時に閉店よ」
カトリーヌが図面を出して、説明する。
「随分大きな店にしたんだねーっ! 150名をさばく給仕って、中々想像がつかないよ」
「きゅ、給仕は何名雇うんですか?」
「とりあえず、個室もあるから15名を用意しているわ。個室は5つね」
「貴族も来店しそうだもんねーっ! 個室には1人ずつ張り付くの?」
「ええ。お会計もテーブルで済ませるわ。だから、店内を回すのは実質10名ね」
プリムとジュレが配膳について思案している。
「料理番は何名雇うんだ?」
「今のところ、10名よ。それと、2階は従業員用の寮にするつもりなのよ」
アイロスの質問に、カトリーヌが答える。
「工事の着工はもう頼んであるわ。大通り沿いの良い土地が買えたの。西地区までここから半刻程ね。立地は最高よ」
「店名はもう決まっているのかな?」
「それが、迷走中なのよね。竜にちなんだ名前にしようと考えてみても、ピンと来なくってね」
「竜にちなんだ名前かぁ」
「候補はね、竜の王冠、竜のひげ、竜の爪痕、竜の咆哮ね」
「随分勇ましいですね」
「でしょう? わたしはもっと女性らしい名前が良いの。竜に関係なくて良いから、何かない?」
「女性らしい……アフロディーテはどうでしょう?」
「響きが美しいわね。どういう意味?」
「俺の故郷の女神の名前です」
「良いわ、リーズヘッグやみんなはどう? 他に候補はあるかしら」
俺達はしばらく話し合った。
結果、アフロディーテに決定。
「午前11時からやるなら、昼食は出すのか?」
「悩んだけど、パスタとサンドイッチを出すことにしたの。パスタとサンドイッチの料理帳も教えて貰わないといけないわね」
「料理帳を教えるのに1日じゃ無理だ。来週の6月21日と、7月7日を使って良いかな?」
「わかったわ。サフア屋の2階の調理場を使って頂戴。午前9時集合で如何?」
「わかった。あとは、献立の種類が多いだろう? 帳面を用意して、絵を書いて貰うのはどうだろう」
「なるほどね。絵画はエンリコが得意だから、すぐに画家を用意するわ。6月21日と7月7日に描いて貰うようにするから。テーブルの数だけ必要になるから、結構大仕事だわ」
カトリーヌは飲み込みが早い。
きっと素敵な献立表を作るだろう。
「開店は7月18日。わたしの誕生日に開店するわ。7月14日は、予備日ね。キョウスケは予定を空けておいて貰える?」
「わかった。後さ、持ち帰り用の菓子も販売してくれないかな? 《竜の跳ね鳥亭》で作るのは限度があるんでね」
「なるほど……持ち帰り用の菓子も並べる場所を作らなくちゃね。内装は凝った作りにするから、楽しみにしていて頂戴」
カトリーヌは絶好調だ。
その後も会議を続けて、夜まで話し合った。
7月14日は、プレオープンとして、俺達も客として向かうことになった。
俺はリリアと仲間の皆さんを誘い、アイロスはリエルを誘っていた。
エンリコとサリーも、来店するとのことである。
他にも若干名呼んで良いとのことだったので、ダビとルルイエ、ローガン率いる騎士達にも声をかけることになった。
6月15日から6月20日まで、平穏に営業する事が出来た。
露店も全て売り切っており、順調である。
ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。
ダビとルルイエは、《アフロディーテ》のプレオープンの誘いに喜んで応じてくれた。
ローガンに《アフロディーテ》への招待を持ち掛けたところ、こう言われた。
「お誘い、ありがたく受けさせて頂く。それでものは相談なのだが、第一騎士団の騎士達も12名で良い。一緒に行って構わぬだろうか?」
「ええ。勿論大丈夫です。ご来店をお待ちしておりますね」
「第一騎士団の連中は、菓子のコンテストで優勝したヨーデルパフェを食べたいらしい。領主様も褒めていらしたそうなのだ。宜しく頼むぞ!」
俺はカトリーヌに伝言を送り、騎士の大量招待に了承を貰った。




