ローガンに相談
「彼等は何だったんだろうね?」
「わからんな。第一騎士団を見れたのは良かったが、友好的な態度ではなかったな」
エミューの車の中、リーズヘッグがそう言った。
「キョウスケの菓子が食べたいんだよ、きっと」
心優しきリリアがそう言う。
「菓子かぁ。300個でもきつかったからなぁ。大隊は1000名もいるって話だし、迂闊に作るなんて言えないな」
「その時は徹夜するしかあるまいな。あの男はキョウスケの菓子を食べたがっていた」
アイロスが最終手段を言う。
「それは最後の手段だね。一応、ローガンに相談してみるよ」
「帰って良いって言ってくれた人は優しかったですね……」
リエルがしみじみ呟く。
「それより、昼食の料理はどうだった? 俺は肉料理が美味しかったよ」
「貴族は辛い料理が好きなのだな。俺は肉料理が良かった」
「わたしは美味しく頂いたわ。野菜料理と、肉料理が好きだったわ」
リーズヘッグとカトリーヌがそう感想を述べた。
「わたしは、全部美味しかった。キョウスケの菓子は、夢のような美味しさだった」
リリアが嬉しそうにそう感想を述べた。
「味の濃い料理だったな。俺も肉料理が美味かった」
「わたしは野菜料理と肉料理が好きでした」
アイロスとリエルがそう感想を述べた。
「俺はもっと美味しいと思っていたから、少し残念だったよ。乳脂は使いすぎだ」
「それが貴族の流儀なのさ。仕方あるまい」
「良い勉強にはなった。俺にとって1番美味いのは、キョウスケの料理だ。美味くない料理はあったが、楽しかったぞ」
リーズヘッグとアイロスがそう述べ立てる。
「俺も良い勉強にはなったよ。カトリーヌは7月に開く甘味屋を宣伝したんですか?」
「もちろんよ。貴族にも来て頂けるような店にしないとね。宣伝は大いにさせて貰ったわ」
「貴族には個室を用意すべきだろうな」
「ええ、そうね! 店をもっと広くしましょう!」
リーズヘッグとカトリーヌが盛り上がっている。
「今日は楽しかった。領主様も奥方様も、素敵だった。5月28日は、どこに行こうか。出来れば、カレーの食べ比べをしたいね」
リリアの言葉に、俺はカトリーヌに向き直る。
「カトリーヌ。カレー粉を買っている料理屋を知らないかい? 8店舗は知ってるよ」
「勿論知っていてよ。8店舗なら、《コキュートス》までかしらね。《まほろばの夢》、《ターレスの月》、《ババロア》、《ファーナード》の4店舗で如何かしら。カレー粉は良い儲けになるのよ。カレー工場もフル稼動しているわ」
「ありがとう、カトリーヌ。リリア、来週はカレーの食べ歩きをしようか」
「ん。とても楽しみ」
車が検問所に着き、車を乗り換える。
それから半刻程経って、《竜の跳ね鳥亭》へ到着した。
帰りは送って貰えるとのことなので、俺はリリアに笑いかけた。
「じゃあ、またね。リリア」
「ん。また28日に」
俺とリーズヘッグは車を降りて、家へ帰った。
俺は少し部屋で休んでから、晩餐作りを始めることにするのだった。
5月22日から5月27日まで、平穏に営業する事が出来た。
露店も全て売り切っており、順調である。
ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。
ある日のローガンに、俺は第一騎士団の騎士の事を相談させて頂いた。
「なんと! 気位の高い第一騎士団の騎士が、菓子をせびったのか。それは愉快であるな! ならば俺が第一騎士団に届けてやろう。金は払うから、500個、焼き菓子をお願いしたい! 出来ればこの間とは違う菓子が良いな」
「500個ですと、黒銅貨25枚になってしまいますよ?」
「1個半銭なら安いものよ! では、次は5月30日に来る。宜しく頼むぞ!」
そんなわけで、5月29日は徹夜が決定した。
ローガンは上機嫌に笑っていた。
5月28日。
今日は、リリアと逢い引きをする日だ。
午前11時の鐘が鳴ってから少しして、リリアが現れた。
ワンピース姿に、胸には俺の贈ったアミュレットが輝いている。
「今日も可愛いね、リリア。じゃあ、行こうか」
「ん。行こう」
俺達は手をつないで、ゆっくり歩き出した。
「先週はお疲れ様。領主様が気さくな方で、ほっとしたよ」
「ん。とても緊張したけれど、良い勉強になった」
「ああ、第一騎士団の騎士には、ローガンが差し入れをしてくれる事になったよ。黒銅貨25枚も菓子に使うなんて、剛毅だよねえ」
「黒銅貨25枚!? すごい金額だね」
「菓子を500個も焼くから、俺達はちょっと大変だけどね」
「あの騎士も、きっと喜んでくれるよ!」
「うん。そうだと良いな」
そして、最初の店に到着した。




