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中華麺の売り込み

 店に帰り着いたのは、午後1時を過ぎてからだった。


「リーズヘッグ、昼食はパスタで良いかい?」


「良いぞ。キノコのクリームパスタが良い」


「了解! カトリーヌの都合がつくといいね」


「相手は領主様だぞ。こちらの方が重要じゃわい」


 俺達は帰りに伝言屋に寄ってきていた。

 カトリーヌとリリアに、5月21日の予定を聞いているのである。

 後はアイロスとリエルに予定を聞かねばならない。


「はい、お待たせ。キノコのクリームパスタだよ」


「おお、美味そうだ。優勝おめでとう、キョウスケ」


「ありがとう。すごく嬉しいよ」


 俺達は美味しいパスタを食べながら、大会の余韻に浸るのであった。




 4月22日から4月27日までは、平穏に営業する事が出来た。

 露店も全て売り切っており、順調である。

 ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。


 カトリーヌとリリアも、5月21日の予定を空けてくれた。

 次はアイロスである。


「何? 俺も連れて行くのか?」


「うん。リエルと一緒に参席しておくれよ。あと調理も手伝ってくれ」


「わかった。ファナに伝言を頼むから、返事は明日まで待ってくれ」


 その後、リエルからも了承が得られて、準備は整った。




 4月28日。

 今日はサフア屋に中華麺を売り込みに行く日である。

 俺は朝から麺を打ち、中華麺をこしらえた。

 リーズヘッグと共にサフア屋まで歩き、カトリーヌに面会を申し込んだ。


「優勝おめでとう、キョウスケ。今日は中華麺を売ってくれるのね?」


「うん。出汁の取り方も教えた方が良いよね?」


「お願いするわ。今が午前10時だから、午後12時に間に合うかしら」


「だいたい2時間かかるから、ギリギリだね。早速取り掛かるよ」


「ラーメンは3種類用意してね。食べ比べるわ!」


 俺は小姓に案内されて、調理場に入った。


「よう、キョウスケ! 菓子のコンテストで優勝したそうだな! カトリーヌ様がお喜びだったぞ」


「ありがとうございます。お久しぶりです、ホルエン料理長。時間がないんで、出汁の取り方から教えます」


「おう! それが今回買い取る中華麺ってやつか」


「はい。出汁の取り方を説明して、チャーシューも煮たら、麺の作り方を説明します」


「おうよ! 補助に3人つける。さぁ、どんと来い!」


「では、リューカの骨を煮込んでいきます。臭み取りに使う食材ですが……」


 俺は順々に教えていった。

 この料理は熱が逃げると台無しなので、調理場の隣の食堂で食べて貰う事になった。

 エンリコとサリーも参席するとのことである。


 それから時間が過ぎて、午後12時の鐘が鳴った。

 小姓に呼ばれて、食堂へ行く。

 後はホルエン料理長にお任せだ。

 

「お待たせしました。エンリコとサリーは、お久しぶりだね。元気そうで何よりだ」


「おお、キョウスケ。菓子のコンテスト、優勝おめでとう。今日は美味い料理を食べさせてくれるそうだな」


「ありがとう。ラーメンっていう料理なんだけど、お口に合うかな」


「お久しぶりです、キョウスケ。優勝おめでとう。今日はあなたの料理を食べられると聞いて、胸が沸き立っています」


「ありがとう。ラーメンは3種類あるから、食べ比べてみておくれよ」


 エンリコとサリーに挨拶して、カトリーヌに向き直る。


「カトリーヌはご機嫌だね。甘味屋の話が進んだのかな?」


「ええ、そうよ。今は間取りを決めているの。楽しくてたまらないわ」


 リーズヘッグは仏頂面だが、協力してあげているのだろう。

 

 扉が開いて、若い料理番が入ってくる。

 カートに乗ったラーメンが湯気を立てている。


「こちらは、ユーカンラーメンになります。ごゆっくりお召し上がり下さい」


 いざ、実食である。

 チャーシューも美味しく出来ている。

 トッピングも申し分ない。

 俺は麺を突き匙で巻き取って食べた。


「この料理は俺の故郷の料理なんだよ。お味はどうだい?」


「上に乗っている肉が美味い。麺はパスタと違うな。コシがあって、のどごしが滑らかだ」


「美味しすぎて、びっくりしました」


 エンリコはさすが、細かい所を見ている。


「今日はこの中華麺を売り込みに来たんだ」


「なるほどな。カトリーヌ、この料理も露店で売るのか?」


「ええ。ただ、トーテムラーメンだけは、キョウスケの知り合いが料理帳を買うの。だから2種類を交互に出そうと思っているわ」


「さすがカトリーヌ様は仕事が早いですね。見習いますわ」


 サリーはカトリーヌに憧れているようだ。

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