菓子のコンテスト、終了
「では次に参りましょう。10番、泡沫の夢。菓子の配膳をお願いいたします!」
メイドが順番に菓子を配膳していく。
「菓子の解説をお願いいたします!」
「卵白を泡立て、サフアと混ぜて焼き上げました。味は3つ、ケイン、ペリル、ガルです」
「軽い食感が素晴らしい」
「どれも美味い」
「楽しい食感ね」
「食感は素晴らしい。味付けに少し調和の乱れを感じました」
メレンゲクッキーみたいなものかな。
美味しそうだ。
「では、次に参りましょう。11番、アドンデス。菓子の配膳をお願いいたします!」
メイドが順番に菓子を配膳していく。
「菓子の解説をお願いいたします!」
「これは、蒸し饅頭です。中身はペリルと牛の乳から作った凝乳です」
「普通ですな」
「美味しいと思いますぞ」
「ありきたりね」
「悪くない仕上がりでした」
無難な感想だな。
良くも悪くもないってことか。
「では、次に参りましょう。12番、天上の砂。菓子の配膳をお願いいたします!」
メイドが順番に菓子を配膳していく。
「菓子の解説をお願いいたします!」
「これは、タペの饅頭です。具材に蜜漬けにしたテテトを使っています」
「へえ。思っていたより食べやすいですな」
「テテトの味は良いですね」
「タペの甘さとぶつかってしまっている印象を受けますわ」
「発想はよろしいです。ですが、調和が乱されています」
ホタテのごときテテトか。
蜜漬けにすると、どんな味になるんだろうな。
「では、菓子は全て出揃いました! これから選考に入ります。15分程休憩と致します!」
会場が一気にざわめく。
お気に入りの店の応援に来た人もいるのだろう。
リリア達も、来ているかな。
「すごい人数が見に来ているんだね。菓子の人気を思い知らされた心地だよ」
「菓子が好きな人間にとっては、見逃せない大会なのさ。ヨーデルパフェは《竜の跳ね鳥亭》で出すのは、厳しいんだろう?」
「うん。出す直前に生クリームを攪拌しないといけないからさ。カトリーヌの甘味屋に期待だね」
「カトリーヌの誕生日は7月なんだ。今から店を作っても、十分間に合うだろう」
まだ優勝してないけど、リーズヘッグは甘味屋を作ることに乗り気なのかな?
「それにしても、美味しそうな菓子ばかりだったね。俺も食べたくなったよ」
「どの店も自慢の菓子だ。きっと美味いのだろう」
「《星くずの道》っていう店は、この間、リリアと行ってきたよ。団子が美味しかった」
「過去に優勝したこともあるっていう店だな。確かに美味そうだった」
15分が経過し、司会が声を張り上げる。
「お待たせ致しました! 選考の結果が出たそうです! お静かに願います!」
会場が静まり返り、ずっと辛口の批評をしていた伯爵様が、前に出てくる。
「12人の料理番が集まり、熾烈な戦いを繰り広げた。今日の料理番は、いずれも素晴らしい腕を持っていた。これからも切磋琢磨し、素晴らしい菓子を誕生させることを切に願う。今日はご苦労だった」
俺達は一礼する。
「優勝者は、満場一致で可決された。《竜の跳ね鳥亭》の店主リーズヘッグと、料理番キョウスケ、前に出てこい!」
俺とリーズヘッグは壇上の真ん中に進み出る。
「今日のヨーデルパフェは見た目も良く、具材も美味しく、遊び心に富んでいた。素晴らしい菓子をありがとう。皆よ、今日の優勝者に拍手を!」
瞬間、拍手が沸き起こる。
俺とリーズヘッグは深く頭を下げた。
「ではまず、《竜の跳ね鳥亭》の店主リーズヘッグに喜びの声を頂きましょう!」
「今日は素晴らしい大会で優勝する事が出来て、とても嬉しく思っている。うちの料理番キョウスケによる菓子の店を、今年の7月に西地区で開店予定だ。今日の菓子も出すので、是非食べに来てくれ。以上だ」
「ありがとうございました。では次に、料理番キョウスケにお言葉を頂きたいと思います」
「今日は沢山の菓子の中から選んで頂き、誠にありがとうございます。夜の《竜の跳ね鳥亭》では、様々な菓子をお出ししています。お気軽にお立ち寄り下さい。今日の菓子はお出ししていないので、ご注意下さい。7月に開店する甘味屋も、どうぞ宜しくお願い致します。今日は皆さん、ありがとうございました!」
俺はもう一度頭を下げて、前を向いた。
たくさんの人が、興味深そうにこちらを見ている。
俺は優勝した嬉しさを噛みしめて、しばらく立ち尽くすのだった。
「それでは、菓子のコンテストを終了いたします。本日はご来場ありがとうございました」
会場のざわめきに背を押されるように、俺達は別室へ通された。
審査員の6名もいて、メイドがお茶を運んでくる。
「固くならず、くつろいでくれ。わたしはデッケン伯爵家のエリオルだ。わたしは菓子に目がなくてね。君の菓子には感動したよ」
「お口に合ったなら光栄です。ありがとうございます」
「賞金はミッケルから渡してくれ」
「ああ。おめでとう」
リーズヘッグが受け取り、頭を下げる。
「ありがとうございます」
「次に、領主様に会って貰う日程だが、5月21日はどうだね?」
「はい。問題ありません」
「では、領主様と一緒に昼食を取って貰い、その後に菓子を仕上げて貰う。午前10時にエミューの車で迎えをやる。通行証は御者に持たせる」
「わかりました。何名様分を作れば宜しいのでしょうか?」
「ざっと20名と言ったところだ」
「今日の菓子は、器が大事なのです。器は持ち込みでしょうか?」
「城で用意させるから、材料と器と、他に必要なものがあれば、それも言え。ミッケル、頼まれてくれるな?」
「承知しました」
「後は参席者だな。何名で来る?」
「では、弟子と同伴者を加えて6名でお願いします」
「わかった。ではそのようにしよう。後はミッケルと話し合ってくれ。では、またな」
エリオル様はそう言って帰っていった。
その後はミッケル様と話し合い、必要なものを準備して貰う事になった。




