↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
120/156

菓子のコンテスト、開始

 《相良亭》を出て、店まで歩く。

 20分程歩いて《竜の跳ね鳥亭》へ到着した。

 

「今日もお土産を用意してるんだ。ちょっと待っていてね」


 俺は速やかにお土産を持ち、戻ってきた。


「今日の菓子は、マドレーヌだよ。仲間の皆さんにもよろしくね」


「ん。すごく喜ぶ。ありがとう」


「じゃあ、またね」


 リリアが瞳を閉じたので、俺は口づけをした。


「またね」


 俺はリリアに手を振り、自室に戻るのだった。




 4月15日から4月20日まで、平穏に営業する事が出来た。

 露店も全て売り切っており、順調である。

 ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。




 4月21日。

 今日は、菓子のコンテストの日である。

 決戦の日だ。


 俺は早朝午前8時、早めに朝食を食べたリーズヘッグと共に、出発した。

 焼き型や器、材料は持ち込みである。

 荷物を二人で抱え、町民会館まで歩いた。


 半刻程で、町民会館に到着した。

 俺は入場時にゼッケンを配られた。

 ゼッケンは6番と書いてあるそうだ。

 6番目に菓子を提供するらしい。


 調理場には、俺だけが入るとの事だ。

 リーズヘッグは、控え室で待ち、他の店主と情報交換をするらしい。


「じゃあな。頑張れよ」


 リーズヘッグに激励され、調理場へ入る。

 俺は材料を広げて、早速ヨーデルの焙煎を始めた。

 コンテストの開始は、午前10時からの筈だが、俺を含めて12人の料理番が揃っている。

 俺は全力を尽くすと決めて、菓子の具材を作り上げていった。


 俺の菓子は食べる直前に組み上げる必要があると言うと、順番が来るまでは、会場で料理番席に座る必要があると言われた。

 俺は6番なので、5番が呼ばれたら作り始めれば良いだろう。

 俺は余裕を持って作業を終える事が出来た。


 町民会館は大きな建物である。

 舞台中央に審査員席が6つあり、両側に12個ずつ、椅子が並べられている。

 料理番は全員で12名なので、6名ずつ分かれて座るとのことだ。

 俺はリーズヘッグの隣に座った。

 

「守備はどうだ?」


「バッチリさ。順番が来たら、最後の仕上げをするよ」


 周りを見渡しても、店主と一緒に来ている料理番が多そうだった。

 観客の入場が始まり、会場に熱気が生まれていく。


 午前10時の鐘が鳴った。

 菓子のコンテストの開始である。


 審査員も6名全員着席している。

 司会が出て来て、拡声器で喋り出した。


「お集まりの皆さん、お待たせ致しました! 只今より、菓子のコンテストを開催致します。参加するのは、12名の料理店です。優勝者には賞金と、領主様に菓子を提供する栄誉が与えられます!」


 おおおお、と客席が騒ぐ。

 そして、一軒ずつ、名前が呼ばれていく。

 

「6番、《竜の跳ね鳥亭》。店主リーズヘッグと料理番キョウスケ」


 拍手に応えて、一礼する。

 そして12軒の紹介が終わったら、次は審査員だ。


「菓子に詳しい重鎮、デッケン伯爵家のエリオル様、並びにイララギ子爵家のミッケル様、アクエル男爵家のリヒト様。町内会より、ジャバル様、アリエル様、エリーゼ様。以上6名が審査員でございます! 盛大な拍手をお願いいたします!」


 壇上の6名が一礼して着席する。


「それでは、早速菓子の吟味を始めましょう! 1番、流星亭。お願いいたします!」


 メイドが菓子を配膳する。


「それでは料理番より解説をお願いいたします!」


 料理番に拡声器が渡される。


「固めに焼いたサフアの生地に、乾酪と果実で作った凝乳を挟みこみました」


「ふむ。噛むとほろりと崩れますな」


「鮮烈な甘さですね。乾酪の風味も強いですわ」


「しかし、珍しくない手法です。わたしは目新しい菓子を求めています」


 司会がとりなすように声を上げる。


「では次に参りましょう。2番、大地亭。菓子の配膳をお願いいたします!」


 メイドが順番に菓子を配膳していく。


「果実を砂糖で煮たものを団子で包みました。煮汁は野菜で作った煮汁です」


「ほう。野菜を使うのは珍しいですな」


「とっても甘い煮汁ですわ。団子も美味しいです」


「野菜の青臭さが調和を乱しています。美味とは言えません」


 結構美味しそうだったのに、辛辣な言葉だ。

 司会が声を上げる。


「では次、3番、アディオス。菓子の配膳をお願いいたします!」


 メイドが順番に菓子を配膳していく。

 コンテストは始まったばかりだ。

 俺は気を引き締めて、続きを拝聴するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。