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ウィルの為の料理

 3月15日から3月20日まで、平穏に営業する事が出来た。

 露店も全て売り切っており、順調である。

 ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達などの常連も、食べに来てくれた。


「菓子のコンテストがあると言っておったのを、覚えているか?」


 ある日、リーズヘッグがそう言った。


「勿論、覚えているよ。日取りが決まったのかい?」


「うむ。4月21日に決まった。審査員は6名。場所は町民会館で行われる。参加者は、どこにも出したことのない菓子を、6名分用意する。やる気はあるか?」


「勿論さ。4月7日の休みに試作してみるよ」


「では、申請をしておく。参加者は、12名。見物人も入れると100名を超える筈だ」


「へえ。結構参加者が多いんだな。審査員は12個も菓子を食べるんだね」


「順番はくじ引きで決められる。不公平ではない」


「リーズヘッグ、器の件で相談があるんだけど……」


 俺は、菓子に必要な器と匙の形状を詳しく説明した。


「わかった。細工屋に明日相談してくる。4月7日には間に合わせよう」


「ありがとう、リーズヘッグ」


 そんなわけで、4月7日は菓子の試作。

 4月21日は、菓子のコンテストに参加することが決定した。

 優勝者は領主様に菓子を出す栄誉を授かるらしい。

 あと、賞金も、銀貨1枚出るそうだ。

 やるからには、優勝を目指す。

 俺は静かに奮起した。




 3月21日。

 この日は、《銀の匙》の面々に、料理帳を伝授する日であった。

 伝授する料理帳は、7つ。

 ガル大福と、白玉あんみつと、きんつばと、草団子と、ジュピターのシフォンケーキと、スコーンと、ネレボロのゼリー。

 俺は1日かけて、全ての料理帳を伝授した。

 店主のアネモネから、リーズヘッグが銀貨150枚を受け取り、取引も終了である。

 《銀の匙》の面々は、笑顔で帰っていった。




 3月22日から、3月27日まで、平穏に営業する事が出来た。

 露店も全て売り切っており、順調である。

 ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達といった常連も、食べに来てくれた。




 3月28日。

 今日はウィルの為の料理の試食会である。

 午後12時の鐘が鳴り、参加メンバーは全員顔を揃えている。

 参加メンバーは、うちの従業員とカトリーヌ、リリアと仲間の3人。

 それとリエルとユーゴである。

 そこに初対面のウィルが加わる。


 ウィルは、やせぎすの男であった。

 髪は茶色で、瞳は緑色。

 足を引きずったりはしていないようだ。


「初めまして。俺はウィル。今日は俺の為に、わざわざありがとう。料理を楽しみにして来たよ」


「《竜の跳ね鳥亭》へようこそ。俺が料理長のキョウスケだよ。今日は4種類の料理を出すからね。食べ比べてみておくれよ」


 俺は集まったみんなに届くように、声を張り上げた。


「これから4種類の料理を出します。熱が逃げると味が落ちるので、受け取ったらすぐ食べて下さい!」


 俺は調理場に入り、アイロスに麺の茹で上げをお願いした。

 俺は木皿に醤油のごときユーカンのタレを投じて、出汁を注ぐ。

 茹で上がった麺を沈めて、チャーシュー、煮卵、もやしのごときデリカ、キクラゲのようなキノコ、ホウレンソウのごときテーペを盛り付ける。

 出汁はリューカの骨を煮込んで取った特製の出汁だ。

 これはたまらない味わいだろう。


「ユーカンラーメン、6つ、上がったよ!」


「は、はい!」


 配膳はジュレとプリムがしてくれる。

 俺とアイロスは次々にユーカンラーメンを仕上げていった。

 全員分行き渡った後、皿が空くのを待って、次の料理を出す。

 次は、味噌のごときトーテムを使ったタレである。

 トッピングはもやしの代わりにコーンのごときイリュームと乳脂を乗せていた。


「トーテムラーメン、6つ、上がったよ!」


「はーいっ!」


 その後もトーテムラーメンを仕上げ続ける。

 全員分行き渡ったのを確認してから、次の料理だ。


 お次は、豆板醤のごときウルドゥを使ったタレである。

 麺は同じだが、トッピングは変えている。

 ウルドゥラーメンのトッピングは、兎肉の挽肉を使った肉ダレともやしのごときデリカ、ホウレンソウのごときテーペ、キクラゲのようなキノコだ。

 担々麺のイメージで作った料理である。


「ウルドゥラーメン、6つ、上がったよ!」


「は、はい!」


 全員分を作り終わった後、皿が空くのを待って、次の料理に取り掛かる。


 最後は、焼きそばだ。

 兎肉とキャベツのごときノーマと中華麺をウスターソースで炒めれば、完成だ。


「焼きそば、6つ、上がったよ!」


「はーいっ!」


 これで料理は出し終えた。

 俺は食べ終わった頃合いで、挨拶に出向いた。

 このテーブルには、ウィルとリリア、仲間の3名が座っている。


「やあ、リリア。新作のラーメンはどうだったかな?」


「全部美味しかった。 特に辛い味のラーメンが好き」


「仲間の皆さんはどうでしたか?」


「全部美味しかったわぁ……。どれを選んでも、売れるわよぉ……」


「あたしはねー、全部美味しかったけど、1番初めに食べたラーメンが好きかな!」


「あのぉ……全部美味しかったです……」


 ウィルを見ると、何やら考え込んでいる様子である。


「俺は考えがまとまらねぇ。少し考えさせてくれ」


「わかった。他のみんなに挨拶をしてくるね」


 俺は次のテーブルに移動した。

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