リリアの誕生日のお祝い
「お次は、肉料理でございます。兎肉とダリヤの煮付けになります。ごゆっくりお召し上がり下さい」
兎肉とダリヤが、皿の上に鎮座している。
俺はまず、兎肉から食べてみる事にした。
肉は芳醇な旨みで満ちており、知らない味わいだが、とても美味しく感じられた。
カブのごときダリヤは、出汁をたっぷり吸ってトロトロだ。
俺は美味しく食べさせて頂いた。
「すごく美味しかった。あとは菓子だね」
「ん。とっても美味しい。菓子も楽しみ」
リリアが嬉しそうなので、俺も嬉しい。
俺も笑顔で酒杯を飲み干し、お茶で舌をリセットする。
最後の菓子も楽しみだ。
「最後の菓子でございます。メリボーとジェランのサフア揚げでございます。最後までごゆっくりお楽しみ下さい」
見た目は、揚げた春巻きが、2つ。
そこに透明の蜜がかけられている。
俺は突き匙で、春巻きを割り、口に運ぶ。
マンゴーのごときメリボーと、アスパラガスのごときジェランが合うのか、と思ったが、アスパラガスのごときジェランは蜜漬けにされていたようで、果実のような甘さだった。
生地の中の具材はトロリとしており、鮮烈な甘さである。
乳脂で揚げられた生地もパリパリしていて、食感が楽しい。
上にかかっている蜜は、果実の酸味であった。
生地と具材と蜜が、素晴らしい調和を見せている。
俺は大満足の心地であった。
「菓子も美味しかったね。俺はすごく満足したよ」
「ん。菓子も美味しかった。大満足」
リリアが満足げに微笑んだ。
「でも、3月14日は、もっと美味しいって期待しているからね! わたしは、キョウスケの料理が一番好き」
「ありがとう。期待に応えられるように、頑張るよ」
リリアの誕生日は来週だ。
俺は献立を思案する時間が必要だ。
閉店後、居残りをする許可をリーズヘッグに貰わないとな。
それからしばらくして、食事会はお開きとなった。
帰りのエミューの車では、勿論、料理の批評が行われた。
「どんな素っ頓狂な料理かって、身構えてたんだけどね。どれも美味しかったよ」
「ぼ、僕も全て美味でした」
プリムとジュレが、そう感想を述べる。
「俺は汁物料理と肉料理が美味かった」
「わたしは全部美味しかったわ。野菜料理と汁物料理が秀逸ね」
リーズヘッグとカトリーヌがそう感想を述べた。
「わたしも全部美味しかった。特に野菜料理と菓子が美味だった」
リリアもそう感想を述べた。
「食べやすくて美味い料理だった。野菜料理と汁物料理が気に入った」
「わたしは、全部美味しかったです。特に汁物料理が美味しかったですね」
アイロスとリエルがそう感想を述べた。
「俺も全て美味しかったよ。特に野菜料理と汁物料理が美味しかった。良い勉強になったよ」
俺達は車に揺られながら、雑談を楽しんだ。
とても良い体験をさせて頂いた。
ローガンには、重ねてお礼を申し上げたい。
充実した1日は、それで終わりを告げたのだった。
3月8日から3月13日まで、平穏に営業する事が出来た。
露店も全て売り切り、順調である。
ダビとルルイエ、リリアとその仲間達、ローガン率いる騎士達等、常連も食べに来てくれた。
リリアの祝いの料理や、ウィルの為の料理など、試作したい料理が山積みである。
それで俺は、リーズヘッグに居残りの許可を貰った。
午後9時に閉店して晩餐を食べた後、試作に励むのである。
嬉しいことに、アイロスも参加をして、一緒に料理の試作に勤しんだ。
思うさま、料理に没頭する1日は、とても充実していた。
3月14日。
今日はリリアの、誕生日祝いである。
俺は早朝から料理の仕込みを頑張った。
きっと喜んで貰えるとは、思うものの、少し不安だ。
準備は万全だ。
リーズヘッグとプリムとジュレにも、リリアが泊まる事は告げている。
ああ、楽しみだ。
俺は1階の店内で、リリアを待ち受ける。
午前11時の鐘が鳴った。
少ししてから、リリアが現れた。
お洒落なレースのワンピース姿で、とても愛らしい。
「今日も可愛いよ。素敵なワンピースだね。とっても似合っているよ」
「ありがとう。じゃあ、行こう」
お祝いの言葉は、夜までとっておこう。
俺はリリアと手をつないで、歩き始めた。
「リリアの仲間は、元気?」
「ん。元気いっぱい。財宝漁りも、順調」
「それは良かったね。今度、改めて挨拶させて貰いたいなぁ。3月28日は、リリアの仲間達も来るんだよね?」
「ん。キョウスケの料理が食べられるって、喜んでた。ウィルはね、キョウスケの料理帳を買うかはわからないって言ってた。1つしか買えないから、慎重に決めたいんだって」
「うん。慎重になるのは当たり前だよ。3月28日に出す料理が、気に入って貰えるかわからないしね」
「ウィルは結構食べ歩きが好きで、色んなお店を回ってたわ。でもね、これ! っていう料理には出会えなかったみたい」
「なるほどね。新しい料理が好きなら、気に入って貰えるかもしれないけど、こればっかりは好みだからね」
「わたしは心配してないよ。きっとキョウスケの料理をウィルも気に入るよ」
リリアの笑顔が、心地良い。
俺はリリアの期待に応えなければならなかった。




