《月影亭》の料理
2月15日から2月20日まで、平穏に営業する事が出来た。
露店も全て売り切り、絶好調である。
ダビとルルイエ、リリアと仲間達、ローガン率いる騎士達など、常連さんも来店してくれた。
2月21日。
本日は、《月影亭》へ食べに行く予定である。
行く面子は、先週と同じ10人。
プリム、ジュレ、リーズヘッグ、カトリーヌ、リリア、キョウスケ、ファナ、アディス、アイロス、リエル。
午後4時前には全員が集合しており、期待に瞳を輝かせていた。
「今日も楽しみだね」
「ん。すっごく楽しみ」
リリアも紫色の瞳を輝かせている。
やがて午後4時の鐘が鳴った。
エミューの車が到着し、俺達は順番に乗り込む。
半刻程揺られて、検問所に到着した。
リーズヘッグが通行証を出し、俺達は車を乗り換える。
20分程揺られて、車は止まった。
お店は、《六角亭》よりは小さいが、十分に大きい料理屋だ。
2階建てで、周りに花壇がある。
「《月影亭》へ、ようこそお越し下さいました。ご予約のお名前を頂戴出来ますか?」
「リーズヘッグだ」
「かしこまりました。2階のお部屋になります。こちらへどうぞ」
俺達は給仕に案内され、2階へ登った。
上品な部屋に通され、12人がけのテーブルに着席する。
「お酒は何名が飲まれますか?」
「全員飲む。10名だ」
「かしこまりました。今日はペリルで割っておりますよぉ」
リーズヘッグがそう答えると、給仕はお茶と酒を持ってきた。
「午後5時に始めさせて頂きます。しばしご歓談下さい」
給仕が下がり、リーズヘッグが酒杯を掲げる。
「今週もお疲れ様。今日もじっくり料理を楽しんでくれ。では、女神アウローシアの加護を!」
「乾杯!」
俺達は酒を飲み交わす。
「リリア、来週、2月28日の休日は、午前11時に待ち合わせで、良いかな?」
「ん。《竜の跳ね鳥亭》に、午前11時ね。わかった」
「二人きりで出かけるのは、久しぶりだね。カレーの食べ比べで良いかな? 他に行きたい所、ある?」
「カレーの食べ比べが良い。カレーは至高。すごく楽しみ」
「じゃあ、《エリザベス》と、《時計亭》に行こうか。俺もすごく楽しみだよ」
リリアは、幸福そうに微笑んでくれた。
午後5時の鐘が鳴った。
給仕が入ってきて、前菜を並べていく。
「前菜は、三色の煮豆でございます。ごゆっくりお楽しみ下さい」
お皿には、12粒の豆が乗っていた。
色は三色で、緑、赤、紫だ。
これは着色しているのだろう。
俺は緑の豆から食べてみることにした。
緑の豆は、酸っぱかった。
果実の酸味と、甘さが、舌の上に広がる。
赤の豆は、辛かった。
トウガラシ系の辛さである。
紫の豆は、甘かった。
これだけだと菓子のようだが、赤い豆と一緒に食べると、丁度良かった。
更に三色同時に食べると、とても美味しかった。
「これは、不思議な味わいだね」
「ん。思ってたより食べやすい。紫の豆が美味しい」
リリアはそのように言っていた。
「お次は、野菜料理でございます。セルルとエッセンの蒸し野菜です。ごゆっくりお召し上がり下さい」
ブロッコリーのごときセルルと、タケノコのごときエッセンの蒸し料理だ。
上にとろりとしたソースがかけられている。
俺はセルルを食べてみた。
セルルは蜜のような甘さであった。
そしてタケノコのごときエッセンは、濃いめの味付けで、しょっぱい。
上にかけられたソースは、クルミのごときカテラッセをすり潰し、乳脂や野菜、果実と合わせたもののようだ。
それらを一緒に食べると、美味しい。
食べ慣れない味わいだが、食べやすかった。
「お次は、サフア料理でございます。本日はキノコとイノッサのパスタです」
トマトのごときイノッサの赤色が鮮やかなパスタだった。
もしかしたら、辛いのだろうか?
食べてみると、果実の甘さたっぷりのパスタであった。
キノコとトマトのごときイノッサは、塩辛く炒められている。
煮汁がとても甘いのだ。
「これは意外な味付けだけど、美味しいね」
「ん。甘い煮汁が美味しい」
リリアはそう感想をくれた。
「お次は、汁物料理でございます。テテトとフォンディの甘辛汁になります。辛さは控え目ですので、ご安心下さい」
ホタテのごときテテトと、ジャガイモのごときフォンディは、はっきり甘く煮付けられていた。
煮汁はピリ辛で、甘い具材を噛むと、果実の甘さが溢れ出る。
辛さと甘さのバランスが絶妙で、これは美味であった。
「これは美味しいね。リリアはどう?」
「すごく美味しい。辛くて甘い。わたしの好きな味」
リリアは嬉しそうに具材を頬張った。




