菓子の試食会
1月27日。
この日も平穏に営業をすることが出来た。
露店も全て売り切ったそうだ。
特筆すべきは、ダビとルルイエが顔を見せた事であろうか。
仲間のマリックとジェイクも常連になってくれて嬉しい。
1月28日。
今日は朝食もそこそこに、菓子の作成に心血を注いだ。
今日は菓子の食べ比べをする日である。
そして、《銀の匙》の店主アネモネが、甘味処を開く為、うちから買いたい料理帳を選ぶ日でもある。
参加者は、プリム、ジュレ、リーズヘッグ、カトリーヌ、ファナ、アディス、リエル。
それにリリアと、その仲間達の3名だ。
俺とアイロスは、調理を担当する。
午後3時開始なので、余裕はあるが、ゆっくりともしていられない。
俺とアイロスは分担して、菓子を作っていく。
昼食は軽く済ませ、ラストスパートだ。
俺はどの菓子が選ばれても構わない。
ただ力を尽くして、菓子を作り上げた。
午後3時の鐘が鳴った。
参加者の全員が顔を揃えた。
リーズヘッグとカトリーヌは、奥のテーブルに座っている。
リリアとその仲間達も、目を輝かせている。
初見はやはり、リエルであろう。
リエルは金髪の長い髪に、青色の瞳。
整った容姿で、とても胸が大きい。
「あの、初めまして。今日は菓子の食べ比べに呼んで貰えて嬉しいです。すっごく楽しみにしてました!」
「《竜の跳ね鳥亭》へようこそ、リエル。俺は料理長のキョウスケ。アイロス共々、宜しくね」
そして次は、《銀の匙》の面々だ。
店主のアネモネは、柔和な態度で一礼した。
「本日はお世話になります。3名の料理番共々、菓子を吟味させて頂きます。今日は美味なる菓子を楽しみにして来ましたよぉ」
料理番は全員男性で、俺に目礼をしてくれた。
「ようこそ、《竜の跳ね鳥亭》へ。今日は多数の菓子をお出しします。どうぞごゆっくり味わって下さい」
アネモネと弟子達も着席して、試食会のスタートである。
「まず最初に、ガル大福と、白玉あんみつ。おはぎと、粒あんがけの草団子。わらび餅とどら焼きになります」
よもぎに似た香草を見つけて、草団子を作ってみたのだ。
どら焼きの皮には卵の殻を混ぜ込み、香ばしい風味を出すことに成功した。
おはぎはあんことごま、きな粉の3つの味を用意している。
「取り分ける為に、小刀も用意してあります。お茶のお代わりもお気軽にお申し付け下さい」
アネモネ達は、菓子を切り分けてシェアするようだ。
ある程度食べ終わるのを待って、話しかける。
「俺はこのように、餡子や餅を使った料理を和菓子と呼んでいます。お味は、如何でしょうか?」
「どれも美味しくて目移りしちまいますねぇ。料理番達は、どうだい?」
「この草団子の苦みと餡の甘さが気に入りました」
「俺はこの透明のぷるぷるした食べ物が気になります」
「ガル大福が一番美味しい」
「おやおや、意見が割れちまいましたねぇ。まあ、じっくり選ばせて頂きますよ」
俺は頷いて、次の菓子を運んでいった。
「次はきんつば、みたらし団子、水ようかん、栗蒸ようかん、大学芋と、ぜんざいです。和菓子はここまでですね」
アネモネと料理番達は、じっくりと味見をしてくれた。
俺はお茶のお代わりを注ぎつつ、感想を聞く。
「あたしはこのきんつばが、口に合うようですよぉ」
「このようかんという食べ物は、買うべきです」
「大学芋が、とても美味しいです」
「ぜんざいの甘さが染み渡る美味しさです」
どうやら、どれも好評のようだ。
俺は次の菓子を持ってきた。
「次は洋菓子です。ジュピターのシフォンケーキ、モンブランのタルト、ミルフィーユにペリルのパウンドケーキ。そしてチョコバナナパイですね」
「こりゃあ、華やかですねぇ。あたしは、チョコバナナパイってやつが好きですねぇ」
「ジュピターの香りのシフォンケーキが美味です」
「モンブランのタルトも捨てがたい」
「俺もチョコバナナパイが好きだ」
俺はお茶のお代わりを注ぎつつ、問いかける。
「まだあるんですが、食べられますか?」
「勿論さ。この為に昼食は干し肉をかじってきたんですよ。どんどん持ってきておくれ」
俺は頷いて、次の菓子を持ってきた。
「パーリーのクレープと、ネレボロのゼリー、ミロ団子と、ガルのジャムを添えたスコーン。それに、ミルクレープとあんまんです。これで最後ですね」
「キョウスケは甘味屋も開けるよ。凄い数の菓子じゃないか。あたしは、スコーンってやつが美味しいねぇ」
「あんまんも見逃せない」
「ミルクレープが美味しい」
「ネレボロのゼリーが良いです」
意見はバラバラだが、菓子は好評のようだ。
「少し、料理番と相談させて頂きますねぇ。残りの菓子をゆっくり頂きますよ」
「わかりました。どうぞごゆっくり」
俺はお役御免である。
俺はリリアのテーブルに向かうのだった。




