93.トマホーク殺人事件
「ガイシャは、成田悦司。〇〇大学の教授だが、テレビの辛口コメンテーターとして有名で、出鱈目を言ってはバレて謝罪をしているので、『ゴメンてーたー』と揶揄されている。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
赤井悦夫・・・機動捜査隊の警部補。
神道助六・・・捜査二課課長。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『トマホーク殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、成田悦司。〇〇大学の教授だが、テレビの辛口コメンテーターとして有名で、出鱈目を言ってはバレて謝罪をしているので、『ゴメンてーたー』と揶揄されている。発見者は、番組をドタキャンしているので、様子を見に来た、牧尾健二。牧尾は成田が雇用されているプロダクション白垢舎のマネージャーだ。遺体は、写真に見えている通り、トマホークが刺さっている。井関さん。」
「変わった死体、というか、死に方と言うか・・・ガイシャは、頭にヅラを被されている。よくコントで使うヅラで、トマホークの部分は、通常はイミテーションだ。で、わざわざ、そのヅラに本物のトマホークを被せてある。頭蓋骨陥没しているから凶器に違い無い。漫画やドラマやコントと違い、頭蓋骨に直接トマホークをめり込ませるのは簡単じゃない。その凶器だが、赤井の話では、ガイシャの持ち物じゃないかと牧尾は言ったそうだ。成田はキャンプが趣味だと広く知れ渡っているそうだ。秋野、トマホーク。」
「はい。コレはレプリカですが、『トマホークはネイティブアメリカンのアルゴンキアン語で「切るための道具」を意味する、tamahakanが語源で、日常工具や戦闘に使われた投擲も可能な片手斧である。柄が喫煙用のパイプになっているトマホークもある。投擲距離は5メートルから20メートル。原則として柄は木製である。柄の長さは30-50センチメートル程度。鉄器を使用するヨーロッパ文明との接触以降、斧は鉄製となり、以前はそれとよく似た石斧や棍棒「ガンストッククラブ」を用いていた。現在は木の柄に斧と鎚になる金属部品を付けた物を「インディアントマホーク」として通信販売しているウェブサイトもある。』と、ネット検索すると出てきます。」
「ホシが、漫画等の場面をイメージしたのかも知れないが、辻さん、成田が出た番組で『トマホーク』の話題が出たことがあったか、確認してください。怨恨というより、復讐心かも知れない。」
「了解しました。」
「あれ?神道。何かようか?」
「大歓迎、ありがと。実は、マスコミ沙汰になっていないが、成田は結婚詐欺で訴えられている。よくあるパターンだ。妻子がいるのに口説いて『女房とは別れるから』なんて言って。」「そっちでも『ゴメンてーたー』か。」と大曲先輩が割り込んだ。
「お前も、トマホークで叩かれないように注意することだな。」と、蘭子は嫌味を言った。
午後3時。成田家。
俺が奥の部屋をチェックしていると、大曲先輩が大きな声で呼んだ。
手には、PCからプリントアウトした写真が2枚ある。
「隣の奥さんにな。話に出た少年、って、どっちの人物ですか?って聞いてきてくれ。」
俺は、成田家に到着してすぐ、大曲先輩が聞き込んだ奥さんに尋ねに行った。
5分後。
「先輩。1枚目は知らないけど、2枚目は見たことがあるって言ってます。」
午後5時。捜査一課横の大会議室。『トマホーク殺人事件』本部。
取り調べ室から、神道課長、蘭子、管理官が出てきた。
「ホシは、成田を訴えている、結婚詐欺の被害者加藤真理子と、その息子、飛羽。弁護士と相談して訴えることを伝えに来た加藤だったが口論。息子は、ガイシャのトマホークで頭を叩いた。トマホークづらは、歳末バラエティーショーでガイシャが射止めた賞品だった。まあ、どの道指紋等でアシが付いた筈だが、聴取に呼んだら、あっさり犯行を認めた。『正当防衛』は主張出来るか?と言うから、それは、検察官に訴えたらどうか、と言っておいた。」管理官は、溜息をついた。
「我慢出来なかったのかも知れないが、息子は連れて行くべきでは無かったね。複数の女性と『被害者の会』として訴える予定だったのに。」と、神道課長は言った。
午後7時。眩目家。
「お前もいつか・・・って言ったら、大曲の奴、おしっこちびってやんの。きゃはは。」
「トマホークは軽量で、鉈より薪割りに適しているらしい。事務所の芸人連れて、翌々日、キャンプに行く予定だったそうだ。あのヅラは、その時の余興用だった。あんな使い方されるとはな。」
「先生、おしっこ行っていいですか?」
「いいよ、手伝おうか?」
「行ってきまーす。」
―完―




