92.低温火傷殺人事件
「ガイシャは、江西旬子。病院の看護師だ。発見者は、同じ職場の看護主任の八木真知子。勤務態度が看護師のお手本と言われる江西が無断欠勤したので、院長と看護師長の指示で、主任が様子を見にきたら、悲惨な状態だった。秋野君。」
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
新垣舞・・・捜査四課課長。
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※「目潰し(めつぶし)」は、大きく分けて建築・土木用語(隙間を埋める砂利)、格闘技の反則技(目を突く・眩ませる)、照明用語(観客への強光)の3つの意味で使用される言葉です。
午後1時。捜査一課横の大会議室。『低温火傷殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、江西旬子。病院の看護師だ。発見者は、同じ職場の看護主任の八木真知子。勤務態度が看護師のお手本と言われる江西が無断欠勤したので、院長と看護師長の指示で、主任が様子を見にきたら、悲惨な状態だった。秋野君。」
スクリーンに、現場の写真が映った。
「ガイシャは、結束バンドでベッドに拘束され、大きな冬布団の中に『ゆたんぽ』が4個。口にはタオル。ベッドの近くに四個の目覚まし時計。拷問以外の何物でもない。赤井は、新人に『小間物屋』開かれては困るから、すぐに野次馬整理に行かせた。智子は平気だったけどな、ベテランだし。」
「父さん、他の人の前で嫌味言わないでよ。」と、智子は、ふくれっ面をした。
「すまんすまん。機捜の新人は、なかなか悲惨な現場に慣れない、って言いたかっただけさ。ニン!」
「井関さん、これは『低温火傷』になるんですね。」
「そうです。ホシは、余程、この看護師さんに怨みがあるらしいね。」
「辻さん、ガイシャの勤める病院だけで無く、前職も当たってみてください。村松もついて行け。」
「「了解。」」
「大曲、ガイシャの家もだが、最近は、病院の『口コミサイト』もあるらしいから、それも探ってくれ。」
「了解。」
午後2時。江西家。
江西は実家から通っていた。
「きっと、逆恨みですよ、どんな奴か知らないが、妄想膨らませて犯行に移ったんですよ。いえね。警察官も、逆恨み受け易いんですよ。本人だけでなく、本人の身内とかからもね。何、形式的なことなんで、すぐに終りますから。解剖終らないと帰って来ませんが、奥さんは、ご親族や葬儀社と今の内に打ち合せしてください。」
「そうですか、ありがとうございます。必ず捕まえてくださいね。」
「勿論です。逮捕連行が、我々に出来る最高最大の供養です。」
「じゃ、妹のところに行って来ます。」
「そうしてください。我々は作業が済み次第引き揚げますが、立ち番の警察官がいますから。」
母親の松江が出掛けると、「二階はお母さんの部屋だが、手掛かりがないとは言えない。蜘蛛の通り道も調べろ。」と、先輩に言われた。
「了解。」蜘蛛の通り道なんか知らないが・・・。
何となく調べていたが、『介護関係』の資料を見付けた。
付箋が貼ってある場所だけ、メモをして、階下に降りた。
「ホシ、みーつけた。」と、大曲先輩は大きな声で言った。
午後6時。捜査一課横の大会議室。『低温火傷殺人事件』本部。
取り調べ室から、大曲先輩、蘭子、管理官、新垣課長が出てきた。
「ガイシャの祖母キヌエは、一昨年亡くなっている。母親の情夫守谷俊哉が経営する介護施設でだ。江西が、施設で介護ミスがあったことを認めない守谷を詰っていた。守谷は看護師の方が介護ヘルパーより知識・経験があること、裁判に訴えると言ってきたことに恐怖と怒りがこみ上げ、松江の合鍵で侵入、殺害した。そして、発見者になることを強要した。今になって、やっと後悔しだした。施設は四課がガサイレに行った。反社と付き合いがあるらしい。」と、蘭子が説明した。
「江西が相談していたケアマネージャーや弁護士の名前を出したら、やっと観念したよ。松江は直接関与していないが、共犯も同じだ。喪主は、親族に任せるようだ。」と、管理官が言った。
「因みに、ガイシャのPCのパスワードは、「エー、ピー、オー、アール、ユー。『あぽる』。八木さんに業界用語を教えて貰い、試したら、起動しました。見られるのを警戒していたのかも知れないが・・・。」
午後7時。眩目家。
俺は、オムそばを作っていた。
蘭子は、スマホを切った。
「四課だけでなく、二課も出動だ。脱税だな。病院の方だが、『お別れの会』を開くそうだ。」
「それだけは、朗報だね。あ、大曲先輩ね。八木さんを口説いたらしい。『一足遅かったわ。今、主人の子供がお腹にいるの。』って言われたらしい。」
蘭子は、屈託亡く笑った。
「オムそば、出来たよー。」
―完―
※病院や介護施設では、ゆたんぽの使用を禁止しています。
過去に事故が多かったからです。




