91.ボウガン殺人事件
「ガイシャは、葉山葉子。スタントマン、いや、スタントーウーマンか。特撮物とかの着ぐるみの・・・俳優だ。」
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
新垣舞・・・捜査四課課長。
越前屋幸太・・・捜査三課課長。
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※「目潰し(めつぶし)」は、大きく分けて建築・土木用語(隙間を埋める砂利)、格闘技の反則技(目を突く・眩ませる)、照明用語(観客への強光)の3つの意味で使用される言葉です。
午後1時。捜査一課横の大会議室。『ボウガン殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、葉山葉子。スタントマン、いや、スタントーウーマンか。特撮物とかの着ぐるみの・・・俳優だ。」
「管理官。」と、大曲先輩が手を挙げた。
「今は、スーツアクターって言います。」
「済まん、詳しいな、大曲君。」「友人がバイトしているんです。敵側のやられ役の。今はCGで上手く誤魔化せるから、スポーツや格闘技の経験要らないそうです。」
「ありがとう。で、発見者は、同じプロダクションで、同じ東栄作品に出ている毛利淳子。ドタキャンになったから現場は大変だったらしい。で、様子を見にきたら、胸にボウガン。至近距離で撃ったらしくて、凶器の矢は刺さったままだった。ボウガン自体は見つかっていない。2021年に『銃刀法』が改正され、日本刀の様に登録が義務づけられて、みだりには使えない。今、所有者を調べている。」
「ですが、管理官。それまでは規制出来ていなかったから、回収を呼びかけた時、回収しきってません。」と、井関さんが言った。
「毛利によると、撮影時に使うボウガンは、木製のレプリカで撃つ真似の演技をし、後でCGで被せるそうだ。で、凶器になり得るボウガンは、ガイシャは所持していたはずはない、と言っている。」
「辻さん達は、プロダクションと映画会社両方に行って下さい。大曲、眩目。何も見逃すなよ。」
午後2時。葉山家。
「何も見逃すなよ、ってドス効かされてもなあ。ここ、一階の平屋だな。」
見張りの警察官が、老人を連れて来た。
「この家の大家さんで、隣家の大家さんです。」
「へ?」
警察官が持ち場に戻った後、「ええと、この家の持ち主で、名前が『おおや』さん、ですよね?」と、大曲先輩が言った。
「流石、主任さんは、呑み込みが早い。主任さん、ですよね?」
「否定はしません。で?あ、葉山さんがスタントしてることご存じでした?」
「もちのローン・・・失礼。昔は大部屋俳優やってましてね。で、社長にいい物件ないか、って言われて、去年独居の爺さんが亡くなった、この部屋紹介して1月から入ったんです。明るい子でねえ、人が死んだ家だよって言っても、『私、霊感強いから。』って笑ってました。」
「そうですか。」
「事件が片付いたら、葬式出してやってくれ、って社長に進言しておきましたよ。」
「ああ、それは、ホトケさんも喜ぶでしょう。」
「早く、犯人を捕まえてください。」
「勿論です。」
おおやさんが帰った後、大曲先輩は蘭子に電話をした。
「判った。こっちで調べておく。」
奥の部屋は、囲炉裏のあった部屋を改造した、トレーニングルームだった。
ん?これは・・・。
午後3時半。捜査一課横の大会議室。『ボウガン殺人事件』本部。
「これ、どこにあった?」
「奥の部屋の端っこです。これがボウガンの格納部分だとすると、元からあの家にあったってことですね。〇〇〇ちゃんのマスコットの陰になっていました。」と、俺は蘭子に応えた。
「大曲。該当する老人は存在しない。あの家は、持ち主から葉山が買ったんだ。借りていたんじゃない。」
「先輩、なんで判ったんです?」
「手だ。手の甲だ。年齢の割に若かった。それに、草履を三和土で脱がなかった。全くの他人ならともかく、おおやなら、そんなことはしない。それと、ガイシャだが、日記らしきものに、不審な物音を聞いた、と書いている。それと、メールに」熱烈なファンからのファンレターがあった。」
新垣から、蘭子のスマホに電話があった。
「警察犬が見付けたよ、連行する。」
午後5時半。取り調べ室から、蘭子、大曲先輩、管理官が出てきた。
「三課と四課の、お尋ね者だった。大胆な犯行だったな。ボウガンの矢を捻じ込んで殺したんだ。予定外の時間に帰ってきたガイシャを鉢合わせした。ガイシャは、咄嗟にボウガンを振り回した。だが、撃てなかった。内部にホシが隠したSDが入っていたからだ。ホシの黒金弘は、反社から追われていた。それで、ヤクのデータの入ったSDを一時的に隠した。ガイシャは不審なボウガンを調べていた。揉み合う内に絶命した。確かに、役者の経験はあったよ。遠い昔に。通行人エキストラをやっていた時代もある。東栄から、集合写真を提供して貰った。大家と店子としてでなく、撮影所で知り合いだったんだ。眩目が見付けたボウガン置き場は、そう見えただけ。天窓付いてなかったか?ツバメだよ。」
「お通夜は、明後日。会社もちで行うそうだ。今、両親が青森から向かっている。」と、管理官は締めた。
午後7時半。眩目家。
新垣が、たこ焼きを焼いている。
「それで、蘭子。夕べは何回犯した、んだ?」と新垣が言い、「ん?10回だけど、何か?」と、蘭子が応えた。
俺を見ていない。
俺は、膝を折り、土下座した。
「3Pやりたいってよ、どうする?」
「いいよー。」
俺はフリーズした。
―完―




