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83.お茶っ葉殺人事件

ガイシャは、由良真之介。異常な姿で自宅で亡くなっていたのを発見したのは、保険外交員逢坂夏子だった。午後3時にアポをとっていて、チャイムを鳴らしたが応答がない。

 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。


 =================================



 午後1時。捜査一課横の大会議室。『窒息殺人事件』本部。

 昼食の後、捜査会議が始まった。

 そして、志摩管理官が説明を始めた。

「ガイシャは、由良真之介。異常な姿で自宅で亡くなっていたのを発見したのは、保険外交員逢坂夏子だった。午後3時にアポをとっていて、チャイムを鳴らしたが応答がない。玄関引き戸が開いているような気がして、近寄ったらやはり、開いていた。声をかけ、上がって異常に気づいた。近づくと、呼吸音が聞こえない。逢坂は、医療助手をしていた経験から、手首を触ってみたら冷たい。それで、110番通報した。119番しなかったのは、生前『物騒だから、カギを締めている』と聞いていたから。井関さん、ピッキングの跡があったんですね?」と、管理官は、井関に確認した。

「ええ。明らかにピッキングの跡。明らかにプロのピッキング。だが、何も盗っていない。」

「じゃあ、以前のように、口にお茶っ葉突っ込んだホシの後、留守だと思い、入った家で殺人があったから、逃げたってパターンですかね?」

「あり得なくはないが・・・ゲソコンがない。玄関から門扉、塀の近くを確認させたが。」

「夕べ、あの地域では、小雨が降ったんです。」と、智子が口をとがらせた。

「この頃は、ピッキングの手口、書いているバカいる。まるでマニュアルだ。」と、大曲先輩が珍しく割り込んだ。

「大曲君の言う通りだ。ホシが偽装した可能性もある。まあ、我々は『総合的に』判断するけどね、ニン。」


「まあ、逢坂が現場保存してくれたお陰で、野次馬に入り込まれなかったのは幸いだ。ガイシャは一人暮らし。去年、細君を亡くして、生命保険の相談をしていたそうだ。娘が仙台に嫁いでいて、逢坂が連絡してくれた。新幹線で、こちらに向かっている。ああ。ガイシャが勤めているのは、ファンシー文房具の工場らしい。」

「ファンシー?」思わず、蘭子が言った。

 大曲先輩がフォローする。

「可愛らしい文房具のことみたいよ。」

「ああ。じゃ、村松、辻さん達と一緒に行け。女子社員の評判を探るんだ。大曲達はガイシャの家だな。」

「「「了解。」」」


 午後2時。由良家。

「ホシは女、ですかね。恨まれそうな人相してましたよ。」

「外見で判断するな。遺体じゃないか。それに、オンナはピッキングの偽装なんかしないだろ。捜査を攪乱するんなら、そのファンシー文房具をぶちまければいい。」

「それもそうですね。娘さん、遠いとこに嫁に行ったんですね。」

「ああ。今は、新幹線あるから、昔ほど時間はかからないだろうが、それなりの時間はかかるな。」

 二階をざっと確認したが、娘のものらしきものだけで、殺風景だった。

 少なくとも、娘には優しい男だったんだろうな。


 階下に降りると、先輩が仁王立ちしていた。

「プロフィールは馬鹿正直に書かない。ネットの鉄則をご存じなかったらしい、由良さんは。これ、見てみ。」

 それは、ネット友達とのやり取りだった。姿の見えない相手に心を許してしまい、余計なことを言った、いや、書いたのが、殺害動機だった。由良さんは、『お茶』に関する私見を述べた。ところが、相手は、『お茶にツウ』だった。

 由良さんは、自宅住所を明らかにしていた。

 それは、禍の元になった。

 村松から大曲先輩のスマホに電話がかかってきた。

「先輩。由良さんは、お茶についてパワハラして、辞めてしまった社員がいるらしいんです。ちょっと、待って。」

 電話は辻さんに替わった。

「会社は教えてくれませんでしたが、パワハラの被害者の家、分かりました。村松君のお陰で。今から、そっち回ります。」

「お願いします。」

「灯台もと暗し、か。ホシは元社員だ。」


 午後5時半。捜査一課横の大会議室。『窒息殺人事件』本部。

 取り調べ室から、大曲先輩、蘭子。管理官が出てきた。

「ホシは、真名川江威子。共犯者は、同じく由良氏にパワハラ受けていた徳丸一夫。近くに寄ったので、と上がり込んだ。持参したのは、『凶器』になったお茶。真名川は、お茶の入れ方が悪いから作法教室行ってこい、と始終言っていた。徳丸は、会社の古い工場の修繕を、仕事以外にやらされ、顧客とのトラブルがあったとき、解雇された。身代わりに。ガイシャは何一つ覚えていなかった。謝るまで、と口にお茶を詰めていたら、亡くなった。徳丸は、ネットのマニュアル通り、玄関引き戸に細工した。道具は、由良氏のものだった。」

「なんで気づいたって言うから、パワハラ受けたことのある人間の勘だ、って言ったら黙った。」と、蘭子が割り込んだ。

「遺族には、私から話しておく。記者会見は、『事故』と判ったから行わない、と各社に連絡した。」


 午後7時。眩目家。

「大曲、どんな顔してた?」「俯いてました。今更言わなくても・・・。」

「何?虐めてほちい?そうでちゅかぁ。後で、おいたしてあげましゅねー。」


 恐い。


 ―完―






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