82. 新聞勧誘員殺人事件
ガイシャは、木津純一郎。朝焼新聞の勧誘員のバイトをしていたことが、発見者の母親朝子の証言で判明している。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
赤井悦夫・・・機動捜査隊の警部補。
越前屋幸太・・・捜査三課課長。
溝内健児・・・生活安全課課長。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『新聞勧誘員殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、木津純一郎。朝焼新聞の勧誘員のバイトをしていたことが、発見者の母親朝子の証言で判明している。発見されたのは、自宅ではなく、自宅近くの、小さな公園。母親は、公園の隣のゴミ集積場に普通ゴミを出しに行き、不審な黒いゴミ袋を発見。恐る恐る、ずらしたら、何と息子が出てきた。腰を抜かし泡を吹いた。近くに来た、町内会婦人会の役員をしている美田園邦子により、110番通報された。機捜の赤井警部補によると、血痕が側溝の内側にしかないことから、どこかで殺害して、その公園に放置したものと考えられる。母親は錯乱していて、溝内課長にPTSDかも知れないと報告してきて病院に連絡した。美田園さんは、家のセキュリティーについて生活安全課に相談に来ていたんだ。来月には、業者が下見に来る予定だった。」
「管理官。溝内さんに相談に来ていたということは、防犯に不安があったんですか?」と、大曲が手を挙げて発言した。
「うん。現場に行った時確認して欲しいんだが、生け垣が少し高い目らしいんだ。TVで、泥棒に狙われやすい家って紹介していたらしい。」
「呼ばれました?」と、越前屋課長が入って来た。
「生け垣が高いと、狙われやすいのか?エッチ。」
「開光課長。誤解を招くから、そのニックネームはご勘弁を。生け垣は、高いだけでなく、密集していると、泥棒にとっては都合のいいカーテンになるんですよ。パット見はいいですけどね。どこでもシーズンになれば業者さんが剪定して間引くんですけどね。なるべく頻度上げて下さい、って広報してるんですけど。」
「今回は、遅すぎたようだな。」村松が、越前屋課長に捜査資料を見せている。
「で、ガイシャは、新聞勧誘のバイトをしていたんだが、新聞配達のバイトはしたことがない。凶器だが、刺さったままだった。井関さん。」
「所謂バタフライナイフ。通販で手に入るから、若者がよく護身用に持っている。抜こうとしたのか、両手はナイフを持ったままだった。指紋は本人のものしか付いていない。」
「新聞の勧誘って儲かるのかな?」
「やってみるか?私の稼ぎじゃ足りないか?」
「いえ、奥様。」
皆、顔を綻ばせている。
「辻さん、収入のことも聞き出して下さい。」
「了解しました。」
午後2時。木津家。
「新聞配達、新聞勧誘、新聞集金。今は皆成り手が少ないからな。新聞勧誘、新聞集金は社員、新聞配達は外国人も増えている。新聞配達、ガスメーター検針、電気メーター検針。顔合わさなくて出来る仕事は基本外国人の世の中。国際色豊かだぜ、全く。」
俺は、二階で、とんでもないものを見付けた。
それで、急いで、階下に降りた。
「クローゼットの中に三重底の引き出しがありました。」
「その引き出しの中に入ってたのは、これか?」
大曲先輩が見ていた、純一郎のPCには、「親子が親子でない証拠」が入っていた。
俺は、てっきり朝焼新聞の関係かと思っていたが。
「朝焼新聞は、以前、外国人の『偽装養子縁組』について記事を出したことがある。純一郎は、生活に困って新聞勧誘をしていたんじゃない。評判落して部数を減らす為の工作員の留学生で、母親は、別ルートから木津家の嫁になった。で、純一郎は、反社と付き合っている母親のことも書いている。溝内さんに確認したが、父親の太一郎の捜索願が出ている。もうすぐ7年だ。」
「時効ですか。」
「生け垣で見えないものだから、やりたい放題だった。自前のAV、観る?」
俺は、首を振った。
午後5時。捜査一課横の大会議室。『新聞勧誘員殺人事件』本部。
取り調べ室から、蘭子と管理官が出てきた。
「防犯カメラがアダになったな。溝内課長が、サンプルに、とセットしたんだ、生け垣の内側に。犯行の一部始終を『再確認』させられた朝子は、すんなり吐いた。純一郎と朝子と朝子のお相手・進撃組の矢板で『取り分』で揉め、純一郎は自分が取り出したナイフで自分を刺す格好で絶命した。抜いていない状態だと、ストッパーになることは皆もご存じの通りだ。」と、管理官が説明した。そして、蘭子が言った。
「新垣がスキップして、捕り物に行ったよ。尊属殺人を疑っていたが、仲間割れだった。」
「あ。木津太一郎さんは?」「組が始末したのさ。」
午後7時。眩目家。
蘭子は早めの夕食を既に終えていた。
「覚悟は出来てるな、真吉。」
「はい。」
蘭子は、濃厚なキスから始めた。
あの時とおなじだ。
俺は、やはり、奴隷だ。夫という肩書きの。
―完―
※題材になった事件は存在しません。念の為。
クライングフリーマン
※新聞配達アルバイトの平均時給は約1,320円〜1,350円前後で、地区によって、1,170円〜1,500円以上の求人が見られる。早朝の朝刊配達は深夜手当(22時〜翌5時)が適用され高時給になりやすく、短時間で効率的に稼げるのが特徴。
※新聞の勧誘(営業・セールス)のアルバイト・パートの時給は、平均で1,200円〜1,500円程度と高めに設定されている。地区によっては、1,500円以上の高時給求人も見られ、基本時給に加えて契約数に応じたインセンティブ(歩合給)が支給されるのが一般的。
(データは、大阪地方)




