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73.デジタル高齢者(後編)

警視庁に、窃盗犯が自首してきた。

「旦那。またシゴトしていたのは反省してますよ。でもね、コロシは、流儀に反するでしょ。」


 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。


 新垣舞・・・捜査四課課長。

 神道助六・・・捜査二課課長。

 越前屋幸太・・・捜査三課課長。

 溝内健児・・・生活安全課課長。


 =================================


 翌日。午前10時。捜査三課。

 警視庁に、窃盗犯が自首してきた。

「旦那。またシゴトしていたのは反省してますよ。でもね、コロシは、流儀に反するでしょ。」

「だね。盗品は、回収する目処はついたよ。昔は、『故買屋』とか『質屋』だったけど、『不要品回収業』とはねえ。アシつくと思わなかった?まあ、いいや。何か気づかなかった?」

「マスコット、多い家だな、とは思ったけど。殺して床下に埋めて、盗品運ぶなんて、する訳ないっしょ。」

「それは、言える。カメラに映ってたのは、お前だけだったから、一応聞いてみたんだ。ひょっとして、お前がピッキングする前にゾクが入ったのかも知れないから。」


 午後1時。捜査一課横の大会議室。『床下死体遺棄事件』本部。

 昼食の後、捜査会議が始まった。

 そして、志摩管理官が説明を始めた。

「ガイシャは、高岩浩二。高岩悦子の次男だ。高岩悦子は・・・大曲くん。」

「最近、3つの賞を取って、出版もした、通称デジタルばあさんこと高岩悦子は、Web小説ライターです。」と、大曲先輩は説明した。

「事件発覚の前日、空き巣に入られ、三課の課長が・・・課長、説明願います。」

「遅れました、申し訳ない。この事件の前日、空き巣がありました。悦子ねえは、あ、空き巣のガイシャの高岩悦子さんは幼馴染みでして、当家のカメラを回収して、窃盗犯を手配しようとしていたところ、本人が出頭してきました。このままでは殺人犯の『汚名』を着せられそうだと。窃盗に関しては、自供したので、持ち込んだ『不要品回収店』の届け出と検証して立件しました。当該のホシである、日下睦美によると、全く気づかなかったそうです。」

「成程。井関さん。」


「絞殺された遺体は、床下に埋められており、所謂『シェルター』みたいになっていまして、棺桶があって、防腐剤・保冷剤が施されていました。その部屋は、寝室でもなく、エアコンもない予備の部屋で、度々訪れていた、高岩さんの孫娘が異変に気づいたらしいです。」

「カメラの死角を通ったことといい、シェルターの位置を知っていたことといい、家の事情に詳しい人間だな。ガイシャが、高岩さんの次男ってことは・・・管理官。親族を洗う必要がありますね。」

「うむ。実は、長男夫婦、三男夫婦と連絡が取れない。浩二の妻花子は、ショックで口がきけない状態だ。」

「「何かがおかしい。」」

 大曲先輩と蘭子が同時に言った。


「辻さん、蒔さん、長男と次男の方の聞き込みをお願いします。越前屋さん、盗品になったPCやタブレットは?」

「指紋等のこともあるので、一旦生活安全課の方で保管して貰ってますが・・・。」

「大曲、眩目、急げ!」


 午後1時半。生活安全課。

 溝内が驚いて見ている。

 急いで部下と梱包を解いた。

「鑑識は、もう指紋採取した、とは言ってましたが、事件の手掛かりが?」

「ええ・・・パスワードか。。眩目、そっちは?」

「入力画面が出てきました。普通は、設定しないけどなあ、タブレット。」

「・・・そうか。」

 お曲先輩は、何度かトライして成功した。

「眩目。オー、エム、アイ、ケイ、アイ、だ。やってみろ。」

「あ・・・起動した。」

「溝内さん。」

「判った。」溝内も、スマホにパスワードを打ち込んだ。

「開いた!!」


 1時間後。大曲先輩は、四課に急いだ。

 俺は、蘭子に報告に行った。


 午後2時。捜査一課。報告の途中で、高岩あさひのアパートに行っていた、村松から、蘭子のスマホに連絡が入った。

「判った。写メ、送れ。私にでなく、捜査本部のメアドだ。」


 午後4時。捜査一課横の大会議室。『床下死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、蘭子、大曲先輩、管理官、新垣課長、神道課長が出てきて、新垣課長と神道課長は出て行った。

 蘭子が、説明を始めた。

「結論から言うと、全員グルだった。空き巣が入らなければ、闇に葬られるところだった。先ず、高岩あさひのアパートから回収したモノに、あさひがレイプされる映像が残っていた。レイプ犯人は、死体遺棄になった、叔父の浩二だ。数日前、親族会議が行われた。激昂した浩二は台所の包丁を振り回して暴れた。長男敬一、三男俊三が揉み合う内、絞殺してしまった。あの棺桶は、高岩さんが『生前葬』をする為に用意されたものだった。浩二は、繋がりの出来ていた『お好み会』にビデオを売る予定だった。高岩さんは、その、『お好み会』に遺体の始末を相談した。ネットで高岩さんが見付けた『お好み会』の弱みを公表しないことを条件に。夜中に、カメラを切って、組員を招き入れた。葬儀社経験のある組員が処理をして、後刻、集まる予定だった。」

「そこに現れたのが、空き巣だ。予定が狂った。越前屋課長は、管轄外だから、空き巣の件が落ち着いたら、善後策を講じる積りだった。あさひがビデオを捨てていなかったのではなく、浩二が紛れ込ませたのだろう。ダビングして。長男夫婦、三男夫婦は、高岩さん名義のカードでネットカフェに寝泊まりしていた。高岩さんの罪については、越前屋課長から説明して貰ったよ。」

「蘭子課長。あさひは?」と、智子が尋ねた。

「あさひは、何も手伝っていない。浩二殺害の現場にはいなくて、死んだことも知らなかった。あさひが知っていたのは、業者が、TV、DVDレコーダー、ビデオデッキなどを搬出した時、浩二のDVDプレイヤーもあったこと、空き巣があったこと、だけだ。」蘭子は優しく言った。


 午後7時。眩目家。

「なんで、今夜は。お好み焼きなの?」

「お前を美味しく頂く為さ、赤ずきんちゃん。」


 笑えない。


 ―完―



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