72.デジタル高齢者(前編)
業者が、TV、DVDレコーダー、ビデオデッキなどを搬出している。
そこへ、孫娘の、あさひがやってくる。
「おばあちゃん、気でも狂ったの?それとも引っ越すの?」
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
新垣舞・・・捜査四課課長。
神道助六・・・捜査二課課長。
越前屋幸太・・・捜査三課課長。
溝内健児・・・生活安全課課長。
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午前10時。高岩悦子の家。
業者が、TV、DVDレコーダー、ビデオデッキなどを搬出している。
そこへ、孫娘の、あさひがやってくる。
「おばあちゃん、気でも狂ったの?それとも引っ越すの?」
「大丈夫よ、あさひ。もうオールドメディアは要らないの。新聞はもう解約した。アンテナも撤去した。NJKが五月蠅く言ってきたけど、解約届を出したわ。この日も予約していたから、教えてね。外に、『電柱人間』、立ってたでしょ?」
「『電柱人間』?ああ、あの人NJKの人ね。」
「時代遅れの、オールドメディアの偏向は、もう沢山。『しんぶんし』は、取ってあるわよ。ガラス類が破損した時、便利だから。」
あさひは知っていた。父親がNJKに勤務する人間だということを。
そして、祖母がデジタルに目覚めた人間であることを。
祖母は、あさひがタブレットしか使えないのに対し、PC・タブレット・スマホ。ガラホを使いこなす、Web小説ライターであることを。
祖母は、3つの賞を取り、出版も始まった。
独居だが、断捨離をして綺麗だった。
あさひが知っている『断捨離』人間は、極端にモノを捨てているが、祖母は違う。
「合理的」なのだ。
正午。悦子が帰宅すると、PC・タブレット・蔵書が無くなっていた。
通帳や判子・キャッシュカードは無くなっていなかった。
普通の家庭なら、これで、何も届けないところだ。
気丈な悦子は、即座に110番通報した。
ピッキングの跡はあった。
防犯カメラは、全てを合せると10台あった。
午後2時。
鑑識と共に、所轄の刑事が来たが、一通りの質問をしただけだった。
「馬鹿者!!」と、悦子は一喝し、知り合いの越前屋を呼び出した。
「そうなのよ、こうちゃん。助けて。」
越前屋は、幼馴染みで、10歳年下の50歳の刑事で警視庁捜査三課の課長をしている。
午後3時。
越前屋と、女の子みたいな巡査が来た。
「ああ、ジェンダーね。えっと、男とセッ〇スしたい女でもなく、女とセッ〇スしたい男でもなく、体は男で心は女だけど、女になりたい訳でもない、そういうカテゴリーだっけ?私は否定しないわよ。」
「相変わらず、悦子ねえは、開けてるなあ。」と、越前屋は言った。
部下は、カメラのSD等を回収に回っている。
表から、女の子が入ってきて、不思議そうな目で見ている。
「あ、こうちゃん、孫のあさひよ。ご挨拶しなさい。」
「あさひです。」
「お婆ちゃんの弟分の越前屋幸太です。よろしくね。」
「お祖母ちゃん、泥棒、入ったの?」
「うん、大丈夫よ。持ってないものは取られやしないわ。」と、悦子はふっふと笑った。
―後半につづくー




