67.俺じゃないんだ
「俺じゃないんだ。」
「みんなそう言うね。」と、神道課長が言った。
「みんなそう言うんだよね。」と、新垣課長が言った。
「よい刑事悪い刑事普通の刑事。どれがいい?」と蘭子が言った。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
新垣舞・・・捜査四課課長。警部補。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。蘭子と同期。
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午前10時。取り調べ室。
「俺じゃないんだ。」
「みんなそう言うね。」と、神道課長が言った。
「みんなそう言うんだよね。」と、新垣課長が言った。
「よい刑事悪い刑事普通の刑事。どれがいい?」と蘭子が言った。
「・・・普通の刑事。」
「お前がやったんだろう?」と、神道課長が言った。
「お前がやったんだよね。」と、新垣課長が言った。
「ああ。犯人を知ってるんだ。だから、消去法で、お前は犯人じゃない、と。ふうん。で、誰?今なら協力者って、言い方変えてもいいんだよ。」と、蘭子が言った。
「俺じゃないんだ。」
「落ち着こう。『俺じゃないんだ』の次の台詞は?暗記、不得意?」と、神道課長が言った。
「落ち着こう。お茶しか無いけどさ。あ、トイレ我慢してる?辛いよね。じゃ、出していいよ。手伝おうか?得意なんだ、私。しー恋来い故意。」と新垣課長が言った。
「結構です。」
「なんだあ、言えるじゃないか。帰化したばかりの外国人かと思ったよ。ちゃんとしたニホンゴで、次の台詞、言えたじゃん。三番目の台詞、言ってみようか。ものは試しだ。言ってみないと間違いかどうか判らないよねえ。」と、蘭子は、男の顎を下から撫でた。
「えと。名前は眩目真吉。住所は、東京都目黒区下目黒・・。」
「「「だから、誰なんだよ!!」」」
3人の課長は、机をドン、と叩いた。
「智チャンが欲しいって言うから・・・。」
「で、あげたのか。大曲。おやっさん、呼んでこい。」
「た・・・ただ今。」
大曲先輩は、そそくさと出て行った。
「幾らしたんだ、開光。」と、神道課長は蘭子に尋ねた。
「ヤクオクで10万。半額以下だ。」
「お前さ。蘭子の奴隷の癖して、やること大胆だな。神道。法律違反だな。」と、新垣課長は言った。
「井関智子は、騙された。立派な詐欺だな。現職のサツカンなのによ。」と、神道課長が言った。
「奴隷の癖によ。」と、また新垣課長が言った。
「奴隷って・・・。」
「何だ、台詞言えるじゃないか、真吉。『奴隷契約書』に署名・捺印したじゃないか。」と、蘭子は笑った。
「蘭子。あれは、結婚届・・・。」
「二枚複写なんだよ!!!!!!!」と、蘭子は俺の反論を許さず、『二枚目』を俺に見せた。
「呼んだ?」と、井関さんと智子と秋野が入って来た。
そうか。俺は、『家庭用AED』の実験をしていたんだ。
「井関さん、これ、拷問にも使えるの?」と、蘭子が言った。
「なんで?」
「譫言で、『俺じゃないんだ』って言ってた。」と、新垣課長が言った。
管理官が入ってきた。
「広報は納得するかな?」と言い、大曲先輩は、デジカメを止めた。
午後8時。眩目家。
俺はベッドの上で、昼より多く、電極を着けられていた。
「何、これ。」
「心電図のセット。」
「また、家庭用の実験?何か、腕と脚、拘束されている気もするんだけど。」
「ああ、通販で買った。『これで、お楽しみの時の数値が計れます』って書いてたから。」
え?
あ、変な衣装に着替えた?
恐い。
―完―




