61. 勝てない相手
ガイシャは、大山俊治。明らかに撲殺。凶器は、床の間にあったと思われる壺だ。発見者の姉によると、昔、父方の叔母が持ってきたもので、花瓶としては使っていなかったらしい。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『壺撲殺殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、大山俊治。明らかに撲殺。凶器は、床の間にあったと思われる壺だ。発見者の姉によると、昔、父方の叔母が持ってきたもので、花瓶としては使っていなかったらしい。大山達の母親の三回忌の打ち合せに来たら、惨状になっていた。ガイシャは独身、詰まり、独居で、いずれ餓死するなんて冗談を言っていたらしい。書斎代わりの台所に置いてあったPCが無くなっている。ホシが持ち去ったと見ていいだろう。井関さん。」
「まあ、ほこり被っていたら、壺の跡もPCの跡も一目瞭然だが、残念ながら、ガイシャ以外の指紋は検出出来ていない。ゲソコンも検出出来ず。玄関前に靴脱ぎマットがあり、玄関内にプラスチック製の芝生マットがあるからなあ。」
「三回忌の打ち合せって・・・大山さんは2人姉弟ですか?」
「いい質問だ。今夜、たっぷり可愛がってやる。」
こんな台詞をパワハラとかセクハラとか冗談とか言う人は一人もいない。
皆、知らんぷり。
「ガイシャには、妹がいて、故人には3人の子供がいた。姉の話だと、『会の用事』とかでドタキャンだったらしい。会とは、新興宗教だ。ガイシャの心筋梗塞になった時も、のんびり病院に現れ、母親の亡くなった時も葬儀を欠席しようとした位、のめり込んでいるらしい。この妹のアリバイだが・・・。」
言いかけた蘭子の目を見て、管理官が「私が行こう。」と言ってくれた。
「じゃ、大曲と眩目は、ガイシャ宅で、もう一度手掛かりを探せ。辻さん達は、ご近所と、その団体の『噂』を聞き出してください。」
「「「了解。」」」
午後2時。クルマの中。
「もう解決したようなもんだ。蘭子の目はな。あれ、時々光るだろ?」
「毎日、光ってますけど。」
「あ、そう。2階建てらしいから、お前、2階担当な。」
「了解です。」
約1時間後。
2人とも収穫があった。
大曲先輩は、辻さんに確認を取り、秋野に電話した。
「うん。3台分でいい。」
また、1時間後。つまり、午後4時。
捜査一課横の大会議室。『壺撲殺殺人事件』本部。
取り調べ室から、蘭子と管理官が出てきた。
「問い詰めている途中で、自白したよ。こんな筈じゃなかったって。ガイシャは、妹が来る度喧嘩して、仲が悪かった。人の口に戸は立てられぬ、ってことだ。当日、妹の、ホシの、戸張久美子は、LEDのことで喧嘩した。『アンタは知らないだろうけど』って、拙い知識でマウント取ろうとした。来年末で水銀蛍光灯は製造終了、LEDに切り替える必要があるって話。ガイシャは、とっくに対策して、工事不要の場所は自分で取り替え、工事必要かも知れない場所は、予備を購入していた。その箇所は、頻度が低いから、工事してまで取り替えない方針だ、とガイシャは答えた。久美子は、自分が恥かかされたと思った。追い打ち掛けたのは、『アンタは知らないだろうけど、って言い方はトラブルの元になるから止めた方が良い、ひとから教えられたことを知ってたみたいな言い方も敵を作るだけだよ』って、ついガイシャは説教した。興奮していて、気がついたら、床の間の壺で殴っていた。『会』の仲間にアリバイを頼んでいた。でも、殺人犯は除名だって言われた。そう供述したから、秋野や大曲にプリントアウトさせた文章を読ませた上で、こう言ってやった。アンタは、幾ら喧嘩売っても勝てない。兄貴がどれだけ我慢していたか知らないだろうって、殺したことで永遠に勝つ事が出来なくなった。アンタは、負けたんだよ!!!!!!!」
午後7時。眩目家。
「村松にハンカチ持たせて正解だった。拘置所行く前に舌を噛もうとした。どこまでも馬鹿なオンナだ。」
「たこ焼き、冷めちゃうよ。」
「うん、旨いな。セッ〇スも上手くなれよ。当分子供は産まないからな。お前は、私『専用』だ。うひひ。」
今夜もあまり眠れそうにない。
―完―
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