59.血まみれの墓
「さて、ガイシャの平井晶は、発見されたのが墓地。発見者は、納骨に訪れた一家と僧侶。ホシと揉み合った挙げ句に転倒したと思われる。」
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『墓地殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは・・・その前に。村松が囮捜査で痴漢を50人挙げた。おめでとう。」
管理官の拍手に、皆習った。
「ありがとうございます。」と、村松は泣いている。
村松は、そう見ても「ムラムラ」っとしそうな色気を持った女の子。
痴漢が多発している列車で、「この人、痴漢でぇす!」とやれば簡単に捕まえられる。
大曲先輩は、『痴漢ホイホイ』って渾名をつけた。
「さて、ガイシャの平井晶は、発見されたのが墓地。発見者は、納骨に訪れた一家と僧侶。ホシと揉み合った挙げ句に転倒したと思われる。」
「こんなケース、初めてだよ。こときれているのが判ったから、隣家の納骨済んだから検証。隣家の子供が、お墓、血まみれで可哀想って言うから、検証済んでから、掃除したよ。花が新しかったから、ガイシャの知り合いの墓かも知れないね。」
そこへ、墓に行っていた辻達が入って来た。
「少し離れた墓にお参りに来ていた人が、月に1度くらい、ガイシャが墓参りに来ていたことを証言してくれました。親族でもないのに珍しいな、って思っていたそうです。」
辻に続いて蒔が、「坊さんが連絡してくれて、現場の墓の家から家人が来たんですが、ガイシャは、当家の長男さんと親友で、故人になってから、毎月墓参りに来ていたそうです。出くわしたことはないが、多分ガイシャの平井だっただろう、と言っています。」と、報告した。
「墓参りに来て殺されちゃたまらんなあ。それこそ浮かばれないなあ。」と、大曲が大きな声で言った。
「大曲くん。その意気で、ホシを挙げて弔ってあげよう。」と、珍しく管理官が涙ぐんで同調した。
「平井氏の交遊関係がキーかな。」と、腕を組んで蘭子が言った。
午後3時。平井氏宅。
平井氏の姉が、他県から駆けつけた。現場には行きたくないと言ったが、現場は他家の墓だ。解剖があるので、遺体はすぐには帰らないことは大曲先輩が伝えた。
「晶は、内畑くんと仲良しでね。喧嘩1つしたことないでしょって言ったら、何度も大喧嘩したことがあるって言ってました。喧嘩するほど仲が良いって言うでしょ?小学校の同級生で、仲良くなったのは、中学生になってから。マンガ好きなグループが出来てね。お誕生会までやったんですよ。男の子なのに。内畑くんが亡くなってから、月に1度は墓参りに行ってたみたい。ウチの母の墓参りもあるし。長男だから、介護頑張ってくれました。」
「おねえさん、そのグループの名簿とか葉書とかありますか?」
1時間位かかったが、探し出してくれた。
「最初は6人組だったそうです。親御さんの転勤で、転校した人がいるけど。」
午後4時半。
蘭子から大曲先輩のスマホに電話があった。
「ホシが出頭してきた。帰って来い。中家って同級生のこと、家人に聞いてみてくれ。」
「おねえさん、彼らの名前、判りますか?」
大曲先輩の言葉に、おねえさんは集合写真を見ながら言った。
「これが、晶、これが内畑くん、これが中家くん、これが転校した三宅くん、これが1番先に亡くなった大下くん、最後が松本くん。」
「ありがとうございます。遺体が戻る前に連絡があると思います。葬儀には、行ける者は参加します。」
大曲先輩は、やはり世慣れている。
午後6時。捜査一課横の大会議室。『墓地殺人事件』本部。
「ホシは、同級生の、漫画好きサークルの中家。たまたま、墓で平井と中家は再会。墓参りのことで口論。揉み合う内に、平井がバランスを崩して倒れた事故だった。中家は本能で逃げてしまった。だが、悔恨が奴を出頭させた。お通夜は明後日、告別式は、その翌日。行ける者は行ってくれ。」管理官は、会議を閉じた。
午後7時半。眩目家。
「明日、墓参り行くか。」「あれ?明後日でしょ。」
「それは、ガイシャの平井さん。ウチの墓だよ。命日じゃないけど、お袋の誕生日だ。」
「蘭子、優しいね。」「あと100回言え。」
「無茶言わないでよ。」
―完―




