58.WBC観戦殺人事件
ガイシャは、信楽隼。工場作業員だ。発見者は隣家の町谷ひじり。回覧板を持って早朝、訪れたら、血を流して倒れていた。撲殺だな。119番したが、既にこときれていた。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
新垣舞・・・捜査四課課長。警部補。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『WBC観戦殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、信楽隼。工場作業員だ。発見者は隣家の町谷ひじり。回覧板を持って早朝、訪れたら、血を流して倒れていた。撲殺だな。119番したが、既にこときれていた。TVには、DVDプレーヤーに繋がったWBCの試合が流れていた。そして、捜査員が訪れたところ、町谷は、いなかった。119番の履歴から町谷のケータイにコールしても出ない。秋野くん、何が言いたい?」
「DVDの映像に映っている試合、死亡推定時刻より後です。」
「裏の事情が多そうだな。絡んでたら報せろ、蘭子。あ、これ。」
入ってきた新垣は、そう言って資料を蘭子に渡して、消えた。
「大曲は。どう思う?」
「え?俺に振るの?撲殺なら、お隣さんでも出来るよな。現場100回・・・2回かな?」
「じゃ、行ってこい。辻さん、工場に行って、仕事ぶり、を確認して下さい。」
今回は、村松は、四課の助っ人に行っている。それに、工場は、男子ばかりらしい。
午後2時半。信楽家。
「独身じゃ広いな。空室もある。」
「埃から考えて、引っ越してきた様子もないですね。」
「親族は?」
「さあ。」
「変だ。インターネット環境がない。PCもない。そうか。引っ越したんだ。」
「え?」
「こざっぱりしすぎで、生活感がない。生活・・・。」
大曲先輩は台所に走った。
冷蔵庫は通電している。
だが、あまり入っていない。
俺が食器棚を確認したら、何かおかしい。
午後3時。俺は蘭子に報告した。
「今、判っていることを言っておく。そこは、公安の隠れ家だ。」
「じゃ、信楽さんは・・・公安の?」
「そういうことだ。帰って来い。何もみつからない。組織犯罪だ。」
午後4時。捜査一課横の大会議室。『WBC観戦殺人事件』本部。
「ガイシャは、公安課の刑事だった。隣家を見張っていたんだ。町谷を。町谷は半グレの『みたま教会』の構成員だった。公安と見抜いて、組織ぐるみで消したんだろう。」
「工場作業員は、カモフラージュだったんですね。淡々と、黙々とガラス加工工場で働いていたようです。」、と辻さんが報告した。
「WBC観戦中、って、アリバイの積りだったんですね。」と、俺は呟いた。
「がっかりは早いぞ、眩目くん。DVDから指紋が検出された。マエがあるようだ。」
捜査は、公安と四課に引き継がれた。
午後6時半。眩目家。
村松に教えて貰った通り、クレープを作った。
「美味しいぞ、真吉。次の、ご馳走は・・・。」
「ゆ、夕飯の後でいいよね、蘭子。」
「ああ。まだ15時間以上ある。」
15時間???
―完―




