39.スパイVSスパイ
「ガイシャ花房満子は、同僚の奥野保に刺された所を通行人が目撃、『私人逮捕』の上、110番通報をした。『俺じゃない』を繰り返している。機動隊と同時に現着した大曲君が今、取り調べをしている。」
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
神道助六・・・捜査二課課長。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『OL傷害事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャ花房満子は、同僚の奥野保に刺された所を通行人が目撃、『私人逮捕』の上、110番通報をした。『俺じゃない』を繰り返している。機動隊と同時に現着した大曲君が今、取り調べをしている。」
そこに、大曲先輩とは別の部屋で事情を聞いていた蘭子がやってきた。
「花房は、社長秘書の一人で、被疑者奥野に産業スパイの疑いがあるので、奥野に接近して調べるように命じていたそうです。それから病院から連絡で、花房は一命を取り戻しました。ウイッグの中に隠されていたSDを今、鑑識課が確認中です。」
蘭子が合図を送ったので、俺は大曲先輩の取り調べ室に戻ろうとしたら、蘭子に耳打ちされた。
「了解。」
取り調べ室。
花房が企画を出したんです。ところが、その企画は俺が考えたものなんです。」
「盗まれた?それで、復讐したんだね。あるあるある・・・気持ち、判るよ。その企画書って、もう出来てたの?」
「PCで、ワープロアプリで書いたんです。」
「じゃ、それ、見せれば良かったんじゃない?」
「それが・・・会議の後、確認したら削除してあったんです。」
「確信犯だね。じゃ、花房がワープロメモリにコピーして削除したか、移動させたんだね。ついでに聞くけど、PCにロックするか、ファイルにロックしてた?パスワードで。」
「いえ。」「スクリーンセーバー起動してた?スクリーンセーバーにもパスワードでロック出来るよね。」
「いえ。」
「しょうがないなあ。パスワード書いて、PCに付箋貼り付けるより酷いなあ。」
蘭子がドアをノックした。
準備は出来ているそうだ。
「取り敢えずメモリを保存場所にして、そのまま作業しちゃったとか。メモリにロックかけてる?」
大曲先輩がこう言うと、「「トイレ、行かせて貰っていいですか?」と、被疑者奥野は言った。
「いいよ。眩目君、た、の、む、よ。」
俺は、奥野をトイレに連れて行き、個室に入った時、仲間に合図を送った。
俺が取り調べ室に戻ると、蘭子が奥野の前に座った。
「今、君が、トイレで、体内から取り出した、マイクロSDを解析している。金田寛一、通称、キム・カンカン。さあ、詳しい話を聞かせて貰おうか。確かに、花房を刺したのは、君じゃない。花房は、わざと自らを刺した。」
午後4時。捜査一課横の大会議室。『OL傷害事件』本部。
「落ちました。花房がそこまでやると思わなかった、って。花房は、元々産業スパイだった。だが、送り主を裏切って、社長のオンナになった。」
「餅は餅屋ってことか。ウイッグの中だけじゃない。ブラジャーやおぱ・・・まあ、複数の隠し場所って、映画みたいだな。秋野、よだれ、よだれ。」と、井関は言った。
「企画書のことは、花房が仕組んだことだった。一枚、いや、それ以上のウワテだな。才能に嫉妬しても、追いつかないよ。」
蘭子は、肩を竦めてそう言った。
アメリカ映画みたいだ。
午後7時。眩目家。
「アメリカ映画?アメリカ映画なら、本当に『体内』に隠すさ。『体内』にな。」
『モツ煮込み』が音を立てている。
俺は、そっと、食べ出した。
「人間のモツって・・・。」
「止めて、蘭子。恐い。」
「まだ、何も言ってないのに。変なやつ。」
蘭子は、肉食である。
―完―
昨日投稿の、「才能に嫉妬」の「表側」のお話です。
併せて読んで頂けると幸いです。
クライングフリーマン




