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36.高齢者怪死事件

「ねえ、先輩。」と、俺は運転しながら大曲先輩に尋ねた。

「何だ、可愛い後輩。」と、大曲先輩は、余裕のヨッチャンで対応した。

「ここ、東京ですよね。東京都ですよね。」

「だな。東京市から東京都になったんだ。それで?」


 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。


 辻・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。


 =================================


 午前10時。俺と大曲先輩は、現場に向かっていた。

「ねえ、先輩。」と、俺は運転しながら大曲先輩に尋ねた。

「何だ、可愛い後輩。」と、大曲先輩は、余裕のヨッチャンで対応した。

「ここ、東京ですよね。東京都ですよね。」

「だな。東京市から東京都になったんだ。それで?」

「どうして、変な事件ばかり、ウチの担当になるんです?東京都には、102の警察署があって、35も係があるのに。」

「眩目さあん。それ、蘭子に言っちゃダメだよーん。『明日から、お前、専業主夫な。』って言われて、『寿退職』になるから。」

「そうなんだ・・・。」

「開光蘭子は快刀乱麻。難事件専門って言い出したのは、志摩管理官。言い出しっぺだから、管理官も掛け持ちなし。判ったあ?」

「はい。」


 午前11時。都下の、ある住宅街。

 現場には、もう黄色いロープが貼られていて、担当警察官が張り番している。

 ロープを潜ると、井関さんが写真を見せてくれた。

「門扉に寄りかかって、眠っているみたいに見えるだろ?」

「ええ。」

「椅子代わりの、ビール箱の上に座らせられ、見えにくい角度で縛られていた。」

「結束バンド、ですか。」

「違う。テグスだ。」

「テグス?釣りとかで使うアレですか。」

 辻さんが、お隣さんの音無さんの奥さんを連れて来た。

「ゴミ出しに行って、曽我のお婆ちゃんが座っているから、声かけたけど返事が無かったんですよ。裏で洗濯物干してまだ座っているから、タクシーまだ来ないのかな、って思って、もう一度声かけたんです。よく通院とかでタクシー呼んだ後、そこに座ってたから。」

「ところが、違った。」

「ええ。マスクが少しずれてて、ガムテープみたいなのが見えて、息子に相談して、110番したんです。」

 やがて、救急車が来て、遺体は搬送された。

 我々は、遺体に手を合せ、見送った。

「許せないわ。」と、呟いたのは、智子だった。

 皆、無言で頷いた。

「大曲さん、電話台に電話帳があったから、こっちと近所、先に当たりますね。」と、辻さんが言った。

「ああ、頼みます。じゃ、我々は中を・・・。」

 蘭子は、今朝から熱を出している。午後から、リモートで捜査会議に参加する予定だ。

「正に、『鬼の霍乱』だな。」と、井関さんが呟いた。

 滅多に風邪引かない人が風邪引くと、大抵言われる慣用句だが、他の民族には判らないだろうな。


 中に入ると、二階にPCがある部屋、AV機器がある部屋があった。

 同居人は?と思ったら、一階の仏間を見て納得した。

 真新しい額縁があったからだ。同居する息子がいて、息子が先立ったのだ。

 大曲先輩が、その額縁と隣に並ぶ額縁に手を合せ、拝んだ。

 俺も、それに習った。

「ん?」大曲先輩が、額縁の隙間を見て何か気づいた。

「眩目。椅子、探してこい。いや、いいや。お前、俺の肩に乗れ。」

 そう言って、大曲先輩は、額縁の前でしゃがんだ。

 俺は、先輩より軽い。

 肩車して、額縁の裏の書類封筒を俺は取り出した。

「これは・・・。」


 午後1時。捜査一課。『老婆殺人事件』本部。

 リモートで、パジャマ姿の蘭子が参加して、捜査会議が始まった。

 管理官が口を開いた。

「大曲君が発見した書類は、公証人役場で手続きした、曽我睦夫の『遺言書』だった。公証人役場で作る遺言書は2人の立合人が必要だ。睦夫の友人2人にも確認が取れた。封筒には、遺言書にある預貯金の通帳と印鑑のありかを書いたメモがあったので、大曲君達が回収してきた。」

「管理官。残酷な殺し方をしていますが、遺産相続が原因のトラブルかも。井関さん、遺体は、ビール箱に座る前に亡くなっていたのでは?」と蘭子が言った。

「ご明察。死因は心不全。心臓発作を起こしたものと考えられる。嫌疑を逸らす為の工作だな。多分、2人以上で移動させた筈。」

「許せないわ。」と、再び智子が言った。


 午後5時。査一課。『老婆殺人事件』本部。

 取調室から、大曲先輩が出てきた。

「落ちました。課長ほど迅速でなくて申し訳ない。ガイシャの曽我花子さんの娘、北別府梅子と、夫の康夫は当日、口論となり、花子さんは心臓発作を起こし、亡くなった。口論の原因は、睦夫氏の遺産相続と、先日の選挙の時に花子さんが『期日前投票』を拒んだことだった。梅子は何としても自分の入信している宗教団体がバックの党を選挙で勝たせたかった。突然亡くなって、偽装工作して強盗のせいにしたかった。康夫は工事の下請けで働いていた。素直に110番すればいいものを。睦夫さんは、きちんと死後のことを考えていたのに。睦夫さんは交通事故でしたが、それには2人は関与していません。」


 午後7時。眩目家。

「死体遺棄で、送検か。宗教や思想に填まる者は、まず妄想するんだ。そこから現実を合わせて行こうとする。まともな神経じゃない。悪かったな。風邪なんか引いて。大曲、活躍だな。プラス5点にしとくか。」

 俺は、おかゆを運ぶスプーンを置いて、「蘭子さん。選んでくれてありがとう。愛しているよ。」と言った。

 だが、軽いいびきをかいていた。


 明日はきっと全快して、サービスさせられるな。子供欲しがっているし。

 おやすみ。


 ―完―


 ※参考までに。

 ※刑事部捜査一課のの係の数は35あります。数百人規模の部署ですから、係の数も必然的に多くなります。大体、一人の課長代理あたり3~4係程度を束ねています。


 ○強行犯捜査第1係:庶務担当

 ○強行犯捜査第2係:捜査本部設置や調整

 ○科学捜査係

 ○殺人犯捜査第1~12係:殺人、傷害事件等の捜査担当

 ○特別捜査第1、2係:未解決事件の継続捜査担当

 ○強盗犯捜査第1~6係:強盗事件の捜査担当

 ○性犯罪捜査第1、2係

 ○火災犯捜査第1、2係

 ○特殊犯捜査第1係:誘拐、人質事件等担当

 ○特殊犯捜査第2係:恐喝事件担当

 ○特殊犯捜査第3係:爆破事件事故等担当

 ○特殊犯捜査第4係:重要特異事件担当

 ○特命捜査対策室(特命捜査第1~4係):未解決事件の継続捜査、特命捜査担当


 ※本作では、沢山の係があるにも関わらず、開光課長直属のチームが難事件に挑む、という設定です。

 クライングフリーマン




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