34.真冬の脱水症事件
ガイシャ瀬尾孝之助は、異常な暑さの中で、脱水症状で亡くなった。先日の事件も結局、怨恨だったが、今回は間違いなく怨恨だ。発見者は友人染田優。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
=================================
午後1時。捜査一課。『亜熱帯殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャ瀬尾孝之助は、異常な暑さの中で、脱水症状で亡くなった。先日の事件も結局、怨恨だったが、今回は間違いなく怨恨だ。発見者は友人染田優。染田は、瀬尾が来宅予定だったのだが来ないし、連絡が取れないの心配になって、様子を見にきた。玄関は施錠されておらず、目張りも施されていなかった。瀬尾が絶命していると感じた染田は窓を開け、玄関引き戸を明け、110番をした。119番しようと思ったが、警察が連絡してくれるだろうと思って110番した。到着した機動隊員が救急隊員に確認の上、刑事と鑑識を呼んだ。井関さん、状況は?」
「とにかく暑かった。発見者の染田氏のお陰で、少しは温度が下がったが、エアコンは、ギリまで上げているし、ガイシャは目出し帽、防寒マスク、ゴーグル、スキーウエア、結束バンドで、両腕を椅子の後ろで縛られ、両脚は、櫓炬燵の中に突っ込まれていた。まだある。尻の下のは布団式カイロ、腰には腰用のカイロ、ふくらはぎには貼るカイロ、腹と胸にも貼るカイロ。で、櫓炬燵も温度最大。普段、脱水症状出にくい人でも間違い無く脱水になる。死因は腎不全だが、人工的な脱水が元の原因だ。」
「発見者の染田氏や親族の話では、ガイシャには心臓に持病があるそうです。」と、辻が言った。
「辻さん、ガイシャの、スキーを含めた趣味を染田さんや親族に再確認して貰えますか。」と蘭子が言い、「了解しました。」と、辻が答えた。
「大曲。PCその他は確認したか?」
「PCの前に、気になるので、冷蔵庫を調べてみました。温度は下がっていたものの、電源は繋がったまま、冷凍庫に『バレンタインチョコ』が包装されたまま入っていました。それと、PCは、熱暴走を起こしていて、起動途中でフリーズ。バックアップ用と思われるHDDやUSBメモリ、SDメモリが、やられています。」
「それだ。」「え?どれです???」
蘭子の目が輝いた。
蘭子は大曲先輩と俺を連れて、ガイシャの瀬尾の会社を尋ねた。グラフィックデザインの会社だった。
「盗作?・・・ですか。」と、蘭子は呆れた。
「勿論、言いがかりですよ。ウチの瀬尾がオリジナルです。」
その時、ノックをして、入って来た社長秘書が、お茶を配った。
妙に時間がかかった。
「で、相手方が裁判起こすぞ、って脅してきたんですね。」と、俺は社長にメモをしながら尋ねた。
「ええ。心配しなくていい、って瀬尾には言ってあったんですが・・・まさかこんなことになるとは・・・。」
「じゃ、相手方の連絡先を教えて頂けますか?いちいち確認するのが、私どもの仕事でして。」
「メールで言って来たんですが・・・。」
社長は、すぐ側のプリンターを使って、自分のPCからメールをプリントした。
「助かります。お邪魔しました。」
社外に出ると蘭子は、「ここには私一人で行く。お前達は、さっきの秘書を張り込め。」と、言った。
蘭子が去って5分後、秘書は慌ただしく出てきた。
午後5時。捜査一課。『亜熱帯殺人事件』本部。
取り調べ室から、蘭子と大曲先輩が出てきた。
「吐きました。主犯は、盗作で一儲けしようとした、相模瑛人。あの会社の秘書の御門今日子が従犯です。相模は、自分のオンナ今日子から、デザインの原画ファイルを盗ませたんです。真相を知ったガイシャ瀬尾が自宅で話をしようとしたら、残酷な殺し方をされてしまった。染田氏が来るのが遅かったら、火事になる危険もありました。殺しのアイディアは今日子らしい。オンナは恐い。」
皆、複雑な気持ちで頷いた。
恐ろしいのは、蘭子も・・・。
午後8時。眩目家。
「遅くなったな、愛するダーリン。」
蘭子は、バレンタインチョコを差し出した。
「取り敢えず、冷蔵庫か冷凍庫に入れろ。食うのは、『儀式』が済んでからだ。」
やっぱり、蘭子がいちばん・・・。
―完―
※冬は乾燥した空気と暖房により、不感蒸泄(皮膚や呼気からの水分蒸発)が増え、喉の渇きを感じにくいため「かくれ脱水」になりやすい危険な季節です。寒さやトイレを避ける心理から水分摂取が減り、血液が濃縮して血管疾患リスクが高まるため、意識的なこまめな水分補給(1日1.5L目安)と室内の加湿(50-60%)が重要です。
冬に脱水症が起こる主な理由
乾燥と暖房: 室内の空気が乾燥し、皮膚や呼吸から水分が逃げやすくなる。
喉の渇きを感じにくい: 暑い時期に比べて喉の渇きに対する感覚が鈍り、水分補給が遅れがちになる。
トイレの回数を減らしたい: 寒さからトイレに行く回数を減らすため、あえて水分摂取を控える傾向がある。
不感蒸泄の増加: 冬でも寝ている間に多くの水分が失われている。
冬の隠れ脱水・チェックサイン
口や喉の渇き、粘り気
手足の冷え、指先の乾燥
肌の乾燥、皮膚がカサカサする
こむら返り、筋肉痛
頭痛、めまい、ふらつき、倦怠感
尿の色が濃い
冬の脱水症対策
こまめな水分補給: 喉が渇く前に、2〜3時間おきにコップ1杯の水を飲む習慣をつける。温かいお茶やスープもおすすめ。
室内の湿度管理: 加湿器や濡れタオル干しで、湿度50-60%を保つ。
寝る前・起きた時の水分補給: 就寝中も水分が失われるため、寝る前と起きた時の補給を忘れない。
アルコールの摂りすぎに注意: アルコールには強い利尿作用があり、水分補給にならない。
高齢者は特に注意: のどの渇きを感じにくいため、時間を決めて意識的に水分を摂る。
もし、めまいや頭痛、ふらつきが強い場合は、すぐにかかりつけ医や医療機関を受診してください。




