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289.天才の正体

前回のあらすじ。

日曜の公民館駐車場に寝転がる人物を発見した主婦奥谷喜子は、酔っ払い出ないことを確認、110番通報をした。

「赤井。ウチの新人が、ホトケさんを知っているらしい。」と、井関が耳打ちした。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 =======================

 前回のあらすじ。

 日曜の公民館駐車場に寝転がる人物を発見した主婦奥谷喜子は、酔っ払い出ないことを確認、110番通報をした。

「赤井。ウチの新人が、ホトケさんを知っているらしい。」と、井関が耳打ちした。


 ==================================

 =================

 翌日。午前11時。捜査一課。第二応接室。

「洗脳?」蘭子は、思わず聞き返した。

「ハッキングはされてたけど、多分、今回は半グレも反社も関係ない。ガイシャがSNSに紛れ込んだアプリに触った為に、アプリをインストールされた。これ見て。」

 酒井は、アプリが送り込んだメールの内容と、ガイシャがSNSで言い始めた投稿内容をプリントしてきていた。

「似てるな。」大曲先輩は、唸った。

「催眠術にかかりやすい体質と、そうでない体質がある、って説知ってる?」

「じゃ、ガイシャは催眠術にかかった為におかしくなった、と。」大曲先輩は返した。

「酒井。囮で呼び出せるか?」

「喜んでー。」

「大曲。森さんに協力要請してくれ。」

「喜んでー。」

 居酒屋かよ、二人揃って。


 午後3時。東京スカイツリー入口。

 森静子が到着すると、男が背後から拳銃を押しつけた。

「SDは?」

「何のことかしら?あの子は私にとっては天才。貴方は天才じゃないわ。私は天才の母よ。5年以内に地球が滅んで、貴方の国だけ助かるの?支配したい国が滅んでしまったら、支配出来ない事くらい分かるわよ。」

「何?」

 男は背後から来た女性に、いきなり『体落とし』をかけられ、失神した。

「課長。周囲に仲間らしい人物は、いないようです。」

「ご苦労様。」井関課長は、にっこり笑った。


 午後5時。捜査一課横の大会議室。『公民館専用駐車場死体遺棄事件』本部。

 森静子、三鷹医師が、同席している。

 取り調べ室から、溝内課長、井関課長、倉田課長、酒井優香、小宮課長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。

 溝内課長、井関課長、倉田課長、酒井優香、小宮課長はすぐ出て行った。

 管理官が説明した。

「ホシは、須永病院の元神経科医師、蔵王紋太。ホシは、ハッキングした相手のガイシャが催眠術や洗脳に弱いことに目を付け、ハッキングして、自らが作った洗脳アプリを送り込んだ。ガイシャは、ホシが須永病院に勤務していた頃の患者だった。三鷹医師によると、院長は、患者の家族の目を盗んで患者を実験モルモットにしようしていたので、解雇されたらしい。殺害動機は、ガイシャの洗脳が解けたからだ。お母さんの説得でね。ガイシャをターゲットにしたのは、病院への当てつけもあったらしいが、お母さんが囮になってくれたお陰で簡単に捕まったところを見ると、自身も信じやすい体質のようだな。単独犯なので、マスコミから見れば大仰な包囲網だったが、結果オーライ、と言える。お母さん、ありがとうございました。」

「いいえ。これで、あの子も浮かばれます。職務とは言え、必死に捜査して頂いたこと、感謝致します。」と、静子さんは言って、深くお辞儀した。

「守秘義務云々ではないだろうと思い、お礼の場、として一緒に来て貰いました。それから、管理官。医師会には、院長から蔵王を除名するよう提言して貰いました。どこかで闇医者をやっていたようです。天才医師という触れ込みで。」

「分かりました、ご協力感謝します。」


 翌日。午後7時。葬儀会館。

 俺達は、森家のお通夜に参加した。

 マスコミが嗅ぎつけやってきたが、小宮課長の機転で、駐車場を満杯にして、第二駐車場という、架空の場所に誤誘導した。

 また、井関課長が、取材しようとするマスコミに職質をかけて足止めした。

 更に、管理官の計らいで、項別式の方は、葬儀会館の別館で行う予定になった。


 午後8時半。クルマの中。

 後方を確認した蘭子は、俺に命じた。

「150メートル先にラブホがある。今夜は、そこでピロートークだ。」

「喜んでー。」

 追手がラブホまで来るかどうか・・・。


 午後9時。ラブホテル。

 デリバリーを食べながら、俺は驚いた。

「えー。追手があったんじゃないの?」

「たまには、枕替えようぜ。」


 一番恐いのは、催眠術や洗脳なしに俺を奴隷にした・・・。


 ―完―


 === 主な登場人物 ===

 眩目(くらめ)真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光(かいこう)蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 新山ひかる・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。


 倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。警部。

 酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。

 小宮孝・・・警備課課長。警部補。

 溝内健児・・・生活安全課課長。警部。

 井関花江・・・警邏課課長。警部。井関の息子の嫁。


 ----- ゲスト –----

 三鷹医師・・・須永病院医師。





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