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284.指名手配

自家用車で、郊外型大型ディスカントストアで買物に行こうとした親子連れが路上に『大の字』になって寝ている女性を見付けた。

「この人、上から下までブランド品だわ。本物かしら?」

近石は、咳払いをして、110番通報をした。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 =======================

 前回のあらすじ

 自家用車で、郊外型大型ディスカントストアで買物に行こうとした親子連れが路上に『大の字』になって寝ている女性を見付けた。

「この人、上から下までブランド品だわ。本物かしら?」

 近石は、咳払いをして、110番通報をした。


 ==================================

 =================

 翌日。午後1時。捜査一課横の大会議室。『国際女優死体遺棄事件』本部。

 酒井優香は説明した。

「ガイシャ自身がバックアップを取っててくれたお陰で、差分が判明したわ。詰まり、相違点ね。それをピックアップしたのがこの比較データ」

 優香は、スクリーンに映し出されたデータを指し棒で、まるで、授業や会議、会社のプレゼンみたいに示しながら、説明していく。指し棒は指示棒とも呼ばれる、特定の場所や文字を指し示すための棒状の道具だ。プレゼンとはプレゼンテーションの略で、聞き手に分かりやすくする会議だ。

「左側に書いてある、日本人の名前が、南新鮮国の名前になっているのがお分かりでしょうか?ガイシャの苗木優子は、大学時代の友人の野際葉子とのメールで、プロダクションの仲間であるユンミカ、アンソナの本名を明かしています。ところが、右側のメールの内容では、ユンミカ、アンソナと書き換えられ、本名を明かした部分が消されています。通常のハッキングと連動したウイルス送付用のメールではありません。」

「メールごと消せばいいのに。」と、新山が言った。

「消したら、ガイシャにバレるでしょ?飽くまでも、『本名』を隠したかったから。ガイシャは、ネットを切って確認した。だから、南新鮮国には無い、ダイレクト・メッセージで野際さんと通信するようになった。ホシは、メールを止めた理由を知りたかった。そして、プロダクションの会合があるかのようなメールを送ってきた。」

「プロダクションのスケジュールを問い合わせてくれ、と言って来たのは、このためか。」と、蘭子は感心した。

「私が、営業部長に確認したところ、会合は存在しませんでした。」と、蒔さんが発言した。

 蘭子のスマホが鳴動した。

 蘭子は電話に出て、スピーカーをオンにした。

 神道課長からだった。

「プロダクションと関係しているのは、南新鮮国マフイアyuユーYouと提携している、木枯らし一派という、変な会社だ。で、プロダクションでは、双方を通じてタレント志望の女の子、特に家出娘を輸出していた。で、南新鮮国は評判が悪いが、警察はまともな分野もあるらしい。売春容疑で指名手配が出た。日本でのタレント名が、ユンミカ、アンソナというタレントだ。木枯らし一派は、ガサイレに向かった。」

「繋がったな。神道、良い子だ。」

「ありがとうさん。」


 午後4時半。捜査一課横の大会議室。『国際女優死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、神道課長、溝内課長、井関課長、井関警視監、皇係長、倉田課長、酒井優香、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。

 神道課長、溝内課長、皇係長、倉田課長、酒井優香は、すぐに出て行った。

 管理官が説明した。

「ホシは、プロダクションの社長村田長一、木枯らし一派の友田久司、楠木晃。村田は、売春絡みで捜査が入ることを恐れた。南新鮮国での指名手配も隠したかった。それで、ガイシャに、どの程度知っているか確認の上、ガイシャを殺害させた。後で野際さんに確認したが、ガイシャが知り得たのは、ハッキングの事実だけだった。村田は考え過ぎたんだ。疑心暗鬼で、スタータレントを自ら無くした。」

「ユンミカ、アンソナの2人は、いずれ、南新鮮国に引き渡すことになる。向こうの警察が、是非招待したい、と言って来たが、丁重にお断りした。愛妻家ですので、日本を離れません、とな。」

「私が恐いだけでしょ。」と井関警視監の隣の井関課長が言った。

「まあまあ。」と、井関さんが宥めた。

 井関警視監と井関課長は、手を組んで、出て行った。

 村松だけがクスクスと笑っている。


 午後7時。眩目家。

「本当のところは、どうなの?」

「ああ。井関警視監と井関課長?智子が言ってた。ウチは、オンナが強いんだ、って。」

「うちも・・・・。」

「うちも?来い。」

 俺は耳を引っ張られ、バスルームに連れて行かれた。

 拉致?性的暴行?

 誰に言っても、笑うな、きっと。


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目(くらめ)真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光(かいこう)蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 新山ひかる・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。

 倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。警部。

 酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。


 溝内健児・・・生活安全課課長。

 皇信也(すめらぎしんや)・・・捜査一課第二係係長。警部。


 井関花江・・・警邏課課長。警視。井関一郎警視監の妻。

 井関一郎・・・警視庁警視監。




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