283.事故ブランド
パパ。人が寝てるよ。」
「危ないなあ。オンナの酔っ払いか?」
クルマを降りて近寄った、近石甚助は、驚いた。
「酔っ払いじゃない。」
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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ある日曜日。午前11時。国道。
自家用車で、郊外型大型ディスカントストアで買物に行こうとした親子連れが路上に『大の字』になって寝ている女性を見付けた。
「パパ。人が寝てるよ。」
「危ないなあ。オンナの酔っ払いか?」
クルマを降りて近寄った、近石甚助は、驚いた。
「酔っ払いじゃない。」
「この人、上から下までブランド品だわ。本物かしら?」
近石は、咳払いをして、110番通報をした。
30分後。機捜と鑑識が到着した。
「えーと、通報してくれた近石甚助さんと、お子さんと奥さん、ですね。ご主人か奥さん、タブレットに名前書いて頂けます?」
赤井の部下がタブレットを持って来て、奥さんが近石華子、と署名した。
「へえ。タブレット使うんだあ。」
「名前間違い、無くす為ににね。」
「刑事さん、この人。」
「あ、知ってる人?有名人?」
「元アナウンサーで、南新鮮国で女優になって、今は日本でも女優やってる、苗木優子さんだと思います。」
「ファンなの?」
「声のね。女優としては赤点だけど、声はいいよ。ナレーションは、いい。」
「ふうん、そうなんだ。」
「赤井、偽ブランド品らしい。ウチの新人がおっしゃるには。」
赤井は、肩越しに新山を見た。意外だった。
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翌日。午後1時。捜査一課横の大会議室。『国際女優死体遺棄事件』本部。
管理官は説明した。
「ガイシャは、元アナウンサーで今は女優の苗木優子さん。発見者は酔っ払いかと思ったそうだが、アルコール反応も薬物反応も無かった。井関さん、死因は?」
「アーミーナイフ。今時、珍しいねえ。因みに、所持していたバッグや衣類を鑑定専門家に見て貰ったら、全部偽ブランドだった。下着は偽じゃなかったが、南新鮮国製品だ。日本と南新鮮国両方で女優やってたそうだから、当然だな。あ、レイプの形跡は無かった。」
「怨恨かな?偽ブランドが気に掛かるな。どうするね、開光君。」
「辻さん達は、ガイシャが所属しているプロダクションに聞き込みを。今、プロダクションの社長と、ガイシャのお母さまがいらしている。2人と合流して、苗木家には大曲達と村松が行け。」
「「「了解!!」」」
午後3時。苗木家。
苗木優子の母、初子と別れ際、プロダクションの社長村田は、反対した。
「パソコンを調べる?個人情報保護法に抵触しませんか?」
食ってかかる村田に対して、大曲は、玄関の戸を閉めてから、返答した。
「生活安全課の溝内課長から、お話があった筈です。必要なら、捜査一課課長から、令状を取って貰います。お母さん、我々は、お嬢さんを殺した犯人を一刻も早く捕まえたいんです。犯人逮捕が一番の供養と思いませんか?お嬢さんのPCを調べて、何も出て来ないかも知れません。ひょっとしたら、プロダクションの方から犯人逮捕の糸口が見つかるかも知れません。ご協力をお願いします。身内が犯人のケースもあります。でも、お見かけしたところ、お母さんが娘に手をかけたとは思えない。しかも、あんな恥辱的な格好で。これは、皆さんに説明していることですが、どんなに真っ当に生きていても、『逆恨み』で人を殺める、頭のおかしい人間だっているんです。どうか、糸口を探させて下さい。」
「分かりました。社長さん、個人情報なんちゃらは、生きている場合に問題になるんじゃないですか?私は刑事さんを信じます。どうぞ、お上がりください。」
村田は、何も言わず、玄関をピシャリと閉じて、帰って行った。
俺は、張り番の警察官に黙礼してから、玄関をそっと、閉めた。
俺が案内された部屋は、ピアノがあった。
「一応、音楽科を出ていますのよ。」
アルバムを広げ、学校時代の友人と、プロダクションに入ってからの友人を紹介してくれた。
「学校時代、音大のね、大学時代の友人は、野際葉子さん。プロダクションに入ってからの友人は、ユンミカ、アンソナさん。このお二人は、日本でタレント活動しておられます。」
大曲先輩のいる書斎には、沢山の本があった。その片隅にPCとタブレットがあった。
「今。酒井に連絡した。」
「糸口、が見つかったんですね。」
「お母様。PCとタブレット、お預かりしてよろしいでしょうか?」
「お任せします。」
午後5時。捜査一課。第二応接室。
館内電話が鳴り、村松がとり、スピーカーをオンにした。
「やはり。大曲くんの見込み通り、ハッキングされていたわ。ご当人も気づいていたのね。バックアップHDDに定期的にバックアップしていたみたい。今、差分を解析中。USBの方は、もう解析した。プロダクションのデータよ。」
「神道。」
「皆まで言うな。半グレでプロダクションと関わっているのを探すよ。」
神道課長は、慌ただしく出て行った。
「やはり、ブランド品はカモフラージュか。ガイシャは、何か犯罪に巻き込まれていたようだな。警邏課に強力して貰ったが、ガイシャを運んだ不審車両は見付けることは出来なかった。」と、管理官は、溜息をついた。
―「捜査一課ですけど、284」に、つづくー
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
新山ひかる・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。警部補。
酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。
溝内健児・・・生活安全課課長。警部補。




