280.そんな積りじゃ無かった
「隆。学校、遅れるぞ。」
「お父さん。ライブ、って生放送って意味だよね。」
「そうだよ、子供の頃、教えただろう?」
父親の牧尾も、そのテレビ画面を観た。
「そんな積りじゃ無かったんだ。」
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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午前7時。ある街のアパート。
高校生の隆が、登校準備をしながら、何気なくテレビを観ていた。
画面には、かつての2時間ドラマのような展開が映っていた。
でも、何かがおかしい。
「隆。学校、遅れるぞ。」
「お父さん。ライブ、って生放送って意味だよね。」
「そうだよ、子供の頃、教えただろう?」
父親の牧尾も、そのテレビ画面を観た。
「そんな積りじゃ無かったんだ。」
「じゃ、許してやるよ。この屋上からバンジーしたらな。」
追い詰められた男は、屋上の端から転落したようだった。
画面は。暫く『砂嵐』状態になった。
午前7時40分。丸の内ビルディング(通称マルビル)。
到着した、機捜と鑑識は驚いた。
遺体は勿論、何もない。
「班長。ひょっとしたら、新マルビルの方じゃないでしょうか?ホシが名前を勘違いしたのかも。」
「ありうるな。余談は禁物だが、ホシが外国人なら区別がつかないかも。赤井、取り敢えず移動しよう。」
「了解。みな、行くぞ!」
午前8時。新丸の内ビルディング(通称新マルビル)。
赤井の部下の勘は当たっていた。
高層階から落下した現場が、そこにあった。
赤井が判別出来たのは、医者の白衣の断片だけだった。
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翌日。午後1時。捜査一課横の大会議室。『新マルビル殺人死体遺棄事件』本部。
酒井優香が同席している。
管理官が説明した。
「ガイシャは、オールジャパン医師会会長の須藤賢也医師。発見者と言うより、目撃者多数。新マルビル近くの大東亜テレビというCATVから強盗・監禁の被害届が出ている。酒井君。こんなことが可能なのかね?」
「日の丸テレビは、大東亜テレビに取材させる番組を持っています。電波ジャックされたのかと思って調べたけど、分からなかった。なら、大東亜テレビから被害届が出ているし、中継で切り替わった時点で、カメラマンを脅して、ガイシャを突き落とす撮影をしたんでしょう。中継先は公表していないが、新マルビルにしたのは、中継車があるからでしょう。中継車からカメラマンを連れて屋上に上がった。まさかの展開だった、と。」
「管理官。新マルビルの屋上ヘリポートには、無断で離着陸した形跡があります。ホシは、仲間とヘリで逃げたんでしょう。それで、カメラマンは開放され、事態の重さに気づいた。あ。屋上の『工事用フェンス出入り口』は弄った跡がありました。死因は転落による打撲。」と、井関さんは報告した。
「惨事に気づかず、隠蔽しようとした、日の丸テレビにも責任があるな。どうする、開光くん。」
「辻さん達は、オールジャパン医師会に、日の丸テレビには、皇係長のチームと関口係長のチーム、大東亜テレビには、餅屋係長のチームと紅林係長のチームに行って貰います。大曲達と村松は、須藤家に行け。マスコミが張り込んでいるから、段ボール持ってな。」
遠慮という訳ではないのだろうが、マスコミの記者は、鑑識には取材しない。しようとしてもシカトされるから。刑事らしき人間には食らいつくが。
午後2時半。クルマの中。
「なんか、しっくり来ない。実は、俺は医者をあまり信用していない。というよりは、医師会が幾つもあるのが気に入らない。流行り病の時、正体不明の病に答を出せる医者は少なかった。学者でも、都合のいいこと言う医者だけが重宝された。蘭子に、三鷹さんに打診することを提案した。信用出来る数少ない医者だから。」
「「ふうん。」」
午後3時。須藤家。
俺達は、村松に別行動をさせて、鑑識に変装して、須藤家に入った。
あ。何度か見た光景だ。
奥方の斗志子さんは、首を吊ろうとしていた。
俺達は必死に止め、一息ついたところで、蘭子から先輩のスマホに連絡が入った。
先輩は、先に、須藤氏の書斎に入り、電話に出た。
俺が、夫人に貰ったアルバムの写真や葉書は、医師会のものだけだった。
張り番の警察官に後と託して、俺達は、また段ボールを持って外に出て、遠回りしてクルマに戻った。
「先輩。やっぱり、評判悪いです。」
「だろうな。蘭子から電話で、調べ直すことになった。」
「何をですか?」と、俺が尋ねると、「事件現場とCATVだ。」と答が返ってきた。
「「ええっ!!」」
―「捜査一課ですけど、281」につづくー
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
新山ひかる・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。警部補。
酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。
溝内健児・・・生活安全課課長。警部補。
皇信也・・・捜査一課第二係係長。警部。
関口寛也・・・捜査一課第三係係長。警部補。
関口寛也・・・捜査一課第三係係長。警部補。
紅林新太・・・捜査一課第四係長。警部補。




