271.嵌められた大臣
巡回してきた山西警備員が、議員バッジをつけた男性が仰向けに倒れているのを発見した。
山西警備員は、すぐに警備隊長に連絡をした。
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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午前8時。議員会館前。
巡回してきた山西警備員が、議員バッジをつけた男性が仰向けに倒れているのを発見した。
山西警備員は、すぐに警備隊長に連絡をした。
「警察には、こちらから連絡する。お前は相棒と一緒に現場保存に当たれ。職員や議員には、別の出入り口を使用するよう指示。私もすぐ向かう。」
「了解。」
30分後。
機捜と鑑識が到着した。
「ここは、死体捨て場じゃないんだけどなあ。」
そういう山谷に、「いや、議員は、大臣は、運ばれたんじゃない。ここで死んだんだ。赤井、例の薬物だ。」と、井関が言った。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『議員会館死体遺棄事件』本部。
管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、農林大臣の柳田俊基氏。山谷氏の警備会社の警備員が発見した。井関さん、例の薬物ですか。」
「ああ、何か飲み物に混ぜたんだろう。登庁した時、毒が回ってきた。以前のように、死体を運搬したんじゃない。」
「表には、マスコミがわんさかだ。当面、心不全ということにしておく。大臣は、以前心臓の手術を受けている。」
蒔さんが手を挙げた。
「農業大臣ですが、一昨日になって、新事実が判明しました。どうやら、地元の会合で、挑発されたようです。暴言を吐いたことは事実でしたが、その挑発に乗った上だったと、告発した地元の人がSNSに話しています。オールドメディアが尾ひれをつけたんです。」
「すると、大臣に責任をとらせた形にしたかったのかな?でも、自殺じゃないしなあ。」
「それでも、内閣を揺さぶることは出来る。隣国は焦っている。以前連立を組んでいた小梅党も、隣国派を臭わせる発言をしている。事実がどうあれ、大臣が責任取ったとオールドメディアに騒がせる積りでしょう。辻さん達は、移民党に聞き込みを、餅屋係長と関口係長のチームに他党の聞き込みを。大曲達は、溝内課長と面談している、国対委員長の真下氏の案内で柳田家へ。」
「「「了解。」」」
午後3時。柳田家。
真下氏は、葬儀その他を柳田俊太郎氏と打ち合せし、俺達に黙礼をして帰って行った。
「この度は、せがれが、とんでもないことで・・・。」
元国会議員でもある、ガイシャの父俊太郎氏は、絶句した。
「頭をお上げください。捜査に予見は禁物ではありますが、ご子息は、嵌められたのだというのが、捜査方針です。」
「それは、守秘義務では・・・・。」
「はい。だが、どんな事情があっても、殺人は許されません。ご子息は、病気の発作ではなく、毒物を飲まされております。」
「何と・・・まあ、お上がり下さい。」
幾らくらいの高齢者か分からないが、俊太郎氏は、しっかりとした足取りで、背筋もピンと立っていた。
「こちらが、せがれの部屋です。ご所望のアルバムや葉書ホルダーも書棚にある筈です。どうぞ、パソコンもお調べ下さい。」
「ああ。やっぱりな。」
PCやタブレットを調べていた大曲先輩は、言った。
「お父様。パソコンを詳しく調べたいのですが。」
「・・・了解しました。犯人に辿り着く可能性があるのですね。」
大曲先輩は、すぐに秋野に電話した。
「・・・うん。俺達の変装道具も、な。」
午後4時半。捜査一課。第二応接室。
館内電話が鳴った。
村松が受話器をあげ、スピーカーをオンにした。
酒井優香だ。
「やはり、ハッキングされていたわ。残念だけど、PCやタブレットは、隣国に行った時の『玉手箱』だったようね。マスカットの事件、覚えている?どうやら、柳田氏がその資料データを持っていて、隣国はオールドメディアと県会議員数名を抱き込んで提出させようとしていたらしい。それで、暴言事件を起こし、印象操作した。しかし、思惑通り『罷免』や『更迭』はされなかった。そして、今回の事件。蘭子課長、罠、張りたい?」
「もう、段取り組んであるんだろう?倉田さんに言って。ずるい奴だ。」
「てへ。」
「てへ?」
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翌日。午前11時。〇〇更新会。東京事務所。
「メールした堺屋ですが・・・。」
事務長が出て来ると、神道課長は、横から容赦なく手錠をかけた。
「特殊詐欺及び公務執行妨害で逮捕します。」
「ええっ!!」
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午後3時。捜査一課横の大会議室。『議員会館死体遺棄事件』本部。
取り調べ室から、倉田課長、酒井優香、神道課長、溝内課長、餅屋係長、関口係長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。
倉田課長、酒井優香、神道課長、溝内課長、餅屋係長、関口係長は出て行った。
管理官は説明した。
「ホシは、柳田氏の秘書前田等、〇〇更新会東京事務所事務長の綾野郷士、柳田氏地元の県議会会長の松平計。〇〇更新会は、半グレから件の薬物を入手していた。綾野の立てた段取りで、前田がガイシャの柳田に薬物入りのコーヒーを水筒から飲んだ。そして、死に至った。葬儀は、元議員の俊太郎氏が行い、移民党は『お別れの会』を催すそうだ。それから、俊太郎氏から、大曲くんに感謝する、と伝えてくれ、とのことだ。何かしたのかね?」
「いえ、お悔やみを申し上げただけです。」
午後7時。眩目家。
「真吉。喪服だ。3回戦終わってからな。」
そんなー。
「あ。」
「何だ?マスカットのデータは?」
「ブラフだろう。PCには無かった。」
―完―
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
新山ひかる・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。警部補。
酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。
溝内健児・・・生活安全課課長。警部補。
餅屋重樹・・・捜査一課第一係係長。警部。
関口寛也・・・捜査一課第三係係長。警部補。
山谷敬三・・・元警視庁警部補。今は警備会社警備隊長。
※飽くまでも、フィクションです。念の為。
ただ、マスカットの事件は、「シャインマスカット大量盗難事件」や「シャインマスカット販売事件」等、色んな事件が発生しています。ご興味ある方は、ネット検索をして下さい。
クライングフリーマン




