264.人を呪わば穴二つ
事務室に戻ろうとしていた女性職員が、止まっているエスカレーターに気づいた。中央付近に倒れている人物がいる。、近寄って声をかけようとして、止めた。
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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九段下の「公会堂」に該当する歴史的建造物は、現在「九段会館テラス」として再開発され、宴会場やカンファレンス施設となっています。
クライングフリーマン
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午前10時。九段テラス。
一階エントランスから続くエスカレーターに女性が倒れていた。
事務室に戻ろうとしていた女性職員が、止まっているエスカレーターに気づいた。中央付近に倒れている人物がいる。、近寄って声をかけようとして、止めた。
彼女はヒールに気を付けながら、エスカレーターを降り、110番通報をした。
ここは、かつては、公会堂のあった場所で、近年、大幅なリニューアルをして総合施設に生まれ変わっている。
機捜と鑑識が、30分後に到着した。
「貴方が、110番通報してくれた・・・案内係の?」
「コンシェルジュです。二ノ宮咲子と申します。」
「失礼しました。二ノ宮さん、貴方が発見された時は、他に誰もいなかったのですね?」
「はい、エントランスに入る時も誰にも会いませんでした。午前9時には、自動的に開いております。」
「成程。では、その後、運び込まれたことになりますね。」
「そうなるな。血痕がまっすぐ続いている。エスカレーターの電源は、手動で切られている。真ん中へんで止める必要あるかな?」
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『エスカレーター死体遺棄事件』本部。
新垣課長が同席している。
管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、九段テラスで結婚式を挙げる予定だった、三条悦子さんだった。三条さんは、親路派で有名な薄野総氏の姪だった。死因は、銃殺、でよろしいですか?井関さん。」
「ああ。間違いない。今時珍しいトカレフだ。オトロシア関係かな?ああ、オトロシア。」
新山は、変な顔をしている。
受けているのは、村松だけだ。
「とにかく、九段テラスは殺害現場ではなく、発見現場だ。ホシは、ガイシャの結婚式を知り、遺棄したものと思われる。」
「辻さん達は、薄野氏の所属している一心の会に聞き込みを。村松も行け。皇係長のチームと紅林係長のチームも応援に加えます。大曲達は、三条さんの家と薄野さんの家と、両方行って調査しろ。PC関係で怪しい点があれば、サイバー犯罪対策課に連絡。以上。」
「「「了解。」」」
午後2時。生活安全課。
溝内課長に紹介され、意気消沈している薄野氏は、言った。
「狙うなら、私だろうに。」
「そうとは限りません。薄野さんは、今は一心の会所属です。連立与党ですよね。ひょっとしたら、ということもあり得ます。」と、大曲先輩は言った。
「そういうことですか。粘着質な奴らが、姑息な手段に出て、政府を揺さぶる算段ですか。是非、見付けて逮捕して、司法で裁いてください。」
大曲先輩は、黙礼した。
午後3時。三条家。
三条氏自身への報復でないだろうとは、予測がついていたし、三条氏は機械音痴だったと聞いたので、通り一遍の捜査だ。薄野氏は、俺達が捜査している間、三条家と葬儀の打ち合せをしていた。
午後3時半。俺達のクルマの中。
俺達は、薄野氏の車の先導で、薄野家に向かった。
「俺、嫌いな政治家の一人だったけど、撤回します。」
「ああ。思ったより紳士だったな。国会の会合で、失礼な女性記者に出て行け!って言ったからな。親路派の部分以外は、案外まともなのかも知れないな。」
午後4時半。薄野家。書斎。
俺は、書棚から出されたアルバムや、葉書ホルダーをチェックした。
横で、古いPCを捜査していた大曲先輩が、声を上げた。
「薄野さん。このPCは、いつ頃買われましたか?」
「2000年になる前だったかな?ある人から譲り受けたんです。メールや書類整理くらいにしか使っていませんが・・・。」
大曲先輩は、その場で酒井に電話した。
「出番だ。ちょっと重いが、持ち帰るから準備してくれ。」
「どういうことです?」薄野氏は、怪訝な顔をした。
「嵌められたんですよ、薄野さん。」
午後6時。警視庁サイバー犯罪対策課。
「開光課長の勘が当たったんですね。全力を挙げて、取り組みます。」
倉田課長は、力強く言った。
―「捜査一課ですけど、」265」につづくー
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
新山ひかる・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。警部。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。警部補。
酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。
溝内健児・・・生活安全課課長。警部補。
皇信也・・・捜査一課第二係係長。警部。
紅林新太・・・捜査一課第四係長。警部補。




