252.セクシー映画スタント
「危ない!!」
天音は、一瞬、人を轢いたと思い、目の前が真っ暗になった。
だが、奥山の声に我にかえった。
「天音、見て。この砂利トラから落ちたんだよ。」
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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午前8時。ある国道。
雨は、明け方から続いていた。
長距離トラックの運転手天音新と助手奥山寛人は、帰社後、仮眠を取るかどうかで盛り上がっていた。
「危ない!!」
天音は、一瞬、人を轢いたと思い、目の前が真っ暗になった。
だが、奥山の声に我にかえった。
「天音、見て。この砂利トラから落ちたんだよ。」
見ると、道路脇に放置された、工事中の砂利トラがある。
タイヤがバーストした形跡がある。
血は、天音達のトラック前まで続いているが、砂利トラから続いている。
天音は、すぐに110番通報した。
奥山は、会社の留守番電話に電話した。
雨で時間がかかったのか。40分後。機捜と鑑識が到着した。
天音は、会社の身分証、運転免許証、車検証を出して、赤井警部補に説明した。
「じゃ、ぶつけた感覚は無かったんだね。急ブレーキがギリギリ間に合ったか、スリップしなくて良かったな。雨の中、ご苦労様。帰っていいよ。但し、連絡先、教えといて。捜査専門の刑事が確認することもあるから。」
「え?刑事さんが捜査するんじゃないの?」
「いや、捜査は捜査専門。鑑識は引き続き捜査に加わるけどね、機動捜査隊は、現場確認。1日十数件の時もある。」
「大変ですねえ。」
「長距離の・・・帰り。」
「はい。熱海まで行って。帰社したら、仮眠の後、次の現場って時もあります。」
「おたくらも大変だね。気を付けて。」
「はい。」
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『砂利トラ死体遺棄事件』本部。
管理官は説明した。
「現場は、国道脇建設現場の路肩。タイヤがバーストしたので、運搬途中だったが、ドライバーは仲間を現場を離れた。それが、午前6時。その後。ホシが、放置されている砂利トラに遺体を遺棄、逃走した。そして、午前8時。発見者の長距離トラックが、転がった遺体と遭遇した。遺体は、ミニスカートをはいた女性だが、三十路だろうと推測される以外は分からない。所持品は持っていなかったか、ホシが始末したか落したか。井関さん、凶器は?」
「見つかっていない。殺害現場じゃないだろうから、ホシに聞かないとな。バタフライナイフ。心臓に手術の跡があり、その近くを刺されたら死ぬよな。」
「広報に、尋ね人を出して貰った。一般情報を待とう。解散。」
午後3時。
不明の遺体が見つかった、とTVニュースで流れた。
午後5時半。捜査一課。蘭子のデスク。
深山課長から電話が入った。
「アポローンの天野社長から連絡が入りました。心当たりがあるそうで、明日、確認に来られます。」
「了解しました。」
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翌日。午前9時。捜査一課。第一応接室。
天野社長は、遺体確認後、開光課長に面会に来た。溝内課長が同席した。
「これが資料です。本名、白鳥百合子、芸名、萩野唯。出身は三重県だと聞いています。恐らく履歴書に間違いはないでしょう。地元でアイドル活動していたが、パッとせず、上京して芸能プロを幾つも受けたが不合格。セクシー映画なら、と勇気を振り絞って応募。ところが、全てにおいて平凡過ぎる。あまりの落胆に、『スタント』を勧めたんです。アクションではなく・・・。」
「確か、顔が映っていないシーンの代役、でしたね。」
「そうです。この業界も、売れると売れないでは雲泥の差。売れっ子のスター女優は、フリーになって、掛け持ち。たまに、撮影が間に合わなくなる場合もある。その時、重宝するのが、スタント。無論、エキストラ的な配役でも出ますよ。旅館の仲居さんとかね。で、5月・・・そうそう。ゴールデンウィーク開けの頃、急に連絡が取れなくなったんです。度オタキャンして辞める者も少なくないですからね。ガッカリしていたら、こんな形で再会。残念です。郷里には、私から連絡をしておきます。開光さんには一刻も・・・芝居じみていかんな。捜査はお任せします。」
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
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午前10時。捜査一課。蘭子のデスク。
井関さんから、電話が入った。
俺は、スピーカーをオンにした。
「砂利トラだがな。盗難車だった。あそこの現場は関係ない。タイヤは摩耗でバーストしたんじゃない。パンクさせられたんだ。」
「ええ?」
午前11時。
神道課長から、電話が入った。
俺は、スピーカーをオンにした。
「長距離トラックの2人な、行方が分からないそうだ。」
―「捜査一課ですけど、253」につづくー
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
溝内健児・・・生活安全課課長。
深山俊哉・・・警視庁広報課課長。警部補。




