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246.返り討ち

※前回のあらすじ。

「あ、ママ。熱中症。」親子連れの親子の、子供が見付けたのは、リュックを担いだ人の死体だった。

そこに現れて、110番通報したのは・・・。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ====================

 ※前回のあらすじ。

「あ、ママ。熱中症。」親子連れの親子の、子供が見付けたのは、リュックを担いだ人の死体だった。

 そこに現れて、110番通報したのは・・・。


 =================

 ====================

 午後1時。第二応接室。

「繋がったな。眩目、火事の時、一番必要なのは何だ?心構えでなく、物理的にだ。」と、神道課長が言った。

「そりゃ、しょう・・・あ。」

「出番だな。私にも働かせろ、開光。」と、井関警視が言った。

「どういうことです?」

 蘭子の問いに、「小栗のボヤ、だ。政治的なボヤはSNSに任せる。」と、警視は笑った。

 ===============================

 午後3時。小栗邸。

 井関警視は、地元消防署長と共に小栗を訪れた。

「ちょっと、古い話で申し訳ないのですが、十五年前、先生は、消費者庁長官をしておられましたよね。」

「ええ。確かに古い話だ。それが何か?」

「実は別件で逮捕した放火魔が、十五年前の放火について自白しましてね。大陸醸造という、酢のメーカー、ご存じですよね。」

「確か、本社は愛知県だった気がするが・・・。」

「ええ、その東京醸造所でボヤ騒ぎがあって、そのボヤも、その放火魔の仕業らしいんです。大陸醸造は贈収賄の疑いがあったそうですが、先生の後援会の会員ですよね?先生も、『あらぬ疑い』で『痛くない腹』を探られたんじゃないでしょうか?」

「ええ、まあ。それで?」

「それで、その放火魔が言うには、当日、先生をお見かけした、と。まあ、悪い奴は苦し紛れに色々と嘘をつきますからねえ。確認したいのは、当日の、先生のアリバイです。所用で、大陸醸造以外の場所におられたら、放火魔の嘘が証明出来ます。」

「日付は?」

 井関警視は、小栗にタブレットを見せた。

「ちょっと待って下さい。書類ファイルを確認しますから。」

 そう言って、30分ほどして、書類ファイルを持って来て、小栗は井関警視に見せた。

「党の役員と食事会をした日ですね。大陸醸造に行く暇は無かった筈だ。」

「なるほど。それではやはり、苦し紛れにデタラメを言ったのでしょう。お手数をおかけしました。」

「それで、消防署長さんは何故?」

「あ、ご近所にもお配りしているんですが、早い話『火の用心』キャンペーンのチラシです。先生からも、是非啓発をお願いします。防災の日以降、順次配布しているんです。」

「あ。了解しました。皆に声かけしましょう。ご苦労様でした。」


 午後3時。大陸醸造。

 社長の小野に、辻班長はしつこく尋ねた。

「ボヤが出た位で、何故解雇ですか。普通は『厳重注意』か『減給』でしょう。湯田さんは不平言わなかったですか?その日、国会議員が訪問していたんですよね?」

 更に、蒔が追い打ちをかけた。「湯田さんが残したデータは、今、解析中です。」

 小野は、膝を折った。


 午後5時。いのちの親睦会。

 小栗は、社長の佐来に、「大丈夫なんだろうな。ちゃんと始末したと言っていたじゃないか。」と、詰め寄った。

「ボヤのせいでクビになった、って先生を脅す方がおかしいんですよ。先生は1円も払う必要がないから、元プロレスラーの冬木にやらせたんです。うまい具合に行ったんです。」

「消火器、重いから、大変だったろうなあ。ちょっと事情を聞こうか。」

 神道課長以下、捜査官が踏み込んだ。

 ================================


 午後7時。捜査一課横の大会議室。『モール駐車場死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、神道課長、深山課長、越前屋課長、溝内課長、餅屋係長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。

 神道課長、深山課長、越前屋課長、溝内課長、餅屋係長は、すぐに出て来た。

 管理官が説明に立った。

「ホシは、小栗純矢、いのちの親睦会の佐来、元プロレスラーの豊津大吉。元木敬三氏は、ガイシャの湯田のアリバイ工作をする積りが失敗した。湯田は、15年前、大陸醸造の二重帳簿、小栗との贈収賄授受の現場の近くを通った。湯田は、眼科健診の後で、よく見えなかったが、その書類群をチラ見してしまった。社長の小野は、因果を含め、退職金を払った上で『会社理由』の退職、即ち、解雇をした。十五年経って、湯田は、その書類の一部を思い出し、元木に相談した。元木のシナリオ通り強請りに行った湯田は、返事を保留にされ、佐来に相談、買物途中の湯田は、元プロレスラーの豊津に襲われた。豊津は、カモフラージュの為、自身の車から消火器とリュックを使って、遺体に抱かせた。豊津は、馴染みのパチンコ屋で遊戯中を警邏課課員に逮捕・連行された。以上。」


 見守っていた、井関警視監、井関警視は拍手をした。


「お見事。」井関警視が言った。

「これから、記者会見を行う。小栗はもう、新党作れない。」井関警視監が言った。


 午後8時。眩目家。

 2人で、おにぎりを頬張った。

「豊津は、警視が以前からマークしていたそうだ。パチンコ屋と癒着、をよく言われることも気に入らなかった。警邏課を希望したのも、そこにあるそうだ。」

「警視と、お近づきになったの?」

「うん。メル友。さっき、これから接合するってメールしといた。」


 接合?まさか・・・。


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目(くらめ)真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光(かいこう)蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。

 倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。

 酒井優香・・・サイバー犯罪対策課員。

 越前屋幸太・・・捜査三課課長。

 溝内健児・・・生活安全課課長。


 深山俊哉・・・警視庁広報課課長。警部補。

 餅屋重樹・・・捜査一課第一係係長。警部。

 井関花江・・・警邏課課長。警視。井関一郎警視監の妻。

 井関一郎・・・警視庁警視監。


 ※自動車用消火器が避難用リュックに入るかどうかは、定かではありません。

 クライングフリーマン



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