244.入ってます
説明しようと解錠したが、開かない。店員は応援を呼び、3人がかりで、やっと開けた。
開かなかった理由はすぐに分かった。
死体が寄りかかっていたのだ。
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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午後2時。国道沿いのホームセンター。
駐車場に展示している簡易物置の相談を受け、ホームセンターの店員が、その物置に向かった。
説明しようと解錠したが、開かない。店員は応援を呼び、3人がかりで、やっと開けた。
開かなかった理由はすぐに分かった。
死体が寄りかかっていたのだ。
店員は、深呼吸をして、110番通報をした。
1時間ほどして、機捜と鑑識が到着した。
秋野が呟いた。「厄介なことになるな。」
「秋野、知ってる人?」と、赤井警部補は尋ねた。
「はい。有名人です。」
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『簡易物置死体遺棄事件』本部。
新垣課長、神道課長が来ている。
管理官は説明した。
「ガイシャは、秋野くんに寄ると、木縄県立大学木梨貴文准教授。先日行われた知事選に先立ち、国会の参考人質疑で、『木縄県の実情』を説明した准教授だ。ホームセンターの物置購入予定の客が店員の見本の物置の中を見せて貰おうとしたら、死体が出て来た。井関さん、窒息死ではないんですね。」
「刺殺された上に、何者かが侵入し、放り込んだ。店員によると、施錠はしていなかった。『線状降雨帯』とやらで大雨、落雷の為停電して、ホームセンターの防犯カメラも警報装置も作動しなかった。残念ながら、ホームセンターなのに、センサー型の防犯カメラは近くに設置されていなかった。秋野、タッチ。」
「ガイシャは、選挙が始まる前の頃、国会の参考人招致で爆弾発言した准教授で、その後、大学に辞表を出しています。『30年間、何をやっていたんだ』と憤慨されていました。我々は、巨額党系の活動に目を奪われてしまってました。木縄県の政財官の利権による実態が煙幕で隠されていた、と、おっしゃっていました。基地移転計画は、巨額党系の活動に妨害され続けたこともあって、元の基地を強化しているのが実態だそうです。野湖基地は、計画変更して有効利用する道を探さないと、完成後、役に立たない基地が出来上がるだけ、正に『砂上の楼閣』だと、おっしゃっておられました。」
「簡単に考えると、准教授が邪魔な人間の報復ということか、秋野。」と、蘭子が言った。
「被疑者の一方向ではあります。」
「詰まり、私に、木縄県のヤクザを洗え、と言っているんだな、蘭子。」と、新垣課長が言った。
「詰まり、俺に、木縄県の半グレを洗え、と言っているんだな、蘭子ちゃん。」と、神道課長が言った。
「いい仲間だ。あ、マブダチだ。」と、蘭子は言った。
「「笑えない。」」
2人、同時に言った。
一瞬、鼻白む蘭子だったが、「辻さん達は、ホームセンターに行って、下見やパンフ依頼した客を探してください。大曲達は、目白の、准教授の実家に行ってくれ。自宅は木縄県の家を引き払っているらしい。ご母堂がお待ちだ。」と、言った。
午後2時半。クルマの中。
「選挙が終わってから・・・もし、現知事が再選だったら。」
「違う理由、違う場所でやられたかもな。悪い奴は正論が嫌いだから。」
「まあ、それは、そうですが。」
「まだ、引っ越しの梱包を解いていないらしい。3人でまずは開梱作業だ。」
午後3時半。木梨家。
木梨みちさんは、玄関で平伏した。
「ご苦労様でございます。貧乏学者風情の為に申し訳ありません。」
「どうぞ、頭をお上げください。開梱作業は我々でやって、捜査資料になるものがありましたら、お借りします。ご母堂様は、昔のアルバム等、ございましたらお願いします。それと、こちらに届いた年賀状があれば・・・。」
「承知しました。使用人は出払っておりますので、時間はかかりますが。」
恐らく、休暇を取らせたか、買物に行かせたのだろう。執事や家政婦がいてもおかしくないお屋敷だ。
1時間半、かかって開梱は済んだ。向こうの家は、空のままだそうだ。
大曲先輩は、PCを組み立て、タブレットにも配線して作業にかかった。
俺と村松は、後始末の作業を始めた。
午後5時半。
PCとタブレットを預かり、俺達は、木梨家を出た。
表には、新垣課長の部下が張り込んでいた。
PCとタブレットは、サイバー犯罪対策課に一任することになり、帰庁後、すぐに運んだ。
酒井は、「その放送、見たよ。SNSしか報道されていない。」と、言った。
翌日。午前11時。捜査一課。蘭子のデスク。
蘭子は、スピーカーをオンにした。
「尻尾、掴んだよ、蘭子。躍進組という反社が、奈良県にある。その支部が、木縄県にある。昨夜、ウチの若い衆が、躍進組の関東支部の鉄砲玉、捕まえた。今朝、ゲロさせた。」
あっさり言うなあ、と俺は思った。
新垣課長は、拷問も使うと噂される、『落とし』の名人だ。
続いて、神道課長から電話が入った。
「芸術振興むらさき商会という、元NPO法人がある。今は半グレだ。ここは、関東躍進組と仲が良い。」
「繋がったな。」蘭子は呟いた。
更に、酒井優香から電話が入った。
「PCの方に、ハッキングの跡と、削除したメールがあった。准教授は、移民党の元議員井澤元喜の名前で呼び出されている。」
午後3時半。捜査一課横の大会議室。『簡易物置死体遺棄事件』本部。
取り調べ室から、神道課長、新垣課長、倉田課長、酒井優香、溝内課長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。
神道課長、新垣課長、倉田課長、酒井優香、溝内課長は、すぐに出て行った。
「ホシは、芸術振興むらさき商会の村﨑俊哉、関東躍進組の三村弘毅、井澤元喜。井澤は自殺したようだ。井澤は、元准教授から芋づるで悪事が露見することを恐れ、仮想通貨にも詳しい村﨑に相談、村﨑はハッキングして監視していた。国会中継を観た井澤は村﨑に始末を依頼。村﨑は、元プロレスラーの三村を使って殺害。隣国マフイアは関係無かった。旧基地の強化工事については、真相は闇の中だ。夕刻、警視監と共に記者会見を行う。以上。解散。」
午後6時。眩目家。
2人で夕方のニュースを観ていた。
「結局、活動家の言う通り、【移設】じゃなく、【新基地】だったのか。」
「順番が違うよ、真吉。【移設】の積りが強烈な妨害に遭い、密かに【前基地強化】を進めていたんだ。恐らく歴代総理の知らない計画だった。准教授は、死を賭して、当選するに違い無い新知事に【調整】を委託したかった。井澤は、黒幕を隠したかった。ウチは、黒幕は、存在しないがな。」
そう言って、俺の耳を引っ張り、浴室に連れて行く。
確かに、黒幕はいない。魔女はいるが。
―完―
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。
酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。
溝内健児・・・生活安全課課長。
名も無き殺し屋・・・???
※題材にした、SNSの情報は、信頼出来るものかどうかは、よく分かりませんでした。
フィクションとして、纏めた積りですが、中途半端かも知れません。
ご了解下さい。クライングフリーマン




