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242/297

241.警告

前回のあらすじ。

ショッピングモールのシネコン用入口付近で、ソファーの上に、ミニスカートの女の子が立っていた。女の子は円柱の周りに縛られた遺体だった。

発見者親子の母親は、110番通報した。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ====================

 前回のあらすじ。

 ショッピングモールのシネコン用入口付近で、ソファーの上に、ミニスカートの女の子が立っていた。女の子は円柱の周りに縛られた遺体だった。

 発見者親子の母親は、110番通報した。


 =================

 ====================

 午後5時。第二応接室。

「スカウトされて、グラビアアイドルになったガイシャは、マネージャの宗像さんの事務所独立話の時、週刊誌に捏造記事が載ったそうです。」と、辻さんが言った。

「社長さんも知らなかったそうですが。宗像さんが移ろうとした会社コスモプロ、ガイシャの正井さんが秘密に付き合っていた鳩山徹が数ヶ月後、移籍しています。詰まり、週刊誌が騒いだ相手は宗像さんじゃ無かった。」と、村松が言った。

「そのコスモプロだが。隣国系の会社に乗っ取りに会って、今じゃ半グレ。特殊詐欺に関与していると言われています。」と、神道課長が言った。

「鳩山と言えば、確か気化人では?」と、大曲先輩が言った。

「それと、宗像さんですが、引退して長野県に引っ込んだと事務所から聞きました。だが、そう言った本人から音信不通になったそうです。」と、蒔さんが報告した。

「消されているな、宗像さんは。そして、『目当てのブツ』が見あたらなかった。それで、正井は拷問した上、ホトケになった、か。」と、蘭子は言い、腕を組んだ。

「ブツを探そう。元の会社両国プロ、半グレになったコスモプロ、宗像の元自宅、正井家だ。」


 翌日。午前11時。捜査一課。蘭子のデスク。

 引っ切りなしで、かかってくる電話を村松が順に繋いで行く。

 まずは、両国プロに行っていた辻さんからだ。

「課長。驚きましたよ。両国プロでは、設立50周年の際、所属タレントが歌った記念レコードを出したんですが、そのレコードのジャケットにSDが紛れ込んでいました。持ち帰ります。」

 次は、神道課長だ。

「コスモプロでは、真っ当な商売をしている。鳩山徹は出社しないしアパートにもいないから警察に失踪届を出している、と言う。溝内課長に確認したら、確かに出している。」

 三番目は、倉田課長だ。

「削除されているメールが見つかった。復元したら、『したら』と言う人物とのやり取りです。設楽は、設備に音楽の楽。この人物、宗像氏を引き抜いた人物で、ガイシャはまだ宗像氏を通じて付き合いがあった。宗像氏の元恋人、正井淳子氏のペンネームです。」

「ペンネーム?」

「結婚する前、両国プロでタレントのゴーストライターをしていたんです。ガイシャが殺される前に、ガイシャと会っている。ガイシャに警告をしている。」

 俺は気が付いた。

 正井家に入る時、部屋は皆、消灯されていた。

 だから、点灯して回った。タブレットのメールに細工しやすい人物だ。

 そして、SDをレコードジャケットに入れることが出来る。

 ガイシャをコスモプロに入れなかったのは、他ならぬ、姉正井淳子氏か。

 最後は、新垣課長だ。

「コスモプロは土木関係には、着手していないが、反社の関東雷鳴会の子会社にイベント設営の下請けをする、北野設営という会社がある。今、ガサイレに向かった。」

「役者が揃ったな。」

 蘭子は、ぽつりと言った。


 午後4時半。捜査一課横の大会議室。『シネコン死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、神道課長、新垣課長、倉田課長、酒井優香、関口係長、山谷敬三さん、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。

 神道課長、新垣課長、倉田課長、酒井優香、関口係長はすぐ出て行った。

「ホシは、コスモプロ社長桜木亘、北野設営社員宮田登、大上敬次。宗像敬三氏は殺害され、供述通り、奥多摩山中で見つかった。宗像氏と、正井淳子氏は、偶然、コスモプロ社長桜木亘が、隣国のトップと会食するデータを入手してしまった。宗像氏は姿を消す前に捕まり、拷問にあって殺害された。淳子氏は、ガイシャにも警告したが、宗像氏の名前を騙った連中に捕まり、データの所在を問い詰められた。宗像氏もガイシャも『知らないから話せない』状態だった。夫の介護の為、表から消えた淳子氏が、レコードジャケットに隠したからだ。ガイシャがモールで磔にされた頃、淳子氏は、救急搬送された夫に付き添っていた。彼らが懸命に探したデータは、たった一枚の写真データだった。コスモプロは、改めてガサイレだ。どれだけ、埃が出るかな?感想は?山谷さん。」

「素晴らしい、の一言です。」山谷さんは、敬礼をした。


 午後7時。眩目家。

「淳子さんの夫は、回復に向かっている。誤嚥性肺炎というやつらしい。希なる偶然だが、夫が急病になった為、魔の手から逃れた。直接守ってやれなかったことが悔やまれる、と言っていた。お前達が会った時は、病院から向かったんだ。そして、タブレットに細工してから、お前達を案内した。」

「混ぜるな危険、って、淳子さんに対する警告だったんだね。」

「そういうことだ。」

 そして、俺の下半身も警告を受けた。


 誰か・・・。


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目(くらめ)真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光(かいこう)蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。

 新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。

 倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。

 酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。

 溝内健児・・・生活安全課課長。警部補。

 関口寛也・・・捜査一課第三係係長。警部補。


 山谷敬三・・・元警視庁警部補。今は警備会社警備隊長。


 ※題材になる事件は起こっていません。全くのオリジナルストーリーです。

 クライングフリーマン







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