240.混ぜるな危険
イベントがある場合以外は、ソファで休憩出来るようになっている。
「ママ、あんな所に、マネキンが。」
母親が見ると、そのソファーの上に、ミニスカートの女の子が立っていた。
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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午前9時。あるショッピングモール。シネコン用入口。
このモールの最上階はシネコンで、上映の演目によって、専用エレベーターが稼働している。
エレベーター前の休憩エリア。
イベントがある場合以外は、ソファで休憩出来るようになっている。
「ママ、あんな所に、マネキンが。」
母親が見ると、そのソファーの上に、ミニスカートの女の子が立っていた。
いや、立たされていたのだ。ソファは円柱の周りに設置されていたが、そのソファに単純に立たせることは難しい。円柱に縛られていたのだ。ソファには血だまりが出来ていた。
母親は警備員に報せようと思ったが、どこに常駐しているのか見回りしているのか分からないので、110番通報した。
30分ほどして機捜と鑑識、そして、警備員達がやってきた。
「山谷さん。ここもですか。テリトリー広いなあ。」と、赤井警部補が感心した。
赤井の言葉に、「商売だからね。」
「エレベーターは?」
「北側に3基。そこもここもエレベーター内とシネコン入口に防犯カメラがある。非常階段は、非常時以外使用禁止。」
「なるほど。」
「しかし、ここは死角だなあ。15メートル先に搬入口があります。搬入口と防犯カメラをチェックさせましょう。」
「お願いします。」
「あのー、私達は?」
「あ。発見者の砂川さんですね。もう上映始まったかな?」
「私から、シネコンに、違う時間でも観られるように言いましょう。」と、山谷は言った。
「良かったね。」と、智子は少年の頭を撫でた。
「それで、最初はマネキンかと思ったんですね?」
「ええ。イベントがある時は、そこにソファは無いんです。それで、漠然と今日はイベントがない日だな、と思ったら。」
井関が、赤井に言った。
「背中に刺し傷がある。それと、スカートのポケットに紙片、いや、シールがあった。」
『まぜるな危険』
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『シネコン死体遺棄事件』本部。
管理官は説明した。
「今回のガイシャは、芸名政野マサ。本名正井雅子。去年、所属していたプロダクション浜辺プロと喧嘩してフリーになった、グラビアアイドルだ。モールのシネコン用入口の円柱にワイヤーで縛られていた。警備会社の警備隊長をしている山谷さんによると、モールの手落ちで、防犯カメラがないエリアで、目撃者も期待出来ない。シネコンの上映開始が遅ければ、買物客が発見したことになる。井関さん、背後に刺し傷があったとか。」
「3箇所。刺したホシは非力なのかも知れない。ワイヤーで縛ったり運んだりしたのは、共犯だろう。経験がなければ、上手く縛れない。」
「さっき山谷さんから連絡が入ったが、シネコン及びシネコン入口の防犯カメラには、従業員と、観客らしい親子連れ以外映っていない。詰まり、ホシは、現場近くの出入り口で出入りしたことになる。少し離れた所に搬入口があるから、付近を通った車両のドライバーは、モールかシネコンの関係者のクルマと思い込んだことだろう。」と、管理官は憤慨した。
「辻さん達は、元のプロダクションに行って聞き込みを。今回は、村松も行け。正井家は、実の姉が、嫁ぎ先から向かっている。大曲、現地で合流してくれ。遺体確認は、写真を持って行け。」と、蘭子が言った。
「「「了解。」」」
午後2時半。クルマの中。
「そう言えば、そんな騒ぎがあったなあ。」
「どんな騒ぎだ。」
「一心同体というべきマネージャが社長と喧嘩して独立したんですよ。で、彼女も喧嘩して辞めたけど、マネージャの会社には入社出来なかった。で、フリー。週刊誌でたまに載せて貰ったけど、会社の圧力があって、結局、業界から干された。セクシー映画の、お誘いはあったみたいですけどね。その矢先。元の会社社長は、被疑者候補ですね。」
「そのマネージャもな。」
午後3時半。コンビニ駐車場。
クルマのドアがノックされた。
「大曲さんですか?」
「正井さん?」
「はい。自宅に駐車場、ありますので入れてください。私、合鍵も持ってます。」
午後4時。正井家。
「実は、妹と2人で住んでいたんです。私が結婚して、出たんです。」
「成程。」
正井淳子さんは、エアコンその他をテキパキと点灯して回った。
「課長さんから、PCとアルバムと葉書ホルダーを提供して欲しい、ということでしたが、妹はタブレットしか持っていなかったんですけど。」
「充分です。助かります。あ。この写真・・・。」
遺体の写真を数分見ていた淳子さんだったが・・・。
「妹です。事務所と揉めたから、殺されたのかしら?」
「それは、これから調べないと・・・。」
「・・・そうですね。」
先輩がガイシャの私室に入ると、クローゼットの部屋に案内された。
流石、グラドル、衣装持ちだ。
その部屋に、アルバム・葉書ホルダーがあった。
「この方が、マネージャをしていた宗像さん。2人で原宿を歩いていた時、スカウトされたんです。」
「スカウトマンだったんですか?」
「いえ。スカウトは普通、違う方が担当されていました。宗像さんが社長に推して下さったんです。週刊誌に捏造記事が載ったお陰で、社長も宗像さんも妹も関係がおかしくなっていって。でっち上げだったんです、その記事。妹は取材受けただけでした。」
―「捜査一課ですけど、241」につづくー
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
山谷敬三・・・元警視庁警部補。今は警備会社警備隊長。




