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237.警察官の息子

空き地になった住宅の工事をしていたのだ。

路地は、ショベルカーでギリギリの道幅だった。

路地から出たT字路にバイクが入ろうとして、ショベルカーにぶつかり、転倒した。

雨上がりで、バイクも失踪した訳では無かった。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ====================

 午前11時。ある市道沿い。

 路地からショベルカーが出て来た。

 空き地になった住宅の工事をしていたのだ。

 路地は、ショベルカーでギリギリの道幅だった。

 路地から出たT字路にバイクが入ろうとして、ショベルカーにぶつかり、転倒した。

 雨上がりで、バイクも失踪した訳では無かった。

 小学生が2人、通りかかった。

 潮路彰と今北健吾だった。

 ショベルカーのドライバーと少年達は、駆け寄った。

「おい。大丈夫か。」

 ぐったりとはしているが、息はある。

 ドライバーは119番通報をした。

 少年達2人は、T字路のバイクの両側に行き、交通整理を始めた。

「交遊事故なんです。迂回してください。もうすぐ救急車が来ます。」

 ドライバーは会社に連絡しながら、感心した。

『いまどき、珍しいな。』


 15分後、救急車とパトカーがやってきた。

 ===============

 救急車の中。

「ブレ・・・やられた。」

 そう言って、バイクの若者は息耐えた。


 =================

 ====================

 午後1時。捜査一課横の大会議室。『バイク衝突事故事件』本部。

 溝内課長がいる。

 管理官が説明した。

「ガイシャは、青空大学の学生、奥高道。奥さんの奥に高い道。路地から出て来た、ショベルカーが停止線に止まった瞬間、T字路の本道から侵入しようとしたバイクと衝突した。『一方通行』『進入禁止』の標識がない場所で、よくクルマのすれ違いに苦慮する場所で、出会い頭に衝突することが少なくない、と目撃者の小学生潮路彰君と今北健吾君が証言している。ブレーキをかけた様子は無かった、と言う。かけられなかった、と言うべきか。井関さん。」

「ブレーキには、細工がしてあった。救急隊員が、『ブレ・・・やられた。』という言葉を死ぬ間際に聞いている。そして、あのドリンク剤が検出された。入眠剤だ。ブレーキに細工、入眠剤。死ぬ確率は高い。」

「で、単なる事故では無くなった。偶然だが、潮路彰君と今北健吾君の親は警察官だ。野次馬に紛れず、現場保存と交通整理をした。親は、誇らしいだろうな。」

「辻さん達は、青空大学へ。闇バイトの話題が出ていないか探ってください。村松も行け。大曲達は奥の自宅だ。お母さんが今、病院から自宅に向かっている。」

「「「了解。」」」


 午後2時半。クルマの中。

「裏切られた、となると、特殊詐欺やってそうですね。闇バイトも。」

「その通りだ。受け子は儲かる反面、危険も大きい。パチンコの方がまだマシだな。どちらも、半グレのパシリになりやすいが。」

 俺のスマホに鳴動があった。

 神道課長からだ。

 俺は、スピーカーをオンにした。

「大曲、眩目。とびきりの情報だ。今、別件でパクった特殊詐欺の受け子が、奥の名前を知っていた。珍しい苗字だから、先ず間違い無い。西出亜由美って名前を探してくれ。」

「了解。」


 午後3時半。奥家。

 母親の睦子が、梁にロープをかけようとしていた。

 2人で、必死に止めた。

「お母さん、お母さん。貴方が亡くなったら、息子さんは、誰が葬儀するんですか?送ってあげるんですか。」

 大曲先輩の『浪花節』は効く。

「それも・・・そうだわ。」


 先輩は自室を、俺は、クローゼットをざっと見た。

 大学生らしからぬ背広。コスプレ衣装。天井裏に『ヤク』。ドリンク剤はホシか。

 先輩の待つ部屋に行くと、タブレットを調べている先輩の横で、睦子さんは、アルバムを広げた。

「この子が、1番親しい子。尾藤麻衣子。この子が西出亜由美。」

「同級生ですか?」

「幼馴染なの。よく同じクラスにもなったわ。」

「高道さんの、カノジョは?」

「両方。」

「「両方・・・。」」

 先輩は、手を止め、俺と睦子さんを見た。

「いつも3人一緒でした。いい加減、どちらかと一緒になったら?と言ったら困った顔をしていました。そして、先月、麻衣子ちゃんが行方不明になって・・・。」

「警察には、届けましたか?」

「え?」

「麻衣子ちゃんのご家族は、失踪届出しました?」

「出した、って言ってました。今朝、見つかったって言って跳び出したんです。」

 俺は、先輩が合図するので、溝内課長に連絡した。

「はい。尾っぽに藤、名前の方は、麻の衣の子供、です。」

「了解。」

 俺と先輩は、タブレットとアルバムを預かり、張り番の警察官に挨拶してクルマに向かおうとしたが、「大曲警部補。私は、潮路篤志と言います。そこの交番に勤務しています。」と言われた。

「・・・ああ。事件の目撃者の。よくやったと息子さんに言ってやって下さい。機捜も助かったって言ってました。」

 軽く挙手の礼をし、俺達はクルマに戻った。

「奥家は、現場に近いんですね。」

「ん?・・・今、何つった?」

「え?奥家は、現場に近いんですね。」

「詰まり、奥は、自宅から近い現場に急いでいた。ホシに誘導されたんだ。だから、ドリンク剤を迷わず飲んだ。」


「捜査一課ですけど、238」につづくー


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目(くらめ)真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光(かいこう)蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。


 溝内健児・・・生活安全課課長。




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