234.現実版タ〇タニック
平地になった、元パチンコ屋に盆踊りの櫓が出現した。
その櫓は緑色で、中には人形が2体、立っていた。タ〇タニックのクライマックスシーンのような格好で。
人形は遺体だった。
巧妙に作られた、舞台だった。
========== フィクションです ===========
=================================
※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
====================
前回のあらすじ・
平地になった、元パチンコ屋に盆踊りの櫓が出現した。
その櫓は緑色で、中には人形が2体、立っていた。タ〇タニックのクライマックスシーンのような格好で。
人形は遺体だった。
巧妙に作られた、舞台だった。
=================
====================
午後4時半。市丸家。
応対したのは、市丸はじめ氏、父親だった。
眩目くん。順番が逆かも知れない。」
「逆?」
「酒井さんが応援に来てくれたんだけど。ハッキングの跡はないが、九州に旅行経験があったよ。」
大曲先輩の、キーボードを叩く音が止まった。
俺と、はじめ氏は、画面を見た。
『留美子さんの浴衣姿が忘れられない。目の前でミサンガを取ってくれって言われた。苗字が市丸に変わるんだから、もう要らない、なんて。』
「この後、恋人同士のメールに変わります。ハッキングの跡はありません。詰まり・・・。」
「先輩。」
「詰まり、この家の市丸義正氏と、九州で出会った恋人の留美子さんに恨みを持つ人間がいたんです。アバターじゃない。おっちょこちょいの県議は『絶好の隠れ蓑』だったんです。」
はじめ氏は、その場にへたり込んでしまった。
ミサンガは、『プロミスリング、プロミスバンドとも言う願掛けのアクセサリー』で、自分で切ってはいけない、というタブーがあると聞いたことがある。
2人は婚約中だった。九州旅行が縁で。
午後5時半。捜査一課。蘭子のデスク。
「みんな、引き揚げろ。両家のご厚意に甘えて、再捜索だ。」
===============
翌日。午前10時。十勝家。
「こんなことは、初めてだ。」
そう言って、十勝亜由子氏から、辻主任と辻班はPCとアルバム、葉書ホルダーを預かり、本部に引き揚げた。
その様子をじっと見守る人物がいた。
村松は、電柱の陰から、その人物と車を撮影した。
午前11時。捜査一課。第二応接室。
「村松が撮影した人物だが、マエがあった。置き引きだ。そして、それをネタに強請られ、仲間にされた、澤一幸金目KKと関係が出来た。そして、ガイシャ十勝氏の高校時代の同級生であった彼は、十勝に振られていた。そして、ある日、彼の勤め先である結婚式場に市丸氏と予約にやってきた。彼は、昔の怨念が湧いてきた。結婚式場はホテル経営だが、澤一幸金目KKはスパイとして送り込んでいた。ニュースで県議のことを知った彼は、澤一幸金目KKに泣きついた。改革犯と実行犯が揃った。」
神道課長の報告の次に、「四課も手伝って、別件で引っ張ったよ。奴を喜んで差し出すだろう。疑いだったって放免すれば。」と、新垣課長が言った。
================================
午後1時。捜査一課横の大会議室。『パチンコ屋跡死体遺棄事件』本部。
取り調べ室から、倉田課長、新垣課長、溝内課長、深山課長、神道課長、皇係長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。
倉田課長、新垣課長、溝内課長、深山課長、神道課長、皇係長はすぐに出て行った。
管理官が説明した。
「ホシは、ガイシャ十勝留美子氏の高校の同級生星野仙吉。そして、澤一幸金目KKの宮中弘、大開颯二、港圭介、大隈孝史。星野は、高校の時振られた相手が式場予約をしに来て仰天した、相手の十勝は覚えていなかった。ニュースで、カップルと県議が同姓同名であることに気づいた星野は、澤一幸金目KKに相談、積年の恨みを晴らすことにした。打ち合せと称して、ホテル以外の場所に呼び出し、殺害。発見者も警察も、派手に遊んだ県議を思い出す演出をした。死ぬ前のシーンを利用して、死後のシーンを作った。まさかメールでバレるとは思っていなかったらしい。警視監と記者会見に臨む。後はよろしく。解散。」
午後2時。俺は、書類仕事をしながら、このチームと外郭のチームを束ねる、愛妻のたくましさを痛感していた。
ふと気が付くと、目の前にメモがあった。
買物リストだ。
俺は夫である。そして、部下である。そして、パシリである。
「あのー、栄養剤、多く無い?」
蘭子はもう、いなかった。
「おい、眩目、行くぞ。」大曲先輩が言いに来た。
栄養剤、買ってる暇、あるかなあ。
―完―
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。
酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。
溝内健児・・・生活安全課課長。
深山俊哉・・・警視庁広報課課長。警部補。
皇信也・・・捜査一課第二係係長。警部。
餅屋重樹・・・捜査一課第一係係長。警部。
関口寛也・・・捜査一課第三係係長。警部補。
※題材になる事件は、実際の事件はありますが、フィクションとして、大きくアレンジしています。
クライングフリーマン




