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229.妄想犯罪

出勤するため、家から駐車場に向かおうとして、宮前は、隣家の玄関に磔処刑されている水田氏を発見し、110番通報をした。

前代未聞の異様な風景だった。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ===========================

 前回のあらすじ。

 出勤するため、家から駐車場に向かおうとして、宮前は、隣家の玄関に磔処刑されている水田氏を発見し、110番通報をした。

 前代未聞の異様な風景だった。


 =================

 ====================

 午後5時半。移民党都議事務所。

 警邏課の警察官が駆けつけると、小向氏が床に延びていて、側に、ドリルでHDD部を穴開けされたノートPCが転がっていた。

 警察官は、上司に報告した。

「今、非常線張っているが、ブツを先に処分されたか。」


 30分後。皇係長達と大曲達が到着した。

 =====================

 ========================

 午後5時半。移民党都議事務所。

 介抱されて、小向さんが起きた。

「賊には咄嗟に、私のPCを差し出しました。新品なのに。」と、小向さんは、苦笑した。

「じゃ、水田さんのは?」と、俺が尋ねると、冷蔵庫の上の菓子箱を下ろし、小向さんは微笑んだ。

「目立つ場所に置かないでくれ。遺言になってしまいましたね。」


 翌日。午前10時。捜査一課。蘭子のデスク。

 酒井優香がやってきた。

「報告、何処がいいですか?」

「第二応接室に行こう。村松。招集だ。」

「了解。」


 午前11時。第二応接室。

「暗号化はされていなかった。どうやら、特撮番組の解釈について意見が食い違ったらしい。メールのやり取りをしていた位だから、普段は仲が良かったんでしょうね。ところが、水田さんは、『根拠のない宛て推量』で、その番組のエピソードから、〇〇という人物がモデルではないか、と言った。それで、その相手の、『お前、消されるぞ』というメールが最後になった。」と、酒井が言った。

「その番組のエピソードは?」

「今、放映している東栄に確認をとりました。ざっと言うと、主人公グループの一人が、怪しい選挙事務所に潜入、機密情報が入ったPCを奪取、誘拐されそうになったところを仲間が助けに来る、というストーリーだそうです。」と溝内課長が説明した。

「今、マークされている半グレの会社が、東東栄エージェントという紛らわしい名前の会社。間抜けなことに、そこの社員が泥酔中にPCを盗まれた。その会社、隣国マフィアと繋がっている、という噂がある。」と、神道課長が言い、「PCはハッキングの跡があり、隣国のサーバーを経由している。飛躍しすぎだが、水田さんが移民党の機密データを持っていると勘違いしてもおかしくない。その相手の文章から、隣国人だった可能性を見付けました。彼らは日本語を分かっていても、日本文字を分かっていないから。」と、酒井が言った。

「政府の情報はあったのか、酒井。」と、蘭子は尋ねた。

「微塵も。そもそも、水田さんは、都議補欠選挙の当選者に過ぎない。勘ぐり過ぎよ。」と、酒井は呆れた。

「喧嘩相手の仕業にしたかったのなら、『相手』は消されているな。」と、大曲先輩は言った。

「『お前、消されるぞ』って警告したってことは、東東栄エージェントの社員じゃないのか?」と、蘭子が言い、「よし、別件で引っ張ろう。」と、神道課長が出て行った。


 午後4時半。捜査一課横の大会議室。『都議会議員死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、神道課長、倉田課長、酒井優香、皇係長、溝内課長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。

 神道課長、倉田課長、酒井優香、皇係長、溝内課長は、すぐに出て行った。

「ホシは、東東栄エージェントの社員相馬栄太、相馬純一、田原源吾、宮前数子。宮前数子は相馬栄太のオンナだった。数子は手引きし、水田氏を殺害。強奪した冷蔵庫はダイヤル錠だったが、中から出て来たのは、新品のPCだった。何のデータも存在しない。水田さんのネット仲間であった東東栄エージェント社員小西一之は、その後、殺害された。何とも言えない、事件だな。宮前敏夫氏は、関わっていなかった。記者会見に行ってくる。」


 午後7時。眩目家。

「『オタクのお宅は』の紙片は、単なる悪戯だった。オムライスを作っているということは、後で『襲ってくれ』の合図だな。」


 はいはい。私は、奴隷です。


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目(くらめ)真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光(かいこう)蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。


 皇信也(すめらぎしんや)・・・捜査一課第二係係長。警部。

 溝内健児・・・生活安全課課長。警部。

 倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。警部。

 酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。

 小宮孝・・・警備課課長。警部。








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