↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
227/297

226.虫の居所

運転手は即死、乗客は2名負傷した。

配達員が目撃したのは、衝突だけでは無かった。

『蜂』が飛んでいく姿だった。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ===========================

 午前11時。江戸川区西葛西。

 デリバリー便の配達員が目撃した。

 都営バスが、迷走の上、電柱に衝突した。


 運転手は即死、乗客は2名負傷した。

 配達員が目撃したのは、衝突だけでは無かった。

『蜂』が飛んでいく姿だった。


 機捜と鑑識が到着したが、連絡が入った。

 赤井警部補は青ざめた。

 怪我人の2人は、今、2台の救急車が搬送したばかりだ。

 すぐに、覆面パトカーが到着し、救急車の行方を尋ねた。

 そして、もう1台、救急車が到着した。

「特殊捜査係の宮野です。搬送されたのは、チーム将来という政治団体の代表相葉孝史さんでは?」

「今、和泉さんから連絡がありました。誘拐事件ですか。」

「はい。」

 赤井は、救急センターを通じて、救急車の行方を確認した。


 =================

 ====================


 午後4時。捜査一課横の大会議室。『都営バス衝突死亡事件』本部。

 特殊捜査係の宮野の和泉警部補が来ている。

 管理官が説明した。

「ガイシャは、都営バスを運転していた運転手小椋洋介。蛇行運転の後、電柱に衝突して重傷。事故を目撃していたドライバーの証言で蜂を追い払おうとしたらしいが、マスコミには当人の了解を得て『蚊を追い払おうとした』ことにしてある。目撃ドライバーにもドラレコを提出して貰い、事件解決までは黙って欲しい、とお願いしてある。和泉係長。」

「実は、誘拐事件カラミです。チーム将来という政治団体の代表相葉孝史さんの姪御さんが誘拐されました。既に12時間を過ぎています。相葉さんは、犯人の指示で、あのバスに乗ったんです。救急搬送した病院で『蜂が飛び出した』と、相葉さんは言っておられます。使い捨てと思われるスマホも回収しています。」

「赤井警部補がすぐに手配したが、もう1台の救急車が行方知れずだ。」と、管理官が言い、「部下の話ですと、空いている車内の真後ろにアタッシュケースを持った人物がいたそうです。相葉家には、党の副代表越野姫子氏が詰めています。」と、和泉警部補は言った。

「これが、犯人らしき人物が一週間前にチーム将来に届いた脅迫状らしきものだ。秋野。」

 秋野は、スライドをスクリーンに出した。

『与党に肩入れしやがって。吠え面をかくなよ。』

「時代劇みたい。」と、俺は、つい口を滑らし、蘭子に睨まれた。

「和泉係長。姪御さんの名前や、預かった、とかいう文言がありませんが。」と、大曲先輩は尋ねた。

「ご家族から、誘拐されたようだ、と連絡があったのですが・・・奥さんです。」

「パソコンは調べましたか、相葉さんの。」と、蘭子は尋ねた。

「いえ、え?」

「大曲、眩目は、サイバー犯罪課の酒井を連れて、相葉家に急げ。辻さん達は、チーム将来に行って、これまで『脅し』を何回受けたか調べてください。病院の相葉さんには・・・。」

「私が行こう。」と、井関警視監が入ってきた。

「政治が絡むとややこしいからな。」

「じゃ、村松は警視監と一緒に行け。」


 午後5時半。相葉家。

 到着した途端、和泉係長のチームの宮野さんが報告した。

「相葉さんの姪御さん、麻衣子ちゃんが、今、帰宅しました。」

 先輩は、酒井と頷き、相葉さんの部屋に直行。複数のPC、タブレットを猛烈な勢いで調べた。

「「やっぱり。」」

 2人は、同時に言った。

 先輩は、すぐに蘭子に電話した。

 和泉係長のチームの前で、スピーカーをオンにした。

「人質は、姪御さんでなく、情報だった。脅しをかけて来た連中は、与党の持っている『スパイリスト』を要求していた。相葉さんは、身代金でなく、偽情報の入ったSDを持ち出したようだ。」

 横から酒井が言った。

「ハッキングしたのはいいが、相葉さんは一枚上手だった。すぐにSNSで出回っている適当な情報を作った。それだけじゃない。相手のURLも捜査一課宛てに暗号メールで送っている。ここからは倉田課長の出番だ・・・よね。」

「何、確認している。さっさと仕事しろ。」


 宮野さんが言った。「お友達の家に無断外泊したようです。」

「済みません。」横から、相葉葉月夫人が頭を下げた。


 午後6時半。帰りのクルマの中。

 蘭子から連絡が入った。

「警備課と二課が、『蜂』実行犯を捕まえた。闇サイトで応募したらしい。」


 午後7時半。。捜査一課横の大会議室。『都営バス衝突死亡事件』本部。

 取り調べ室から、小宮課長、神道課長、倉田課長、和泉係長、酒井優香、蘭子、大曲先輩、管理官が出て来た。

 小宮課長、神道課長、倉田課長、和泉係長、酒井優香は、すぐに出て行った。

 管理官が説明した。

「まず、相葉氏は、順調に回復している。幸い蜂は、アナフィラキシーショックになる、スズメバチではなかった。まあ、スズメバチでも、2回刺されても、1回目から三年以上離れていれば、普通の蜂毒と変わりないそうだが。で、ホシは、闇サイトで雇われた大学生の大島淳也。救急車は回収、救急隊員も救出された。ゲーム感覚で参加。虫除けスプレーをしてから、アタッシュケースを開けた。でも、自身も刺されていた。検問で、刺されている腕を確認されている。二課も参加したが、幸か不幸か半グレは関係ない。バス運転手が胸を殴打して亡くなることは想定外だった。『エアバッグ』は、点検ミスで故障していた。これから警視監と記者会見だが、『蚊』と『蜂』の取り違えと共に、『エアバッグ』の不備も話す積りだ。解散。」


 午後8時半。眩目家。

「誘拐絡みでなく、良かったね。」と、おにぎりを頬張りながら俺が言うと、「お前の命は預かっている。命が惜しければ、命がけで愛せ。」と言い、蘭子は白い歯を見せた。


 神様。


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目(くらめ)真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光(かいこう)蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 和泉啓太・・・捜査一課特殊事件捜査係、通称特殊犯係の係長。警部補。

 宮野信一・・・捜査一課特殊事件捜査係、通称特殊犯係の巡査部長。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。

 倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。警部。

 酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。

 小宮孝・・・警備課課長。警部補。

 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。

 井関一郎・・・警視監。井関の息子。

 ※実際の事件を題材にしていますが、フィクションとして執筆しています。

 クライングフリーマン



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。