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223.ああ勘違い

羽田空港で酔っ払いのように眠りこける三人の男がいた。三人は、帰国したばかりの超党派国会議員団の議員だった。

 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ===========================

 前回のあらすじ。

 羽田空港で酔っ払いのように眠りこける三人の男がいた。三人は、帰国したばかりの超党派国会議員団の議員だった。


 =================

 ====================

 午後4時半。捜査一課。第二応接室。

「蘭子課長。この人、知り合い?」と酒井が言い、倉田課長がプリントアウトした紙片を出した。

 それは、こんな文面だった。

『有田なら、死んでる。自殺でな。開光課長のファンより』


 皆は驚いて、蘭子を見た。

「知らない訳でもない。しかし、知り合いではない。名前も知らない。分かっているのは、『自殺補助』専門の殺し屋だということだ。そして、プライドが高い。以前にも、捜査一課の事件に関わっている。恐らく、有田氏は、この『名も無き殺し屋』に依頼、自殺したのだろう。いや、自殺する筈だったのだろう。」

「蘭子ちゃん、話が見えないが。」と、神道課長が言った。

「自殺死体は、どこかに転がっているのだろう。だが、殺し屋より先回りして殺している奴がいる。そいつを探せ、と示唆している。先回りして殺したい動機は何だ?」

 皆は、黙っている。

「情報ね。」と、酒井は事もなげに言った。

 蘭子は頷き、「伊座が持っていた情報だ。ホシにとって不都合な。絶望していた有田は殺し屋にコロシを依頼する一方、伊座に会って、忠告したに違い無い。有田が伊座と会っていたのを目撃したホシは、有田を始末、そして、伊座を始末した。議員団の他の連中はカモフラージュだ。本命を隠す為の。大曲、眩目。もう一度伊座家に行け。いや、待てよ。何故、有田の名刺が一番上にあったんだ。名刺ケースの。誰か調べたか?」と言った。

 村松が、勢いよくドアを開け、走った。


 20分後。小箱に入れた名刺ケースと、SDを智子が持って来た。

「今、バックアップで確認しています。」

 10分後。館内電話が鳴った。

 秋野だった。

 蘭子は、スピーカーをオンにした。

「課長、大変です。中身は『スパイ名簿』です。隣国との交信をしているスパイです。野党議員・与党議員・官僚らしき名前もあります。」

 智子と酒井は、競い合うように出て行った。

「駒が1つ進んだな。」と神道課長が言い、「3つだろ。算数、不得意か?」と新垣課長が茶化した。

 蘭子は散会を宣言し、捜査は翌日に持ち越した。


 翌日。午前9時。南方会。

 予想外の「手入れ」が捜査四課(現・捜査三課)によって行われた。


 午前9時。KK日の出夜明け。

 捜査二課は、別件で幹部を逮捕・連行した。


 午後3時。捜査一課横の大会議室。『羽田空港死体遺棄殺人事件』本部。

 取り調べ室から、倉田課長、神道課長、新垣課長、餅屋係長、皇係長、関口係長、紅林係長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。

 倉田課長、神道課長、新垣課長、餅屋係長、皇係長、関口係長、紅林係長は、すぐに出て行った。

 管理官は説明した。

「ホシは、前小梅党代表佐幸弘、南方会組員大崎要、万津隼人、KK日の出夜明け社員向井敏夫、草津英介。佐幸を知っていたから、皆はドリンク剤を飲んだ。空港に出迎えた5人は、言いなりになって、トイレに連れて行かれた。事の起こりは、渡航前の壮行会で、伊座はうっかり、『佐幸に預けられたものがある』と仲間に話してしまい、佐幸は慌てた。前から不審に思っていた有田を呼び出し、情報ファイルのありかを確認した。もう死ぬ気だった有田は、伊座の方に返した、と開き直った。伊座の家に不法侵入しようとした向井は、伊座の母親が外出しないので、様子見することにした。一方、新しいヤクの実験をしたがっている南方会の話を聞き、奇想天外な殺害計画を立てた。議員団を殺害した後、佐幸は、あるメールを受け取った。『お探しのものは、お先に頂戴したよ』という文面だった。今朝、改めて伊座家に押し入ろうとしていた向井は出鼻を挫かれた。前回、訪れた際、不審車両を発見した、ご近所の主婦が村松にナンバーを教えてくれたので、別件逮捕になった。尚、『スパイ名簿』は、伊座創作の『保険』だった。『佐幸に預けられたものがある』とは、党の二重帳簿の格納場所で、佐幸は、とっくに移管していた。下っ端議員伊座は、自らの命を縮めてしまった。」

 長い話の後、管理官は出て行った。

 これから記者会見だ。


 午後5時。眩目家。

「議員団の会談は30分だったそうだ。」と、蘭子が言った。

 村松と蘭子がクレープを焼いている。

「蘭子先輩は、殺し屋さんと、お付き合いがあったんですか?」

「村松を助けたのは、その殺し屋さん、だよ。」

「え?」

「間接的にだがな。お前が自殺願望があったが、殺し屋は、約束の場所に来なかった。そして、私が助け出した後、『依頼を無効』にした。村松の言い方を真似れば、『いい殺し屋』さんだった。約束の場所に来なかったんじゃない、どこかで見ていたんだよ。」

「何故、それを?」つい、俺は言った。

「今、何故、それを説明するのか、今夜からだに尋ねていいか?って言ったか?」

「え・・・そんな。」

 村松は、くすくす笑っている。

「今日、揃って早退したのは、『子作り』の為だったんですね。クレープ食べたら、帰りまーす。」


 村松は、クレープを早食いした。

「お疲れ様でしたあ。」村松は慌ただしく帰って行った。


 蘭子は、エアコンの温度を下げた。

「ああ、あつい。これから、もっと・・・。」

 俺は気絶した。


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目(くらめ)真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光(かいこう)蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。

 新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。


 倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。

 酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。


 皇信也(すめらぎしんや)・・・捜査一課第二係係長。警部。

 餅屋重樹・・・捜査一課第一係係長。警部。

 関口寛也・・・捜査一課第三係係長。警部補。

 紅林新太・・・捜査一課第四係長。警部補。


 井関一郎・・・警視庁警視監。井関の長男。



 名も無き殺し屋・・・???







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