220.バッテリー人間
「ケータイに怨みでもあるのかな?パンイチの男に貼り付いていたのは、モバイルバッテリーだ。」
========== フィクションです ===========
=================================
※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
===========================
午前8時。ある小学校の近く。
友人のところへ向かう途中の小学生が花田徹は、道路上に異様なマネキンを発見した。
迎えに来た友人愛川翔太が、通るが呆然としているのを見て、悟った。
愛川は、すぐに110番通報した。
30分後、機捜と鑑識が到着した。
「通報してくれた花田くんと愛川くん?」と、赤井警部補は尋ねた。
2人は頷いた。
「ケータイに怨みでもあるのかな?パンイチの男に貼り付いていたのは、モバイルバッテリーだ。」
「主任。不審車両の目撃者がいたようです。」と、赤井の部下が野次馬をさした。
「何かご存じの方はおっしゃってください。後で間違っていたと分かってもいいんです。こちらで詳しく調べますので。」
赤井は手を挙げた人物を野次馬から引き離して、尋ねた。
「何かご存じですか?」
「関係あるかどうか分かりませんが、ワゴン車を1台見かけました。今から1時間ちょっと前です。」
「ありがとうございます。助かります。」
=================
====================
午後1時。捜査一課横の大会議室。『小学校近辺死体遺棄殺人事件』本部。
管理官が説明した。
「ガイシャは、今のところ、身元不明だ。広報課から、一般情報を募る。遺体は、撲殺ですか、井関さん。」
「うむ。間違いない。3箇所も陥没している。モバイルバッテリ-で殴打は無理があるな。ホシに聞くしかない。」
「発見者は小学生2人だが、彼らが見付ける前の時間帯に不審車両を目撃した人がいる。ワゴン車だそうだ。クルマの陰で見えなかったらしいが、あるいは遺棄の途中だったかも知れない。あ、井関さん。死亡推定時刻は?」
「約12時間前。午後7時から午後8時頃だ。発見者の小学生によると、街灯が壊れていることもあって、通る車は少ない。それで、朝イチに捨てたかな。」
午後4時。広報課から、全国に『身元不明』のニュースが流れた。
翌日。午前9時。捜査一課。蘭子のデスク。
館内電話が鳴り、蘭子が受話器をあげた。蘭子は途中からスピーカーをオンにした。
深山課長の、緊張した声が響いた。
「モバイルキャリアDokodemoの会長さんの息子さんから、連絡がありました。アメリカに旅行に行っている筈が、ホテルに到着していないそうです。息子さんは、スイスに出張に行っていました。確認の為、こちらに向かっています。」
たまには、テレビの特番も効果があるものだ。
午後1時。捜査一課横の大会議室。『小学校近辺死体遺棄殺人事件』本部。
管理官が説明した。
「ガイシャの身元が分かった。Dokodemoの社長斉藤四郎。アメリカに旅行に行っている筈が、ホテルに到着していなかった。会長職で気まぐれだから、他の場所で遊んでいるかも知れないと思っていたようだ。息子さんの社長は、殺される理由がない、と言っている。社長さんは今、溝内課長が相手している。」
「理由があったから、殺されたんだろうなあ。」と、神道課長が入って来た。
「遊んでいた場所はラスベガス。ベガスと言えば?」と、神道課長は蘭子を見た。
「博打。ギャンブルか。しかし、すったとしても・・・。」蘭子が言いかけると、「それは、単なるお金持ちなら、工面してお・わ・り。でも、会社が会社だからね。」と、神道課長が返した。
「普通なら、誘拐だよね。金でなくても。」と、新垣課長が入ってきた。
「でも、誘拐を家族に報せなかった奴がいる、ホシだ。」
「「「「「「「え???」」」」」」」
―「捜査一課ですけど、221」につづくー
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
溝内健児・・・生活安全課課長。
深山俊哉・・・警視庁広報課課長。警部補。




